Romantic Baby EP10
EP10 ナウロマンティック
(これまでは小説形式でしたが、10話のみシナリオ形式で書いています)
○大通りの事故現場(夜)
救急車のサイレン音。
少し離れた位置から、野次馬が事故現場を囲んでいる。
車の近くで、キスしているSailubとPon。
Sailubの声「Ponの心配事は、俺が全部取り除く。だからもう考えないで」
周りの騒音から切り離されて、2人だけの世界。
○病院・外(夜)
勤務を終えたBossが出てくる。
カウンセラー、Bossに駆け寄って。
カウンセラー「Ponくんが事故にあったって」
Boss「ええ?」
カウンセラー「記憶喪失になった場所で事故に……私、知らなくて」
Boss「とにかく急ごう」
Boss、カウンセラーにヘルメットを渡し、後部席に乗せる。
2人のバイクが出発する。
○大通りの事故現場(夜)
Bossとカウンセラーが到着する。
ヘルメットを外して様子を伺うと…
SailubとPonが、キスしているのが見える。
Boss「……あれ? 元気そうだね」
カウンセラー「想像してたのと違うんだけど」
近くにいた救急隊員が、無線で話している。
救急隊員「緊急出動? ビル崩壊で怪我人が続出? はい、はい、こっちは
軽症なんで、引き継ぎしたら、そっちの応援に向かいます」
無線を切った救急隊員が、大声で野次馬に呼びかける。
救急隊員「みなさんの中に、医療関係者の方はいませんか? どなたか応急処置できる方、いませんかー?」
Boss「あの……ちょうどいいところに医者がいます」
救急隊員「あなた医者ですか? 応急処置できますか?」
Boss「いえ……僕じゃなくて、あの人が医者です」
Bossの示した先で、SailubとPonがまだキスをしている。
救急隊員、2人のキスを見て。
救急隊員「あー、なるほど」
カウンセラー「……(呆れた顔)」
Boss「……(呆れた顔)」
救急隊員「(救急箱を渡して)じゃ、あとお願いしますね」
救急車、サイレンを鳴らして走り去る。
Bossとカウンセラーが、2人に近づいて。
Boss「P’Sai?」
Sailub、Pon、まだキスしている。
Boss「P’Sai? P’Sai? ねぇ?」
Sailub、呼びかけに気づいて、ようやく唇を離す。
カウンセラー「Ponくん、大丈夫?」
Ponも、ようやく呼びかけに気づく。
Sailub、Pon、見られて恥ずかしいが……
お互い顔を見合わせると、ついニヤけてしまう。
○Ponの家・全景(夜)
Bossのバイクが停まっている。
○Ponの家・リビング(夜)
ソファに座る、Sailub、Pon、Boss、カウンセラー。
Ponの頭部は、応急処置されている。
カウンセラー「ごめんなさい、私のせいで。事故の場所って知ってたら、運転させなかったのに……本当にごめんなさい」
Pon「大丈夫です。気にしないでください……それに、P’Saiが助けてくれたし」
Pon、Sailubの腕に巻きついて甘える。
Sailub、人目を気にせず、Ponを甘やかせる。
Boss「あ、また2人の世界に入った」
カウンセラー「私たち邪魔ですよね? 帰りましょうか?」
Boss「そうだね。P’Sai、あとは2人でごゆっくり」
○Ponの家・寝室(夜)
ベッドの上で寄り添っているSailub、Pon。
Ponはウトウトして寝落ちしそう。
Sailub「Pon、先にシャワー浴びてきて」
Pon、過剰にビクッと反応する。
Pon「先にシャワー???」
Sailub「そういう意味じゃないぞ。エロいこと考えるな、ガキ!」
Pon、ムスッとしてシャワールームへ。
× × ×(時間経過)
Pon、ベッドで寝ている。
シャワーから出たSailub、Ponに背を向けてベッドに入る。
Pon、Sailubに近づいて。
Pon「いつもはそっちがくっついてくるのに」
Sailub「怪我してるんだ。早く寝なさい」
Pon、Sailubの背中に抱きつく。
Pon「眠くない」
Sailub「(Ponを離しながら)いいから寝なさい」
Pon、ムスッとして顔を背ける。
2人ともため息をついたり、寝返りをうったりして、全然眠れない。
Sailub、静かに起きて部屋を出て行く。
○Ponの家・リビング(夜)
Sailub、水を飲んでいる。
Pon、背後からそっとSailubに抱きつく。
Pon「のど乾いた」
Sailubがコップを取るが、Ponは遮ってコップを戻す。
Pon「飲ませてよ」
Sailub、飲みかけのコップをPonの口元へ。
Pon「そうじゃなくて(口移しで飲ませてほしい、口を開けたり尖らせてアピール)」
Sailub「(Ponの唇をつまんで)自分で飲みなさい」
コップを渡して、2階へ上がろうとする。
Pon「なんで避けるの?」
Sailub「……」
Pon「お互い好き同士でしょ? 早く手出せばいいじゃん」
Sailub「好きだよ……でも俺は離婚したばかりだし、Ponは病み上がりだし」
Pon「言い訳ばっかり。おじさんってダサいんだね」
Pon、あっという間にSailubをソファに押し倒す。
Pon「僕だって、ずっと我慢してたんだ。若い男の性欲ナメんな」
Pon、Sailubにキスをする。
最初は戸惑っていたSailubも、次第に受け入れながら、熱いキスを返
していく。
Sailubが上になって、情熱的な行為が始まる。
夢中で本能的に求め合うが……
