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第208回僕が目指しているのは「消費されて終わる作品」ではなく、「100年愛され続ける作品」。「いつまでプペルに“しがんでる”の?」と言うような同業者には見えてない世界で戦っている!

西野亮廣は、なぜ「わずか25公演に4億円をかけて、美術セットを一から組み上げる」ことができるのか?

今日は【僕は、まだ一作品も完成させていない】というテーマでお話ししたいと思います。

ミュージカル『えんとつ町のプペル』いよいよ開幕目前!


ミュージカル『えんとつ町のプペル』(KAAT神奈川芸術劇場)の開幕が、いよいよ目前に迫ってきました。

ご用意させていただいた「3万枚」のチケットは、おかげさまで「ほぼ完売」となっており、2025年7月22日現在は、仮押さえしていた関係者席の一部を一般販売へと切り替えています。

「チケットが取れなかった」とおっしゃる方は、『チケットぴあ』や『チケミー』をこまめにチェックしてみてください。

また、物語の冒頭からラストシーンまで一度も止めることなく演じる「通し稽古」も数日前からスタートし、本番に向けた準備は着実に進んでいます。

ご来場予定の皆さまには、会場内のグッズコーナーに「ガチャガチャ」もご用意しておりますので、100円玉や500円玉をお持ちいただけると、より一層お楽しみいただけるかと思います。


僕が目指しているのは「100年愛され続ける作品」


さて、今日は少し踏み込んだ話をさせてください。

ミュージカルの制作…もう少し広く言えば、エンタメ全般の制作において、同業者であってもなかなか共感されにくい視点についてです。

あまりに言葉を選びすぎると、本質がぼやけてしまうので、少し荒削りな表現になる部分があるかもしれませんが、その点はご容赦いただけると嬉しいです。

僕はときどき、「まだプペルにしがんでいるの?」という言葉をかけられることがあります。

正直、それは“嫉妬”から出た言葉だと受け取っています。

同じことを『星の王子さま』や『はらぺこあおむし』、『ミッキー』や『キティーちゃん』、『スパイダーマン』にも言うのか?という話で、むしろ僕が目指しているのは、「消費されて終わる作品」ではなく、「100年愛され続ける作品」です。

たとえば、ブロードウェイで『ライオンキング』に対して、「まだ、しがんでんの?」なんて口にすれば、ブロードウェイの人間全員「今、何て言った?」と耳を疑うと思います。
きっと泡吹いて倒れます(笑)。

先日、評論系YouTuberの石田衣良さんが、似たようなことをおっしゃっていて、「このご年配の方は、何をお話しされているんだろう?」と正直思ってしまいました。

ただ、「自分の手の届く範囲を超えたスケールの仕事」を想像することは、確かに難しいのかもしれません。

なので、少しだけ僕のやっていることを説明させてください。

まず、僕が掲げているゴールは「世界で勝負すること」です。
その際、必要不可欠になってくるのが「IP(作品の権利)」です。

たとえば、『えんとつ町のプペル』をブロードウェイに持っていこうと思っても、その権利を僕が持っていなければ、たとえば「吉本興業」が全権を握っていた場合、吉本が首を縦に振らない限り、その挑戦は実現しません。

少年ジャンプで連載されている作品の多くは、著作権の一部またはすべてが出版社に帰属していて、たとえ作者が「映画化したい」と願っても、最終判断は出版社側にあります。

だけど『えんとつ町のプペル』は、僕自身が権利を持っているので、舞台化も映画化も、自分たちの意思で決断できるんです。
このあたりはイメージしやすいですよね。

次に、「映画版プペルのイラストを使ったグッズ」を販売しようとした場合について。
これには、日本では製作委員会の承認が必要です。

製作委員会には大手企業が入っていることも多く、返答を待っている間に販売機会を逃すこともあります。

さらに近年では、キャラクターデザインを手がけてくれたクリエイターさんへの使用許可と使用料も必要になってきます。

だからこそ、最近CHIMNEY TOWNで出しているグッズは僕の手描きイラストになっています。

それは、単なる「イラストの好み」だけではなく、「権利を自分たちで握るための戦い」でもあるんです。

グッズの収益は、日本でもアメリカでもイベントを成立させる上で極めて重要です。

ですが、その権利が他者のものであれば、そのたびに「使用料」が発生し、結果的にどれだけ売っても利益が残らなくなってしまう。

だから僕らは、自分たちで100%の権利を握るために、グッズも一から自作しているんです。

これをしておけば、日本で作ったグッズをそのまま海外展開にも流用できます。
楽曲も同じです。

毎回許可を取って使用料を払うか、自分たちで作って、権利を自分たちで持つか。
スピード感と自由度を求めるなら、当然後者です。


「世界と戦うエンターテイメントをつくる」のであれば…


つまり、『えんとつ町のプペル』をミュージカル化するにあたって、僕は「原作・脚本を提供すれば終わり」という立場には立てません。

脚本はもちろん、音楽、美術、グッズなど、作らなければいけないものが山ほどあります。

「原作者として」だけ生きていくなら、ここまでは必要ないのですが、
「世界と戦うエンターテイメントをつくる」のであれば、この作業は避けて通れません。

LEDスクリーンやプロジェクションマッピングで表現を完結させる舞台であれば、従来のやり方でも対応可能かもしれません。

しかし、「わずか25公演に4億円をかけて、美術セットを一から組み上げる」というようなスケールの舞台を作るのであれば、あらゆる権利を自分たちで握って、「使用料」を限りなくゼロに近づける必要があります。

その為に、今は、ひたすら作り続けています。
言葉を選ばずに言うと、「お前のゴール設定あるいは、お前の作品のサイズ感でよければ、いくらでも量産できるけれど、僕らの狙いはそこにはないので、僕らはまだまだ作っている途中で、僕らはまだ『えんとつ町のプペル』一つすら完成させられていない」といったところです。

西野亮廣


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