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飛行機の轟音の向こうに、桜と牧場と、人のぬくもり―成田・三里塚地区の地域共創の取り組み

こんにちは。コラボレーターのいたやゆかりです。
先日、成田国際空港株式会社(NAA)にお招きいただき、三里塚地区の地域振興策についてご説明いただく機会をいただきました。

ご一緒したのは、森の演出家協会代表の土屋一昭さん。森や自然を舞台に数々のイベントを手がけてきた、「東京最後の野生児」と呼ばれている方です。

三里塚という土地のこと

成田空港のそばに広がる三里塚地区は、明治8年に創設された御料牧場があった土地です。皇室の牧場として長く歴史を刻んできたこの地は、桜の名所としても知られ、春になると多くの人が花見に訪れます。また、ジンギスカンの発祥地とも言われており、独自の食文化も育まれてきました。

しかしこの土地には、もう一つの歴史があります。

成田空港は1978年の開港まで、激しい反対運動の末に生まれた空港です。空港建設をめぐって地域住民と国・NAAが深く対立した時代が長く続きました。転機が訪れたのは1990年代。

成田空港問題シンポジウム(1991〜1993年)と円卓会議(1993〜1994年)を経て、「対立の時代から、空港が地域の一員として共に生きる時代へ」という合意がなされました。「共生委員会」が設置され、対話による解決の道が開かれたのです。

それから30年以上が経った今、NAAは「エアポートシティ構想」という新たなビジョンを掲げています。

空港を核に、地域にとっても従業員にとっても住みやすい地域づくりを進め、産業誘致や住環境の整備を行っていく―単なる空港運営の話ではなく、地域との「共生」を本気で追求するプロジェクトです。

この辺りの流れについて、「成田空港 空と大地の歴史館」で教えていただいたことがあります。

「新しい成田空港」構想が描く未来

NAAは2024年7月、「新しい成田空港」構想を公表しました。
2029年春には新滑走路(C滑走路)の新設とB滑走路の延伸により、年間発着枠は現在の30万回から50万回へと大幅に拡大する予定です。

旅客数は現在の年間約4,000万人から7,500万人規模を目指します。

この構想が掲げる4つの柱の中で、私が特に注目したのが④です。

「地域と空港との相互連携による一体的・持続的発展」

滑走路や旅客ターミナルの整備という「ハード」の強化と並んで、地域との共生という「ソフト」の価値が、正式なビジョンとして位置づけられています。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks06/documents/siryou2.pdf

「さくらの丘」と「三里塚さんぽ道」を歩いて

実際にさくらの丘と三里塚さんぽ道を歩かせていただきました。ウッドチップが敷かれた遊歩道は、足元がふかふかとして心地よく、木々の間を歩いていると空港が近くにあることをしばらく忘れてしまうほどでした。

2026年4月にさくらの丘で開催された「ひつじとさくらのジンギスカンマルシェ」では600名もの方々が訪れたそうです。ジンギスカンのテントで成田空港の方達と共に活躍されていた地元の方のお祖父様は反対運動などをされていたという話を後日ご本人から伺いました。

地域の方々と共に丁寧に積み上げてきた活動が、着実に実を結んでいる様子が伝わってきました。NHKなどでも取り上げられ、注目度の高さも感じました。

土屋さんは、歩きながらあちこちで立ち止まり、雑草の代わりに、こごみやフキなどの食べられるものを植える提案や「ここでこんなイベントができる」「この木や土の状態は良い」と、森の可能性を次々と語ってくださいました。椎茸なども相性が良いそうです。

専門家の目を通すと、同じ風景がまったく違って見える。自然を活かしたイベントを、NAAと地域の方々、そして外部の専門家が一丸となって作っていける可能性を、土屋さんと話しながら感じていました。

対立から対話へ、そして共創へ

成田空港は今、日本最大の国際空港として年間約3,200万人の国際旅客を受け入れ、インバウンド入国経路としても日本一の規模を誇ります。しかしその一方で、NAAが大切にしているのは「数字」だけではないと、今回の視察で感じました。

反対闘争の歴史を経て、対話の場を丁寧に積み上げてきた成田空港が、今「エアポートシティ」という言葉で地域との共生を語っていることを感じました。

以前、三里塚の方とジンギスカンを囲んだことがあります。その時に、「この辺りは、空港が出来る前からそんなに景色が変わっていない。」と話してくださったことがありました。三里塚という土地が持つ歴史・自然・食の豊かさを、もっと多くの人に知ってほしい。

ここで生まれる共創の取り組みが、地域振興の新しいモデルケースになっていくことを心から願っています。飛行機の轟音の向こうに、桜と牧場と、人のぬくもりがある。そんな三里塚に、ぜひ一度足を運んでみてください。

それでは、味わい深く素敵な日々をお過ごしください。

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