「学園の森」 ── 駅は遠い。それでも子育て世帯が選び続ける街
週末のコストコの駐車場は朝から埋まり、平日の夕方には義務教育学校の通学路が下校の子どもであふれます。
学園の森は、つくば市のなかでも子育て世帯の密度が際立って高い街です。
ただ、最初に置いておきたい事実があります。最寄りの研究学園駅まで、住宅地の中心から歩けば30分前後。分譲地によっては駅まで2km以上あります。
つまり、「駅で選ぶ街ではない」ということです。それでも人が集まり続けるのはなぜか。
このシリーズでは、つくばの各エリアを安全・教育・資産性の三つの軸で見ています。今回は「学園の森」です。
教育 ── 街の中心にある、小中一貫の大規模校
学園の森の学区の主役は、学園の森義務教育学校です。
小学校と中学校が一つになった9年制の小中一貫校で、校舎は学園の森2丁目、研究学園駅からは1.7kmほどの場所にあります。
この学校は2018年に春日学園から分かれて開校しました。その後も子育て世帯の流入が止まらず、児童生徒数は一時、全国でも有数の規模に膨らみます。
教室が足りなくなる見込みから、2023年には研究学園小学校・中学校が分離して新設されました。一つの学校が、数年で二つに分かれたのです。
これは、この街にどれだけ家族が集まったかを示す、最も分かりやすい証拠だと言えます。
ここからは、教育に携わる立場から一歩踏み込みます。
大規模校は、読み方を間違えなければ大きな魅力です。学年の人数が多いほど、部活も行事も選択肢が増え、いろいろな個性の子と出会えます。
施設も充実し、9年間校舎が変わらないので、いわゆる中1の段差も小さくなります。授業も行事も、出会う個性も、すべてが選択肢の多さ。
大規模校と聞いて心配されがちなのが、教室のすし詰めです。けれど学園の森の2025年度の平均クラスサイズは27人前後で、1クラスの上限がおおむね35〜40人であることを思えば、むしろゆとりのある数字です。
これは、つくば市が校舎の増築や2023年の分離で大規模校化に手を打ってきた結果でもあります。学校は大きくても、一つの教室は混みすぎていません。安心材料の一つです。
学校の外にも、学びの場は揃っています。学園の森には茨進や思学舎などの学習塾の教室が集まっており、受験期の選択肢を域内で確保しやすいのも、この街の教育環境の厚みです。
そしてもう一点、購入前に必ず確認してほしいのが学区の境界です。この街は成長が速く、2023年の分離のように通学区域そのものが組み替えられてきました。
同じ学園の森でも、丁目や番地で通う学校が変わり、境界は毎年見直しの対象です。「この学校に通わせたい」で家を選ぶなら、契約前につくば市の通学区域で現在の指定を必ず確かめてください。
学園の森の教育は、大きさをどう読むかに尽きます。
安全 ── 平坦な台地、ただし最終確認は番地で
学園の森は、筑波台地の上に広がる平坦な内陸の住宅地です。
大きな川から距離があり、浸水のリスクは比較的小さいとされる地域にあたります。地震の揺れやすさも、低地に比べれば穏やかな部類です。
ただし、これはあくまで一般論の範囲。頼りになるのは評判ではなく、番地ごとの地図です。
具体的に検討する段階では、つくば市の重ねるハザードマップで、気になる番地を一つひとつ確認しておくと安心です。
安全は、街ではなく番地の単位で確かめます。
資産性 ── 上がる地価と厚い生活利便、引き換えの「駅徒歩圏ではない」
まず数字から。学園の森の住宅地は、2025年時点で坪あたり40万円台、前年からの上昇率は11%前後です。
つくば市の住宅地平均を明確に上回る水準で、土地の評価は伸びています(2025年・国土交通省の地価データ時点)。
生活利便も厚みを増しています。日々の買い物はスーパータイヨーやフードスクエア学園の森店といった域内のスーパーでこと足り、大きくまとめ買いをするときはコストコが使えます。2026年10月には、イオンの都市型店「そよら」も学園の森3丁目に開業する予定です。
さらに車で数分走れば、隣の研究学園側にイーアスつくばやブランデ、マクドナルドといった大きな集積があります。学園の森は域内に日常を持ちつつ、その先の選択肢まで車で届く位置にあります。
ただし、これらはどれも歩いて行く距離ではありません。買い物も外食も車前提という点は、駅の遠さと表裏一体です。
加えて、生活道路は片側一車線の区間が多く、朝夕は通勤や送り迎えの車で渋滞が発生しがちです。便利さの裏で、時間帯によっては移動にひと手間かかることも、前提に入れておきたいところです。
土地が広めに取れることや、新築の供給が続いていることも、戸建てで土地を持ちたい層には追い風です。
価格の現実も置いておきます。新築の戸建てはおおむね3,300万〜6,300万円、中古の戸建ては5,000万円台が中心です(2026年6月時点の売り出し例)。
世帯年収600万円台では新築の下限から中古に選択肢が絞られ、900万〜1,200万円で中心レンジに届き、1,500万円なら広い区画も狙えます。
ただし、正面から向き合うべき弱点があります。学園の森は、駅徒歩圏ではありません。
つくばでも過去の傾向として、駅から歩ける土地のほうが値持ちしやすく、売却の動きも速いとされます。上がる地価と厚い生活利便、その代わりの駅の遠さ。
学園の森は教育と生活利便で選ばれる街であり、将来の売りやすさを最優先するなら、駅近の選択肢に一歩譲る可能性があります。これは断定ではなく、傾向として頭に入れておきたい点です。
学園の森の資産性は、住み心地で取り、流動性で少し譲ります。
向く人・向かない人
向いているのは、共働きで、戸建てと広い土地、小中一貫の教育環境、大型商業を一度に取りにいきたいファミリーです。
車での生活が前提になることを受け入れられるなら、学園の森は強い候補になります。
逆に向かないのは、駅まで歩いて暮らしを完結させたい人、マンションを希望する人、将来の売りやすさを最優先する人、車を持たない暮らしを望む人です。
このタイプなら、同じ葛城地区でも駅で選ぶ研究学園や、駅直結のエリアのほうが合います。
研究学園が「駅で選ぶ街」なら、学園の森は「駅を諦めて、教育と土地と生活で選ぶ街」です。同じ区画整理から育った、兄弟のような二つの街。
最初の分岐点は、駅まで歩けるかどうか。
「駅まで歩けない」を受け入れられるかどうかが、分かれ目です。
次に読むなら
学園の森とよく比べられるのが、すぐ南の研究学園です。
駅で選ぶ街と駅を諦める街、価格も性格も対照的なので、両方読むと自分の優先順位が見えてきます。
次に読む:研究学園 ── 地価が上がり続ける、駅で選ぶ街
このシリーズでは、つくばのエリアを一つずつ同じ三つの軸で並べています。フォローしておくと、次のエリアが出たときに気づけます。
学園の森については、丁目ごとの学区の現況やスコアの内訳を、いずれ深掘り版でまとめる予定です。
出典・参考(2026年6月時点)
地価:国土交通省 不動産情報ライブラリ
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/
学区・学校:つくば市 通学区域一覧
https://www.city.tsukuba.lg.jp/soshikikarasagasu/kyoikukyokugakumuka/gyomuannai/4/3/15080.html
そよら:そよらつくば学園の森(イオンリテール)
https://www.aeon.jp/sc/soyora-tsukubagakuennomori/
