見出し画像

映画『シェーン』を見ました。

「シェーン、カムバック!」

 映画史上に残る名セリフとして知ってはいたし、名画の紹介でもほぼ必ずといっていいほど出てくるシーン。ただ私はこれまで『シェーン』を観たことがありませんでした。
 最近似たような映画ばかりだなあって思いつつ、Amazonでは古い映画も多く公開しているので、今回久しぶりに古典作品に触れてみたいという気持ちで視聴を決めました。
 最近では西部劇を舞台にした映画も少なく、ある種の“失われたジャンル”のように思われますが、そのぶん今見ると非常に新鮮で、豊かな発見のある体験となりました。


■ あらすじ

 19世紀末、アメリカ西部。広大な土地を巡り、開拓農民たちと大牧場主の対立が激しさを増していた。そんな中、旅の途中で現れた謎の男・シェーンは、スターレット一家と出会い、彼らの農場で手伝いをしながら共に暮らすことになる。少年ジョーイにとって、銃の腕も気品も兼ね備えたシェーンは憧れそのもの。しかし、地域の争いはやがて避けられない決着へと向かい、シェーンは最後に銃を手に立ち上がる。
そして、別れの時——。ジョーイの叫び「シェーン、カムバック!」を背に、彼は静かに去っていく。


■ 古典西部劇ならではの“ゆったりした強さ”

 初めて観たにもかかわらず、どこか懐かしい空気が漂ってくるのがこの映画の魅力です。最新映画のような派手なCGや激しいアクションはありません。むしろ、素朴で古めかしい演出が続きます。
たとえば、殴り合いのシーンは今のアクション映画では見ることが少なくなったボクシングスタイルで、空手のように足技が出ることもないし、締め技なども登場しません。爆発もド派手な銃撃戦もない。
最後の決闘に至っては、一瞬で勝負がついてしまうほど淡泊です。

 ところが不思議なことに、非常に満足度の高い映画と感じました。それは善悪の決闘のみが主体なのではなく、開拓者たちのつながりや家族を思う思いなど人間ドラマが主となっていると感じたからです。
それに現代のアクション映画のように刺激で押し切るのではなく、人物の緊張感や空気の張りつめ方で物語を支えるからこそ、わずかな動きにも重みが生まれる、という点もあると思います。


■ 悪役の存在感と時代を超える俳優の魅力

 1950年代の映画ということもあり、私が知っている俳優は主人公くらい……と思っていましたが、悪役のウィルソンを見て、「あれ、どこかで見たことがある」と感じました。
調べてみるとジャック・パランス。
子どもの頃(中学生のころ、この時が一番映画が好きでアカデミー賞の授与式見るのも好きでした。)にアカデミー賞授賞式で、舞台上で腕立て伏せを披露して“まだまだいけるぞ”とアピールしていた姿を思い出し、思わず笑ってしまったのを思い出しました。(当時すでにおじいさん)。
 なんというか日本映画で例えるなら、渋い存在感と悪役の似合う仲代達也のような立ち位置でしょうか。画面に立っているだけで場の空気が締まるような俳優です。

 このキャスティングが、映画全体の緊張感を強めているのがよくわかりました。わずかな出番でも、観客に強烈な印象を残していく。古い時代の映画ですが、俳優の力がフィルムにしっかり焼きついているのを感じます。

■ 移り変わる時代の哀愁

 作品を観終えた後、少し時代背景を調べてみたところ、この物語が描かれる頃は「西部開拓時代の終わり」にあたる時期だと知りました。
つまり、荒野のガンマンや流れ者の拳銃使いが姿を消し、近代的な価値観が浸透し始めた頃。
開拓民たちも、ただ生き延びるために戦うのではなく、土地を耕し家族と暮らし、安定した生活を求め始めている。

 そう考えると、シェーンという人物そのものが“過ぎ去りゆく時代の象徴”のようにも思えてきます。
彼が少年の憧れでありながら、彼らの世界に完全には溶け込めない理由も、そこにあるのでしょう。
彼は新しい時代には居場所がない。しかし、必要とされる瞬間には迷いなく立ち上がる。その姿に、どこか哀愁と切なさが漂っているのです。

 ジョーイの叫び声にも応えず、背中を向けて去っていくラストは、ただの別れではなく、時代そのものが過ぎ去っていくような静かな美しさがあります。

■ 古いけれど新しい、今だからこそ観る価値

『シェーン』は、古き良き西部劇の魅力をそのまま残しながら、暴力と正義、時代の変化、男の宿命といった普遍的なテーマを静かに描いた作品でした。
派手で刺激的な映像世界に慣れた現代の私たちにとって、この映画の“淡泊さ”はむしろ新鮮で、深い余韻を残します。

 長い間観ていなかったジャンルにあえて触れてみることで、新しい発見が生まれる。
『シェーン』は、そんな喜びを思い出させてくれる一本でした。
名作と呼ばれる映画には、やはり理由がある——そう納得させられる作品です。

しばらく名画を観てまわろうかなと思いました。


■ おまけ

開拓一家の奥さんですが、この時50代なのですが、美しい!
ジーン・アーサーという女優でアメリカではグレタ・ガルボやマレーネ・ディートリッヒと並ぶくらいの女優さんだったそうです。
うーん、納得。

でもこんな美しすぎる開拓農民いたのかな?

若かりし頃

いいなと思ったら応援しよう!