博多ランチ イタリア料理 Fio
私には、仕事の相棒がいる。
くぼっちという人である。
くぼっちのことを一言で
説明するとすれば
「私が迷子にならないようにしてくれる人」
ということになろうか。
私というのは、方向音痴なのである。
かなり本格的な方向音痴で
知っているはずの道でも
曲がるべき角を平気で通り過ぎてしまう。
地図アプリが指示を出しているのに
なぜか逆方向に歩いていたりする。
自分でも、どういうことなのかよくわからない。
そういうわけで
くぼっちは私の隣でいつも
正しい道を示してくれる。
「そっちじゃないよ」「こっちこっち」と
穏やかに。怒ったりしない。
呆れているかもしれないが
顔には出さない。
たいへん出来た人である。
仕事が終わった後
ふたりでおいしいものを食べに
行くのが楽しみになっていた。
その日は、イタリア料理の「Fio」というお店に入った。

チョークで書かれた黒板のメニューが
店先に立っていて
イタリアの国旗の色をした飾りが
ほどこされていた。
ランチのパスタが950円で
食べられると書いてある。
なんかいいなあ、と思った。
中に入ると、スタッフのみなさんが
にこにこしていた。
ただにこにこしているというのではなく
こちらに向かってちゃんと
にこにこしている感じがした。
その違いは上手く説明できないのだが
とにかくそういう感じがあった。
私はズッキーニとしらすのオイルパスタを頼んだ。
くぼっちは大葉と鶏肉のクリームのショートパスタを頼んだ。

前菜として、かぼちゃのテリーヌが出てきた。
あと、もうひとつ、なにかのテリーヌが
出てきた。
生ハムのテリーヌだったかもしれないし
パテのようなものだったかもしれない。
よく覚えていないのだが
おいしかったことはよく覚えている。
不思議なものである。
自家製パンも出てきた。

パスタが運ばれてきたとき
思わず「わあ」と言ってしまった。
細い麺にズッキーニとトマトが絡まって
つやつやしていた。
食べたら、ちゃんとおいしかった。
しらすのうまみがオイルに
溶け込んでいて、なんとも言えない味だった。
くぼっちのパスタもすごく美味しいと言っていた。
帰り道も、くぼっちに正しい方向を
教えてもらいながら歩いた。
ごはんがおいしいと
仕事の疲れが少し遠くなる気がする。
くぼっちがいてくれると、道にも迷わない。
なかなかよい組み合わせではないかと
私は思った。
介護、とまでは言わないが、たいへんありがたい存在である。まった
