校則も定期テストもなくした中学校のお話
みなさま、こんにちは。
今から5年前ほど前に私の住む町に、ある中学校が新設されました。
その学校は、校則がない中学校として当時道内では話題になりました。
校則を全撤廃した初めての学校は、みなさんご存じの麹町中学校。
私の町にできた新設の中学校は、校則を全撤廃した日本で二番目の公立校となりました。
一人一人が考えて行動する
これをスローガンに設立された中学校。
設立して1~2年ほど経った頃、定期テストも廃止されました。
校長先生はどのような思いでそうした中学校にしたのだろう?
自分の住む町でそのような学校ができたことに希望を抱きつつ、いつか校長先生から直接お話を聞いてみたい!!
そんな思いを抱いていた2022年の3月末、地元の新聞でその校長先生が定年を迎えられることを知りました。
あと数日で、校長先生とお会いできる機会が永遠になくなってしまうかもしれない!!
そう考えるといても立ってもいられなくなった私は、気がつくと中学校に電話をし、アポをとっていました。
本記事では校長先生にインタビューをもとに、中学校の取り組みや先生方の思いを綴らせていただきます。
公立の学校でも、校長先生が本気を出したらここまで変われるんだ!!
そうした希望を本記事を通じてみなさんにお届けできればと思います。
今回も是非、最後までお付き合いいただけると幸いです。
校長だけでなく、先生もオープンな学校
ある日突然、学校にこのような電話がかかってきたらどうでしょう?
『はじめまして、〇〇町に在住の●●という者です。突然のお電話失礼します。
御校の取り組みに以前から感銘を受けており、定年退職を迎える前に是非一度校長先生とお話をしてみたいと思っておりました。
お忙しい中大変恐縮ですが、短時間でも構いませんのでお話を伺うお時間をいただけないでしょうか?』
まず、あなた誰ですか?
という話になりますね。笑
よくわからん人が校長と話したがっている。
とてもすぐにOK!という返答は返ってきなさそうです。
しかし、この中学校の先生は違いました。
電話口の先生
『あははは!そうですか!今校長に話してみますね、少々お待ち下さい。』
先生も何だか面白がってくれている様子。
ほどなくして電話口に戻ってきてくれました。
先生 『OKです!2日後の〇時でしたら1時間とれるそうです。ご都合はいかがですか?』
まさかのOK!!!?
この時点で面白そうな学校であることは間違いない!!
そう確信し、2日後、私は校長先生の元へ向かったのでした。
(何でも言ってみるものですね!!)
校則も宿題も、定期テストもない
当日、校長先生は温かく迎えて下さりました。
マスコミだけでなく、この町に住む方が興味を持ってくれていて嬉しいと。
まずは校則を撤廃した経緯からお話は始まりました。
校長先生のベースにあるお考えは、スローガンにもそのまま表れている通り
一人一人が考えて行動できるようになること。
自分で自分の人生を歩めるようになる、要は自律した人を育てることです。
どんな意味を持つのかもわからない規則で子供を縛り、守らせるなんて意味のないこと。大事なのは、どうしてダメなのか?自分達で考えること。
ということで、この中学校には元々校則を設定しなかったというだけで、子供達自身で考え、話し合うことで学校生活の決まりを考えていくという方針にされたそうです。
それも、単に多数決でなく、徹底的に納得がいくまで話し合う。
まさに民主主義ですね。
次に宿題。
毎日決められた提出物を出しているだけでは、『考えて行動する人間』は育ちません。
そこで、今自分にどんな課題があり、どのような学習を家で行えば良いのか?生徒自身で考えてもらう方針にしたそうです。
そこで、先生方は、各教科、廊下にたくさんの家庭学習用のプリントを用意されたそうです。
面白そうなプリント、やりがいのありそうなプリント、今の自分に必要そうなプリント・・・
それぞれが独自の基準で考えながら自分で選んでいきます。
(選ばれない=面白くない、ということも言えそうなので、先生達も自然と気合が入りますね!)
提出してもしなくてもOK。
先生に聞きたい事があればいつでも大歓迎!そんな感じです。
やるかやらないかは自由。
それでも多くの生徒たちが吟味し、プリントを持ち帰っているそうです。
ここで、私は一つ疑問を持ちました。
先生方は全員、そのやり方や考えに賛同してくれたのだろうか?
賛同してくれない先生は当然いた、とのことです。
それまで勤務してきた学校とは大きく方針が異なるので、そのような先生がいても全く不思議ではありませんよね。
しかし、校長先生は、先生方にも徹底的に考えてもらったそうです。
何事も校長をはじめ管理職のトップダウンで実行するということはせず、先生一人一人に、自分で考えて行動する習慣をつけるように工夫されたそうです。
賛同しない先生方は半信半疑の中、新しい風のもと指導をしていたそうですが、そんな中、子供達の様子が明らかに変わってきたそうです。
生き生きしながら学んでいる子、自分で考え能動的に行動する子、当たり前のことに疑問を持つ子、果敢に挑戦する子・・・
今まで勤務していた学校では見られなかった子供達の姿を目の当たりにすることで、先生方も自信を持って子供達に任せるようになったそうです。
開校してから1~2年後、ついに定期テストが廃止されました。
テスト自体が消えたわけではなく、単元テストに切り替えたそうです。
実はその提案を行ったのが、当初最後まで新しい方針に賛同しなかった先生だったのです。
中間・期末テストだと間隔が長いため、日々学習したことの定着が難しくなる。
多くの生徒は勉強する時、テストが近づいてから直前に追い込みをかけるように勉強する。
これは果たして効率的な学習方法なのだろうか?