頭をぶつけたり、服をうまく脱がせなかったりするリアルさがある。
恥ずかしさや初々しさもあって、かわいい感じのラブシーン。
行為後、顔を見合わせて笑う2人。
× × ×(時間経過)
2人、ソファで眠っている。
Sailubの腕の中で、Ponが目を覚ます。
視線の先にあるのは、壁に貼ってある2人の生活ルール(忘れ物をし
ない、人の顔に落書きしないなど)。
過去の出来事を思い出してニヤけているPonが、Sailubの頬にキスを
する。
Sailub、目を覚ます。
Pon「あれ、もう剥がさない?」
Sailub「……ん?」
Pon「壁のやつ、剥がしていい? できるようになったし」
Sailub「んー、そのままでいいんじゃないか? かわいいし」
Pon「もう子どもじゃないぞ」
ジタバタと抵抗するPonを、Sailubがギュッと抱きしめる。
Sailub「そうだ……ちょっと待ってて」
Pon「どこ行くの?」
Sailub「すぐ戻るから」
Pon「一緒に行く」
2人、ブランケットに包まって、寄り添ったまま2階へ。
○Ponの家・寝室(夜)
クローゼットの引き出しを開ける、Sailub。
Ponが施設で描いた絵や、おままごとをした時のメニュー表、OR決済
コードなど、子ども時代のPonが描いたイラストが出てくる。
Pon「まだ持ってたの?」
○Ponの家・リビング(夜)
Sailub、壁にPonのイラストを貼っている。
Pon「貼らなくていいのに。剥がしてよ、ねぇ」
Sailub「カワイイじゃん……そうだ! 俺の部屋から持ってきてやる。ちょっと待ってて」
Pon「行かないで」
Sailub「俺ん家、すぐ隣だぞ」
Pon「嫌だ、行かせない」
Sailub「すぐ戻ってくるから。3分で戻るから、3分」
Pon「じゃあ100秒だけな。1、2、3、4……」
Sailub、ダッシュで飛び出して行く。
○Sailubの家・Sailubの部屋(明け方)
Sailub、慌てて入ってくる。
参考書を掴む。挟んであるのは、Ponからの手紙(1話冒頭で登場)。
○Ponの部屋・リビング(明け方)
Pon、続きを数えている。
Pon「96、97、98、99」
Sailub「100! セーフ!」
ダッシュで戻ってきたSailub。Ponに手紙を見せる。
Pon「これ……僕が書いたの?」
手紙には、Ponの幼い字で「医学部合格おめでとう、大好きだよ」と
書いてある。
Sailub「覚えてないの?」
Pon「うん……こんな前から好きだったんだ」
Sailub、その手紙を壁に貼る。
2人、手紙の前でキスをする。
Ponの声「こうして僕たちは、出会って15年経ってから、ようやく結ばれた」
○寺院
タイトル「3ヶ月後」
Ponの両親の墓前で、手を合わせているPon、Sailub。
Sailubの母親の墓前で、手を合わせているSailub、Pon。
Ponの声「週末はいつも両親に会いに行く」
○孤児院・全景
○孤児院・調理室
Pon、大量の野菜を切って、大きな鍋で煮込んでいる。
Ponの声「あれから僕は、施設で調理をしたり」
○孤児院・教室
Pon、子どもたちに料理を配膳する。
幼い子にはスプーンで食べさせてあげる。
Ponの声「子どもたちの世話をして働いている」
○病院・処置室
「予防接種」の看板。
施設の子どもたちが並んで、順番を待っている。
Sailub、幼い子に注射を打つ。
幼い子、泣き叫ぶ。
Sailub「痛くなーい、痛くなーい」
Pon「泣かないよー、強い子は泣かなーい」
SailubとPonが、幼い子をあやしている。
列に並んでいる7歳くらいの男女が、ヒソヒソ話している。
女児「おじさんって、Ponくんの彼氏なのかな?」
男児「知らねぇの? 男同士でも結婚できるんだぞ」
子どもの列の最後、15歳くらいの冷めた目をした男子が、Sailubに腕
を差し出す。
注射を打たれても動じることなく、無言のまま帰っていく。
Ponの声「里親制度について、本格的に勉強を始めた。試験に受かれば、里親コーディネーターになれる。どんな子にも、安心して暮らせる家があるといい」
○Ponの家・リビング(夜)
Sailub、パソコン前で仕事をしている。
Ponは里親制度のテキストを読み込んでいるが……集中力が切れた。
Pon「休憩しない?」
Sailub「行くか?」
○ドンキホーテ・お菓子売り場(夜)
山のように積まれたお菓子。
テンションが上がって、お菓子をどんどんカゴに入れて歩くPon。
Sailubは、Ponにバレないように、商品をこっそり棚に戻す。
Ponの声「夜中まで勉強して、お腹が空いたらパジャマのままで買い物に行く。好きなお菓子をたくさん買ってもらう」
○Ponの家へと向かう道(夜)
Sailub、Ponが歩いている。
Ponは片手にアイス、もう一方にフランクフルトを持って、交互に食
べている。
Sailubは片手にアイス、もう一方はお菓子がたくさん入った袋を下げ
ている。
Pon「一口ちょうだい」
Sailub「ん」
Sailub、自分のアイスをPonに食べさせる。
Pon、大口を開け、アイスを半分以上かじって逃げる。
Ponの声「そんな毎日が、これからもずっと続くといいな」
追いかけるSailub。
明かりのついた家に入っていく2人。
(終)
EP10のロマンティックソング『ナウロマンティック』
https://www.youtube.com/watch?v=x63xhB39-hE
