【読書メモ】「経営に資する人事制度」①人事は「事業を『知る』ではなくて『踏み込む』」
人事図書館館長・吉田さん共著の『経営に資する人事制度』が出版されました。
自宅には読みたい本は山ほど積まれていますが、この一冊だけは急いで読み終えるのではなく、じっくり読み進めたいと思っています。そのため、自分自身の読書メモとして、少しずつ内容をまとめていきたきと思います!
ちなみに、私は、この本が出版されると知ったときからとても楽しみにしていました。
今は人事制度を設計する仕事をしているわけではありませんが、過去に「うまく機能しない人事制度」をつくってしまった苦い経験があります。
「あのとき、何が足りなかったのだろう。」
「どうすれば制度は機能したのだろう。」
そんな問いに対するヒントが、この本には詰まっている気がしています。
なので、ぜひ自分への学びとして印象に残った内容をまとめたいと思います!
人事のプロは、自社の事業と従業員に「踏み込む」
本書の中で印象的だったのが、「人事は事業や従業員を『知る』でも『関わる』でもなく、『踏み込む』」という考え方です。
「踏み込む」とは、具体的には何を意味するのでしょうか。
・事業が勝つためのKSF(Key Success Factor)は何か
・どのような行動がP/LやC/Sにインパクトを与えるのか
・現在の組織規模やリソースで、どこまで管理コストを許容できるのか
こうした問いを徹底的に掘り下げ、実際に現場へ足を運び、見て、聞いて、検証することが重要だと書かれていました。
つまり、現場へ行く目的は「単に従業員とコミュニケーションを取ること」ではありません。
事業を理解し、制度設計に必要な上記にあるような問いの事実をつかむために現場へ行く。その明確な意図が必要なのだと感じました。
MVVから始めると失敗することもある
もう一つ印象的だったのが、
「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)からスタートすると失敗する」
という一節です。
一般的には「人事制度はMVVを起点につくる」と言われることが多いですが、本書では、実態とかけ離れた"キラキラしたMVV"を出発点にすると、事業を勝たせるエンジンとしての制度にはならないと指摘されています。
そして、この話を読んで、まさに自分の過去の経験を思い出しました。
私が以前関わっていた組織でも、
「〇〇な世界をつくる」「〇〇な社会を実現する」
といったビジョンや、
「誠実である」「挑戦する」
といった、誰も反対できないようなバリューが掲げられていました。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
しかし、それらはいつの間にか「ビジネスの現実」から切り離された、願望ベースの言葉になってしまっていたのです。
さらに制度をつくろうとすると、
「うちの会社にとって『誠実』とは何だろう?」
「どんな行動をしていたら『挑戦している』と言えるのだろう?」
という議論が始まります。
一見すると深い議論をしているようですが、気づけば言葉の定義を考えること自体が目的になってしまう。まさに"言葉遊び"が始まってしまうのです。
でも、本来考えるべきことはそこではありません。
まず考えるべきなのは、自社のビジネスモデルはどのような構造なのか、どうすれば事業は勝てるのか、その勝ち筋は何なのかということです。
そして、その勝ち筋を実現するためには、社員にはどのような行動を取ってもらう必要があるのか。
その行動を促すために、人事制度をどう設計するのか。
この順番で考えなければ、「事業を勝たせるエンジン」としての人事制度にはならないのだと、この本を読んで教えてもらいました。
本書では、この「願望ベース」と「事業ベース」のビジョン・バリューの違いがとても分かりやすく整理されています。
私自身、「あのとき、この考え方を知っていたら…」と思わずにはいられませんでした。
まだ読み始めたばかりですが、この本には、人事制度だけではなく、「経営に資する人事とは何か」を考えるヒントがたくさん詰まっていそうです。
これからも、自分の読書録として、印象に残ったポイントをゆる~くまとめていきたいと思います。
