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【読書】桃花日和/中村桃子

(864文字)
日々、何を見て、何を感じ、どれくらい気に留めて考えるかは、その人次第。
感受性が豊かな人ほどその数は多く、それは心の沈殿層に貯められていき、養分となり、再び感受性を育てる。
著者の日々の出来事が、心の沈殿層にゆっくりと沈んでいく様子。それがこのエッセイだと思う。
嫌なことを嫌なまま沈めない。それが良い。考えて、理解しようと試みて、時には嫌なままだけど、でもほとんどの場合、自分なりの解釈を与えて沈めていく。これ、大事。つまりは哲学。

著者は職人のちゃんとした仕事をこよなく愛する。それ以上でもそれ以下でもない「ザ・仕事」を愛する。
それに憧れるけど、自分でその道を選ぶことは、今生は諦める。わかるなぁ、もっと早く気がつきたかったよね。

それにしても、著者の毎日には色々なことが起こる。祭りで歌う名前も知らない歌手の姿に、思わず涙が流れてしまったり、地方のバス停のベンチで話しかけられたり、駅のホームで斬られたりする。
イラッとする時もある、だけど結局、人間が好きなんだよね。とは書いていないけど、伝わってくる。
だから愛される。職人の豆腐屋で油揚げを入れてもらえる。

色々なことは、多分みんなに起きている。けど、その多くをスルーしていく。そりゃそうなのよ、そうじゃないと大変。だから、日々に必要なものだけを拾うに留める。
でもね、拾わなかったその中に、本当に大切なことはあるのよ。著者はそれをよく知っている。でも多分、だからそうしているのではない。そうしてしまう性なんだろうな。
そんな迷いや葛藤や苛立ちや浄化を、句読点の少ない文章で綴る。上手いね、そのごっちゃごちゃごちゃが伝わってくる。

この本は、自分の生活に起こる出来事を、もっと感受性豊かに捉えたいという人にとってお手本になるかも。

ただね、ふたつクレームがあるね。
ひとつは、関西弁がズルい。面白くなるし、生の感情が伝わるもんなぁ。
そしてもうひとつ。

オジサンの老眼にはこの字のサイズはツラいのよ(笑)
次は2ポイント上げてくれ。

口開けの焼き鳥屋のカウンターで、ホッピーを飲みながら読むのにピッタリ

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