それもひとつの物語
珍しく朝からキーを叩いているのは今日も今日とて早めに寝たいからなのだが、それでも普段は夜に綴っているものにどうして朝から手を付けるのかといえば昨夜はほんの少しだけ遅くまで起きていたからだ。初めて参加した朗読会は終始和やかな雰囲気で進み、多少の緊張もありながらマァそこそこ練習通りに力を発揮できたので自分の番を終えた瞬間は安堵したものだ。予定ラインまでは20から30秒ほど足りなかったが、こればかりは仕方がない。持ち寄られた本は参加者たちと同じく個性的でありながらも、あえてのライトノベルを用意したのはやはり私だけだった。
ところで参加者募集が始まったときはまだシフトがわからない状態だったので、興味はありつつどうしたものか、と多少の逡巡もあったりした。開催が日曜ならたぶん休みになるだろうハハン、とか思っていたらバッチリシゴトになってしまったので当日つまり昨日は定時退社のために全力を注いだわけである。午後6時過ぎに職場を後にし発進前の車内で軽くおやつを食べたら午後7時からの開催に向けて市内を標識の指定最高速度いっぱいで激走、間に合ったとはいえなかなか忙しない。
ある程度忙しくなければヒマを持て余すだけでもあるので、適度に忙しくしてるほうが充実はしてるのかもしれない。特に今回は久しぶりに(知らない)人のいる場に顔を出したし、画面越しでなしに誰かと話すのもときにはいいものだ。ちょっとした仕草や佇まい、あるいは各々が用意してきた小物などにその人の個性がにじむ。オンラインでのやりとりは物理的な距離を無視できて大変便利だが、やはり同じ場所に集うほうが得られる情報は多い。特にロケーションや空気感を共有できるのはそういった場があってこそだ。
ひとときの邂逅から生まれる縁もいくらかはあろう。袖すり合うも多生の縁、それをまた今生の縁に育てていけるならありがたい話じゃないか。好きで一人とはいえ、そうして過ごしてきた時間がいささか長すぎたのかもしれないし、適度に飽きたことにして色々参加してみるのも悪くはない、そう思わせてくれる体験だった。何がどう転ぶかもわからないが、どうせ転ぶなら良い方へ。心のおもむくままに、新しい場所の扉を開いていきたいね。

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