紙の本に関する考察|2026年7月1日
雨も降ってるし、一日読書の日。
クリティカルエッセイの課題で「紙の本」について書かなければいけない。
紙の本とわざわざ言うからには、紙じゃない本との比較をしなければならず、ただの本や読書の話になってはいけないのだけれど、どうしても本の重要性、読むことの重要性というところに視点がいってしまう。
参考文献として今日読んだのは3冊。
『本を読めなくなった人たち/稲田豊史』
ちょっと前に流行った『映画を早送りで観る人たち』の作者が書いた、今の若者の読書事情。実際の若い世代にインタビューした内容をまとめているものなので、かなりリアルに若者の心情が綴られている。端的に言えば、今の若い世代にとって文章を読むことは大変難しいことで、特殊能力になりつつある、ということが書かれている。
面白いのは現代人のテキストメディアの触れ合い方を、「本を読む x わかりみを求める人たち」「本を読む x おもしろみを求める人たち」「本を読む x わかりみを求める人たち」「本を読まない x おもしろみを求める人たち」「本を読まない x おもしろみを求める人たち」の4つの分類に整理しているところだった。
『デジタルで読む脳 x 紙の本で読む脳/メリアン・ウルフ』
『プルーストとイカ』という不思議なタイトルの本の著者が新たに書いたデジタルと紙で読むことの違いを脳科学や子供の発育観点から解説した本。
一番印象に残ったのは、デジタル画面で文字を読む時の私たちは自然とキーワードの拾い読みをして「速く読む」ことを優先しているという話。一般的なアメリカ人はデジタル上で1日に小説一冊分くらいの文字数に触れてるため、この「速く読む」がデフォルト化している。けれども、本を読む場合はただのキーワードの拾い読みでは理解できないような内容が多いため、「ながすぎて読めない」「理解できない」と思ってしまうという話だった。前述の『本を読めなくなった人たち』でも若い世代にとって「文章を読む」こと自体が特殊能力になっている、という話とも符合する。
『書物を楽しむ/林望』
かなり、紙の本原理主義的な内容。絶対紙だし絶対買った本じゃないとだめ、という強めの主張がずっと続くのだった。紙派の意見を煮詰めて濃縮したような本だけれど、デジタルで読むのは味気ない、紙の方が歴史が長い、図書館でベストセラーを読むような人は真の読書家ではない、という主観的な話が門切り方の文章で延々続くのは少々しんどかった。
でもAmazonのレビューを見ると、「そのとおり!」というコメントもそれなりにあるから、紙の本が好きという人にはこういう人も特定数いるということだ。この人たちと、『本を読めなくなった人たち』に出てくる人たちが交わることは絶対にないだろうなと思う。
一気に複数読んだので、自分の考えをまだまとめられていないけれど、現時点での備忘録として。
①少なくとも日本において一般書はほとんど紙の本で読まれている(デジタル書籍の売り上げはほとんど漫画)ことを考えると、別に紙の本の良さをわざわざ説かなくても、大体の人は読むなら紙がいいと思っている。紙の方が情報を受ける人間の負荷が低くなるという研究もあるから、体感としてもそうなのだろう。つまりわざわざ「読むなら紙ですよ」と言う必要はない。
②さらに、読書人口が減っているという社会的現象もあって、「日本の一般書籍≒紙の本」という事実を考えると、紙の本全体としては微減し続けている。そのことを問題視しようとすると、「なぜ読まないか」「もっと読むには」という本質的な話をしなければいけないため、「紙の本」に特定した議論までいきつかない。
③「紙の本=長い文章を読むには最良のメディア」ということは言い尽くされているので、読むためのメディアとして以外の視点で紙の本を扱う必要があるのではないか?ソーシャルツールとして?
