不登校の子はなぜ、1回の失敗で「何もかもが終わり」になるのか
夜の勉強机で、お子さんが固まっている。きっかけは小テスト1枚。
それだけで「もう全部終わりだ」と言い出して、驚いたことはありませんか。
小さな失敗が「全部の終わり」に化ける
宿題を1日出せなかった。
小テストで1回失敗した。
友達に1回変な返事をしてしまった。
大人から見れば、それだけのことですよね。
でも子どもの中では「それだけ」で止まらないことがあります。
私は保護者会でこれまで3,500の家庭の話を聞いてきました。中高生の本音カードも手元に1,000枚以上あります。
その中の1枚に、こんな声があります。
一度の失敗で自分はなにもできない、何もかもが終わりだと思う時間が辛かった
── 中高生の本音カードより
1回の失敗が「なにもできない」へ飛ぶ。
さらに「何もかもが終わり」まで飛ぶ。
この飛び方には、仕組みがあります。
心の省エネモードは、白か黒しか出せない
エネルギーが下がっているとき、心は省エネモードに入ります。
スマホと同じですよね。
電池が減ると画面が暗くなり、アプリがひとつずつ止まっていく。
心で最初に止まるのは「グレーを保つ力」です。
「テストはだめだった。でも友達とは笑えた」
「今日はできなかった。でも昨日はできた」
こういう中間の景色を持ち続けるには、体力が要ります。
電池が切れかけた心は、白か黒かの2択に切り替えて燃費を稼ぐんです。
だから0か100かは、性格でも甘えでもありません。
エネルギーが下がっているサインです。
もうひとつ、このカードで注目してほしい言葉があります。
「終わりだと思う時間」——この子は「時間」と書いているんですよね。
ずっとではなかった。
来て、過ぎていった波だった。
しかも「辛かった」と過去形で書けています。
波の外に出て、振り返って書いている。
この波は、抜けられる波なんです。
「そんなことないよ」が届かない理由
わが子が「もう終わりだ」と言えば、全力で打ち消したくなりますよね。
「そんなことないよ」
「あなたはよくやってるよ」
その気持ちは何ひとつ間違っていません。
ただ、省エネモードの子には届きにくいんです。
「終わりだ」は0の主張です。
「そんなことないよ」は100の主張です。
どちらも0か100かの土俵の上にあります。
子どもが0の端を引き、親が100の端を引く。
綱引きになるだけで、土俵の外には出られません。
子どもに残るのは「またわかってもらえなかった」という感覚だけ。
悪いのは親でも子でもなく、土俵のほうなんですよね。
親にできる3つのこと
ひとつ。失敗の大きさを、一緒に測り直すことです。
今日のこれが1つうまくいかなかった。それだけ
全部を打ち消すのではなく、部分を部分のまま置いてあげる。
0でも100でもない置き方。
それは子どもがいちばん苦手で、親がいちばん手伝えるところです。
ふたつ。「終わりだと思う時間」が来たら、議論しないことです。
波の最中に説得は入りません。
温かい飲み物をひとつ出す。
黙ってそばにいる。
それだけで十分です。
みっつ。波が引いたあとに「あの時間、辛かったね」と名前を付けることです。
名前が付くと、次の波のとき子ども自身が気づけるようになります。
「またあの時間が来た。でも過ぎていく」
そう思えた瞬間から、波は少しずつ短くなります。
どれも特別な道具は要りません。
今夜また波が来たら、まず温かい飲み物をひとつ。
そこから始めてみてください。
子どもは「終わり」の中にいるのではありません。
「終わりだと思う時間」の中にいるだけです。
そして時間は、必ず過ぎていくんですよね。
あの子が過去形で書けたことが、その証明です。
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