これを”わからせる”にはどうすれば?──お説教型の人材育成アプローチの限界
僕は仕事柄、マネジメント層向けの研修や講演のご依頼をいただく機会がとても多くあります。
経営層や人事の方々が僕の著書である『問いのデザイン』や『新 問いかけの作法』、あるいは『冒険する組織のつくりかた』などを手に取ってくださり、「この考え方を自社のマネジャーにも広めたい」と声をかけてくださる。とてもありがたい機会です。(ご依頼おまちしてます!)
研修の企画段階では、人事の方々が抱える切実な人材・組織開発の課題を伺いながら、講演内容やミニワークの課題設定など、プログラムをカスタマイズしていきます。しかし、ごくまれにですが、危ういパターンに出会うことがあります。
それは、研修の真の目的が「特定の受講者にお説教をすること」に設定されているケースです。
外部の専門家の立場から、ガツンと「わからせて」やって欲しい!というニーズ
自社の組織課題を深掘りした結果、一部のマネジャーや役員のふるまいに問題があることが見えてきたが、本人はなかなか気づいてくれないので、それを「わからせたい」というニーズです。
社内の人間が言っても角が立つし、そもそも耳を傾けてもらえない。だから、外部の専門家という「権威」を借りて、やんわりと、あるいは力強くお説教を代行してほしい、というわけです。
特によくあるのが、昨今の「心理的安全性」の文脈です。
サーベイによって「あの部署のエンゲージメントスコアが如実に低い」と可視化されると、「原因はあのリーダーの言動にある」という犯人探しが容易になります。
すると経営・人事は「彼らに現状を認識させなければ」「心理的安全性の重要性をわからせなければ」という強い欲望に駆られます。そこで、管理職の集合研修が企画されるわけです。
たとえば、全部で100人のマネジャーがいたとします。その中には、研修企画側が本当に「わからせたい」と思っている、「問題行動」をするターゲットがほんの数名含まれています。講師は、100人に向けてしゃべるフリをして、ターゲットの数名に刺さることを願って、「心理的安全性が低いと、こういう問題が起こります」「リーダーの無自覚なふるまいが部下を萎縮させるんです(お前のことだ!伝われ..!)」といった話を展開します。
ところが、ここでなんとも皮肉な現象が起こります。
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