「経理のキャリアアップ、何から始めれば?」年収が上がらない経理、上がり続ける経理。あなたのキャリアを左右する“たった一つ”の習慣とは?
「経理の仕事は、毎日同じことの繰り返しでキャリアアップできるか不安…」
「将来的に市場価値を上げて、もっと面白い仕事がしたいけど、何をすればいいんだろう?」
経理という専門職に就いているからこそ、こうしたキャリアに関する漠然とした悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
書店に行けば「経理におすすめの資格」といった本はたくさん並んでいます。もちろん、資格やスキルは重要です。しかし、それ以上にあなたの市場価値を大きく左右し、キャリアの可能性を広げるもの、それは**「どのような経験を積んできたか」**という揺るぎない事実です。
なぜなら、「連結決算の知識がある」ことと「実際に子会社と泥臭い調整を重ね、決算を期日通りに着地させた経験がある」ことの間には、天と地ほどの差があるからです。
そこで今回は、経理のキャリアアップに不可欠な「経験値」の獲得方法と、そのために必要なマインドセットについて、私の実体験も交えながら、具体的かつ徹底的に解説していきます。
なぜ「経験」が重要なのか?スキル・資格との関係性
キャリアアップを考える上で、資格取得は非常に有効な手段です。日商簿記1級や税理士、USCPAなどは、あなたの知識レベルを客観的に証明してくれます。
しかし、それだけで十分かというと、答えは「No」です。採用する側の視点に立つと、ペーパーテストで測れる知識(Know-What)と同じくらい、あるいはそれ以上に、**「その知識を使って何をしてきたか(Know-How)」**を重視します。
例えば、以下のような2人の候補者がいた場合、あなたはどちらに魅力を感じますか?
Aさん: 難関資格を保有しているが、実務経験は定型的な仕訳入力や請求書処理が中心。
Bさん: 保有資格はAさんより見劣りするが、会計システムの導入プロジェクトをリーダーとして推進し、業務効率を30%改善した経験を持つ。
多くの企業が興味を持つのは、間違いなくBさんでしょう。なぜなら、Bさんの経験からは、単なる会計知識だけでなく、プロジェクトマネジメント能力、課題解決能力、他部署との調整力といった、実践的なスキルが読み取れるからです。
誤解しないでいただきたいのは、資格が無駄だと言いたいわけではありません。経験と資格は、キャリアアップの両輪です。貴重な経験を積んだ上で、それを裏付ける資格を取得することで、あなたの市場価値は掛け算で飛躍的に高まります。経験がスキルを本物にし、スキルが経験の価値を証明するのです。
「待ち」から「攻め」へ!経験値を獲得するためのマインドセット
では、どうすれば価値ある経験を積めるのでしょうか。その答えは極めてシンプルです。それは、**「チャンスは与えられるものではなく、自ら掴みに行くもの」**というマインドセットを持つことです。
日々の定型業務をただ待ってこなしているだけでは、残念ながら成長の機会は訪れません。上司の立場から見ても、やはり意欲的に「その仕事、私にやらせてください!」と手を挙げてくれる部下に、新しい仕事や難易度の高い仕事を任せたいと思うものです。
「まだ自分には早いかも…」
「失敗したらどうしよう…」
そうした不安は当然あるでしょう。しかし、少し背伸びをするくらいの業務に挑戦することこそが、あなたを最も成長させてくれます。完璧な準備が整うのを待っていたら、チャンスはあっという間に他の誰かのものになってしまいます。
積極的に手を挙げることは、あなたに3つの好循環をもたらします。
成長機会の獲得: 新しい業務に挑戦することで、直接的なスキルと経験が得られます。
信頼残高の蓄積: 「意欲的で主体性のある人材だ」という評価が社内で定着し、「あの人に任せれば何とかしてくれる」という信頼が高まります。
さらなるチャンスの到来: 信頼が高まることで、さらに重要で面白い仕事が自然と舞い込んでくるようになります。
まずは、今の自分のコンフォートゾーンを少しだけ抜け出す勇気を持つこと。それが、経験値を獲得するための全ての始まりです。
【超具体的】市場価値を爆上げする「経験」カタログ
では、具体的にどのような経験に手を挙げるべきなのでしょうか。ここでは、あなたの市場価値を大きく高める可能性のある業務を「経験カタログ」としてご紹介します。
① 決算早期化プロジェクト
単に早く締めれば良いという話ではありません。ボトルネックはどこにあるのか、業務フローをどう見直すべきか、システムをどう活用すべきかを考え抜く経験は、業務改善能力の最高の証明になります。関係部署を巻き込んでプロジェクトを推進する力も身につきます。
