TNY Legal Bangladesh Newsletter 46 号(バングラデシュ銀行FEID通達第01号の概要)
今回は、 バングラデシュ銀行FEID通達第01号の概要 についてご紹介します。
バングラデシュ銀行FEID通達第01号の概要 バングラデシュ中央銀行外国為替投資部門(FEID)は、2026年3月8日付で、非上場会社の株式譲渡お よび売却代金の海外送金に関する通達(FEID Circular No. 01: Master circular on transfer of shares and repatriation of sale proceeds of shares in favor of non-resident in private/public limited companies not listed with stock exchanges.,以下「本通達」という)を発出しました。これは非上場会社(公開・非 公開会社)の株式譲渡およびその売却代金の国外送金手続きを簡素化・合理化することを内容としています。 本通達の施行により、これまでの関連規定(GFET 2018等)は置き換えられ、今後は本通達が優先されます。
1. 株式譲渡及び送金手続きの自由化・簡素化 本通達により、一定の条件を満たす場合には、株式譲渡及びその売却代金を国外送金する際のバングラ デッシュ中央銀行の事前承認(Prior Approval)が不要となり、裁量権がAD銀行に移りました。
(1)非居住者から居住者へ譲渡及び送金する場合 認可取扱銀行(Authorized Dealer (AD) banks,以下「AD 銀行」という)は、以下のいずれかに該当 する場合においてバングラデシュ銀行の事前承認なく株式の譲渡・売却に係る代金を送金することがで きます(本通達1.1条)。
ⅰ 取引金額にかかわらず、株式の取引価値が、文書確認コード(DVC)付きの最新監査済み財務諸表に 基づく純資産価値(NAV)を超えない場合。ただし、第 5.1 条に定める指示を遵守することを条 件とする。NAVの計算書には対象会社の権限ある担当者が署名し、担当監査人が副署する。
ii. 株式の取引価値が 1,000 万バングラデシュタカ(BDT)または同等の外国通貨を超えない場合、独 立した評価報告書は不要となる。ただし、取引価値を正当化する買主・売主が連名で署名した確約 書の提出が必要となる。
iii. 株式の取引価値が10億BDTまたは同等の外国通貨を超えない場合。ただし、本通達に定める評価方 法 を使用した独立した評価者による公正価値を条件とする。
(2)居住者から非居住者への譲渡および非居住者間で譲渡する場合 AD 銀行は、以下の条件を満たす場合、居住者および非居住者の株主が、バングラデシュ銀行の事前の承 認を得ることなく株式を譲渡できるよう便宜を図るものとされています(本通達1.2条)。
a) 譲渡は対象会社株式の公正価値に基づくものであること。
b) 株式の取引価値が1,000万BDTまたは同等の外国通貨を超えない(同額を含む)こと。このとき、評 価報告書は不要であるが、取引価値を正当化する買主・売主が連名で署名した確約書の提出が必要とな る。1,000万BDTを超える場合には評価報告書の提出が必要となる。
c) 株式売却代金を受領する居住者株主は、株式売買に関する覚書(MoU)および外国からの送金換金の ための フォームCとともに、評価報告書(提出が必要な場合)をAD銀行に提出しなければならない。
2. 株式譲渡手続きに関する一般的な規則 株式譲渡手続きに関する一般的な規則を設けています。以下では主なものを紹介します。
・株式の譲渡については日付入りの覚書(MoU)の締結が必要であること(本通達2.a条) ・覚書締結の際に参照する対象会社の財務諸表は、原則として締結日から6か月以内のものであること (本通達2.b条)
・譲渡手続きは、覚書締結日またはバングラデシュ銀行の承認が必要な場合はその承認日のいずれか遅 い方から45日以内に完了させること(本通達2.c条)
・AD 銀行は、本通達1.1条(a)(ii)および第 1.2 条(b)に基づく案件の可否を判断するためにCFO(最高 財務責任者)を委員長とする委員会を、本通達1.1条(a)(iii)に基づく案件の可否を判断するためにCEO (最高経営責任者)を委員長とする委員会をそれぞれ設置し、当該委員会は CFA 等の資格・研修・知 識および専門性を有する職員で構成されるものとすること(本通達2.i条)。 3. 事後報告義務 AD 銀行は、非居住者から居住者への譲渡、居住者から非居住者への譲渡および非居住者間での譲渡に おいて、譲渡後 14 日以内に以下の書類及び取引内容を記載した事後報告書を FEID・バングラデシュ銀 行へ提出しなければなりません(本通達3条)。あくまでも当該報告義務はAD銀行に課されるもので あり、取引当事者は必要書類の提出を通じてこれに協力する必要があります。
・ 合同株式会社
・商号登記官(RJSC)の承認印のある株式譲渡証書(Form 117)の認証謄本
・ 最新のスケジュールXの認証謄本
・ 外国為替取引IDが記載された換金証明書・TMフォーム ・ 評価報告書(該当する場合)
・ 株式売買に関する覚書
・ 売却代金の送金に関し本通達2条(i)に基づき設置された委員会の報告書
・議事録の認証謄本
・ 必要に応じた追加書類
4. 評価方法 本通達は株式の評価方法について 3 つの方法を採用しており、3 つの評価アプローチすべての加重平均 計算、または当該会社の性質に応じて正当な根拠を有するいずれかの適切な評価方法により決定される ものとしています(本通達5条)。
⑴ 資産ベース・アプローチ(NAV)(本通達5.1条) 会社の個々の資産の公正市場価格を算定し、そこから未払い負債を控除することにより算定する方 法。
⑵ 市場アプローチ(本通達5.2条) 類似上場企業の株価収益率(P/E)、株価純資産倍率(P/B)、株価売上高倍率(P/S)などの株式 ベース倍率を参照して算定する方法。
⑶ ディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)/収益アプローチ(本通達5.3条) 事業または資産の価値を、将来キャッシュフローの予測値を適切な割引率を用いて現在価値に換算 することにより算定する方法 具体的な評価方法については、本通達の附属書A「非上場会社の株式の公正価値決定に関するガイドライ ン(Annexure-A Indicative guidelines on determination of fair value of shares of unlisted companies)」が定めています。
5. 評価者および評価報告書に関する規則 本通達は株式の評価者及び評価報告書に関して主に以下のように定めています(本通達6条)。
⑴ 評価者の適格者要件
(i) バングラデシュ証券取引委員会(BSEC)の有効なライセンスを保有する投資銀行家。
または (ii) 銀行・金融機関・上場会社の監査についてバングラデシュ銀行・BSEC に登録された公認会計士であ ること(本通達6.a条)
・評価者は対象会社、その取締役、監査人およびその他の利害関係者から独立していること(本通達 6.e 条)
⑵ 評価報告書 ・公正価値が正当であることを説明すること(本通達6.b条) ・評価が国際的なベストプラクティスに従って実施されたこと、および誠実性・客観性・能力・守秘 義務・専門的行動という倫理的行動の基本原則を遵守したことを確認する報告書およびフェアネス・ オピニオンを添付すること(本通達6.c条) なお、提出が必要な具体的な書類については、本通達の附属書B「バングラデシュ銀行への申請書に添付 すべき対象会社の必要書類(Annexure-B Required documents of the target company to be submitted with application)」が定めています。
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