本当の意味で生徒自身の力になっているのだろうか?
そうした疑問を先生ご自身が持たれたことがきっかけだったそう。
校長先生は言います。
変わったのは子供達でなく、むしろ大人達だったのかな。
能動的に行動しまくる子供達
校内新聞を作成している生徒達がおりました。
コロナが流行りワクチン接種が始まった当初、ワクチンに関する記事を書いていたそうです。
ただ、調べていく中で、どうしてもわからないことが出てきたようです。
それは、どんな記事や文献を読んでもわからない、ワクチン担当大臣(当時)の河野太郎さんに聞かないとわからないので、直接聞いてみたい。
という生徒からも要望でした。
校長先生もさすがに驚いたそう。
どうやって河野さんに辿り着けば良いのか・・先生方にとっても難しい課題でしたが、子供の『やりたい』を最後までサポートしたい、どうにか叶えてあげたい。
そんな皆の思いが繋がり、河野さんにZoomでインタビューをすることが実現したそうです。
(河野さんもご自身のXで本件についてつぶやいてくれました!)
ここまで能動的になれる子供達。
そして、それを全力でサポートする大人達。
これが先生と生徒の理想の関係だなと、深く感銘を受けました。
保護者の反応は?
一方で、保護者の方々の反応はどうだったのでしょうか?
一般的な公立校とは異なる点が多いので、戸惑った方も当然いたはずです。
実際に、
学校が設定した校則がなくて大丈夫なのか?
宿題は義務付けられていないと子供はやらないのではないか?
等それなりに問い合わせがあったそうです。
ただ、校長先生は自信を持ってこのように対応されていたそうです。
子供達は大丈夫です。信じて見守って下さい。
先生が子どもを信じる。
親も子どもを信じる。
そうすると、子どもも大人を信じるようになる。
そうした素晴らしい関係性が、その中学校では実現されているのでした。
定年後の校長先生は?
私はインタビューをしながら、校長先生の今後の挑戦が気になっていました。
私 『校長先生の今後についてお聞きしてよろしいですか?』
校長先生 『これからは、隣町で新任の先生の研修にあたります。』
私 『それは素晴らしいですね!新任の先生方にとってとても心強いと思います。
そして、教員としてスタートラインに立とうとしている時に、校長先生のようなお考えの方から研修を受けられることは、今後の希望のように感じられます。
しかし、次は学校を創ったり、さらに新しい風を吹かせるというお考えはありませんか?
公教育がもっと変わっていく様子を、個人的にはもっと見たいです。
校長先生 『もう無理無理!!笑 もうね、40年近く耐えるに耐えて、やっと新設校で自分の思う学校運営ができたの。最後の最後にチャンスが巡ってきたんだ。僕はもう、燃え尽きたよ。笑』
きっと教員になられた当初から、この中学校でされたような理想を持ち続けてこられたのでしょう。
その志を、どんな環境の元でも30年以上持ち続けた校長先生。
そして、教員生活最後の集大成で、それを実現されました。
校長先生が変わると、学校も変わってしまうのか?
私はふとそんな思いが頭をよぎり、聞いてみました。
しかし、校長先生の後任の先生は、なんと開校当時一緒に改革をした教頭先生だそうです!!
開校して6-7年、そのスタンスを貫くことができれば、きっとその中学校は校長が変わっても、そのスピリッツを存続できると思うのです。
さらに、すでにそこで教壇に立つ先生方がそうなのですから、きっとその中学校を離れられても、あちこちの学校で先生方が小さくても新しい風を吹かせてくれるはず!
私はそう思っています。
そして、実は新しい校長先生ともお話させていただく機会がありました!
お話の中で、前校長と同じく、教育や子供達に対しとても熱い思いを持ってらっしゃる先生で、現場で奮闘する先生達を支え、温かく見守っていました。
実際に、前校長先生のスピリッツはそのまま受け継がれていましたよ!!!
余談ですが、新しい校長先生、お話をしていくうちに、何と私の父の幼馴染だったことが発覚しました。
私の務め先や名前を見て、ひょっとしてと思い聞いてくれたそう。
私が生まれる直前に引っ越してしまわれたそうですが、そんな素敵なご縁があったのかと嬉しくなりました。
さて、今回はいかがでしたでしょうか?
校長先生が本気を出せば、学校はここまで変わる!
インタビューを通じて痛感しました。
このような校長先生が日本全国にもっともっと、増えていきますように!
そんな希望を持たせてくれる学校さんでした。
今回も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