② 新規事業・M&Aの会計フロー構築
会社が新たな一歩を踏み出す際に、その根幹となるお金の流れをゼロから設計する経験は非常に希少です。ビジネスモデルを深く理解し、会計基準に照らし合わせ、最適なプロセスを構築する力は、経営に近いポジションを目指す上で強力な武器となります。
③ 会計システム導入・DX推進プロジェクト
Excelでの手作業から脱却し、新しい会計システムやRPA(業務自動化ツール)を導入する経験は、これからの経理に必須のITスキルを証明してくれます。要件定義からベンダー選定、導入後の運用まで関われれば、プロジェクトマネジメント能力もアピールできます。
④ 内部統制(J-SOX)の構築・評価
上場企業に必須の内部統制に関する経験は、一見地味ですが、業務のリスクを体系的に理解し、プロセスの透明性を担保する能力の証明になります。監査法人との折衝を通じて、高度な論理的説明能力も鍛えられます。
⑤ 税務調査・国際税務対応
税務調査は、経理にとっての一大イベントです。調査官との緊張感のあるやり取りや、自社の処理の正当性を主張するための資料作成を経験することで、税務知識が実践的なスキルへと昇華します。移転価格税制など、国際税務の経験はさらに価値を高めます。
⑥ 開示資料(有価証券報告書、決算短信)の作成
投資家という外部のステークホルダーに向けて、会社の財務状況を正確かつ分かりやすく伝える開示業務は、経理業務の集大成です。会計基準の深い理解はもちろん、IR(インベスター・リレーションズ)の視点も養うことができます。
⑦ 資金調達・財務戦略関連業務
銀行からの借入交渉や、社債発行、キャッシュフロー管理といった財務領域の経験は、経理からキャリアを広げる際に非常に有効です。会社の血液である「資金」をどうマネジメントするかという視点は、あなたの視野を格段に広げてくれるでしょう。
今の会社でチャンスがないなら「環境を変える」勇気も
「うちの会社では、そんな経験はとても積めそうにない…」
そう感じる方もいるかもしれません。その場合は、転職によって環境そのものを変えるという選択肢を真剣に検討すべきです。転職は、単なる年収アップの手段ではなく、理想の経験値を獲得するための戦略的な一手になり得ます。
例えば、以下のようなキャリアチェンジが考えられます。
中小企業 → 大手・上場企業: 連結決算や開示業務、監査法人対応など、より高度で専門分化された業務を経験する。
大手企業 → ベンチャー企業: 経理だけでなく、財務、経営企画、労務まで一人で幅広く担当し、経営に近い視点を養う。特にIPO(新規株式公開)準備の経験は、市場価値が非常に高いです。
日系企業 → 外資系企業: IFRS(国際財務報告基準)や英語でのレポーティング、FP&A(経営管理)業務など、グローバルな環境で専門性を高める。
大切なのは、「どこで働くか」ではなく**「そこで何を得るか」**です。自分の5年後、10年後のなりたい姿を思い描き、そこから逆算して、今積むべき経験は何か、そしてその経験が積める場所はどこかを考えてみてください。
さいごに
AIの進化によって、単純な仕訳入力や請求書処理といった定型業務は、今後ますます自動化されていくでしょう。これは、経理の仕事がなくなることを意味するのではなく、経理に求められる役割が大きく変化することを意味します。
これからの経理担当者は、「指示されたことを正確にこなすオペレーター」ではなく、**「会計という武器を手に、ビジネスの成長に貢献するプロフェッショナル」**でなければなりません。
そのためには、常に学び続け、コンフォートゾーンを抜け出し、貪欲に経験を積んでいく姿勢が不可欠です。
この記事を読んで、少しでも心が動いたなら、ぜひ明日から行動に移してみてください。まずは、隣の席の先輩がやっている、少し難しそうな仕事に「何か手伝えることはありますか?」と声をかけることからで構いません。
その小さな一歩が、あなたのキャリアを大きく飛躍させるための、力強い助走になるはずです。皆さんの経理としてのキャリアが、より一層輝くことを心から応援しています!
この記事が、あなたの納得のいく企業選びの一助となれば幸いです。あなたの転職活動を、心から応援しています。
なお、続きの記事として、より具体的なキャリアアップの実行方法について紹介していますので、良ければ見てください
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ユーキエンジン | 上場企業の経理課長
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