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「経営に資する人事」とは何かーー『経営に資する人事制度』出版イベントのお話

先日、『経営に資する人事制度』が出版されました。

私は、過去に「うまく機能しない人事制度」をつくってしまった苦い経験があります。
「あのとき、何が足りなかったのだろう。」
「どうすれば制度は機能したのだろう。」
そんな問いに対するヒントが、この本には詰まっている気がして、「これは丁寧に読みたい!」と思いながら、少しずつ読み進めています。
そんな中、ちょうど人事図書館で著者の千田さんと𠮷田さんの出版イベントが開催されました!

https://note.com/hr_library0401/n/n3f1f4d6d40f6

なぜこの本を書くことになったのか。
お二人がどんな課題意識を持ち、この一冊に何を込めたのか。
そのお話がとても印象的だったので、今回はその中でも特に心に残ったことをシェアしたいと思います。

「能力がない」のではなく、「力を活かせていない」のではないか

特に印象に残ったのは、千田さんがこの本を書く原点となったエピソードでした。
リストラ支援の仕事をしていた頃、20年、30年と会社に勤めてきた方々の転職支援に携わる中で、

「この人たちは、なぜリストラされなければならなかったのだろう。」

という問いを持つようになったそうです。
話を聞くと、決して仕事に向き合っていなかったわけでも、能力が著しく低かったわけでもなく、真面目で誠実な方ばかりだったと言います。
もちろん個人にも課題はあったかもしれません。
しかし千田さんは、「能力不足」という結論で終わらせるのではなく、

「その人たちの力を活かし、事業を伸ばすにはどうすればよかったのか。その方法が分からなかったという側面もあったのではないか。」

という問題意識を持つようになったそうです。
だからこそ千田さんが15年以上追い続けている問いは、「人事制度をどう作るか」ではありません。
どうすれば人の力を引き出せるのか。 どうすれば事業を伸ばせるのか。 どうすれば働く人も幸せになれるのか。
その問いを追い続けた先に、人事制度というテーマがあったというお話が、とても印象に残りました。

この話を聞いて、私自身の経験も思い出しました。
以前、人事制度を設計したとき、私は忙しい現場の管理職でも運用しやすいように、ルールを明確にし、社員が納得しやすい制度を目指していました。当時はそれが「良い制度」だと思っていました。
しかし振り返ってみると、その制度は事業を前に進めるものではなく、「安定した状態をつくる制度」になっていたように思います。
社員が納得できる制度であることはもちろん大切です。
でも、それは目的ではなく結果なのだと、今回改めて感じました。
本来、人事が考えるべき問いは、 「どうすれば事業を伸ばせるのか。」
そして、そのために人事制度という仕組みをどう設計すれば、人の力を最大限に引き出せるのか。
この当たり前のようで難しい問いに、私は十分向き合えていなかったのだと気づかされました。

人事制度は「翻訳する仕組み」

もう一つ、とても共感したのが𠮷田さんの言葉です。
組織には部署間の対立や価値観の違いがあります。そして、それぞれがそれぞれの立場で、それぞれの「正義」を持って一生懸命仕事をしているからこそ起こるものです。
だから必要なのは、誰かを管理したり縛ったりする制度ではなく、

それぞれの正義をつなぎ合わせ、同じ方向へ向ける「翻訳する仕組み」としての人事制度

という考え方でした。
私はこの「翻訳」という表現がとても印象に残りました。
経営は事業戦略や利益という言葉で語ります。現場はお客様や日々の仕事という言葉で語ります。
それぞれが見ている景色も、使っている言葉も違うからこそ、すれ違いが生まれることも少なくありません。
だから人事は、その間に立ち、
経営の意図を現場が理解できる言葉に翻訳し、現場の声を経営に翻訳する。
そして、その翻訳を仕組みとして支えるものの一つが、人事制度なのではないか。そんなふうに私は受け取りました。

人事という「枠」にとらわれない

もう一つ心に残ったお話がありました。

「人事という枠が、ある意味では呪いになっていることがある」

人事の本を読むと、「採用」「育成」「評価」「労務」といった、人事が担当する領域から説明されることが多い。
そうすると、「人事はここまでが仕事」「それ以外は人事の仕事ではない」という考え方が、知らず知らずのうちに身についてしまうというのです。
でも、本来人事がコミットすべきなのは、担当領域ではなく、

「事業を伸ばすこと」
「組織が持続的に成長し続けること」

その目的にあるというお話でした。
だから必要だと思えば営業の話もするし、価格戦略について意見を伝えることだってしていい。

「人事だからやらない」のではなく、「その課題が事業の成長を止めているなら、人事としてできることを考える。」

そんな姿勢がとても印象的でしたし、そんな人事でありたいと思いました。

人事は、人事部門の仕事をすることが目的ではありません。経営戦略を実現するために、人と組織の力を最大限に活かすことが役割です。そう考えると、人事という仕事には、本来「ここまで」という境界線はないのかもしれません。

「絶対に不景気は来る。そのときに、リストラをしたくない。」

その思いがあるからこそ、平時から事業を伸ばし、人の力を活かせる組織をつくることに、人事として本気でコミットしている。

その話を聞いて、この本のタイトルが『経営に資する人事制度』である理由が、最後にもう一度腑に落ちた気がしました。制度をつくることが目的ではない。人事という役割に閉じこもることでもない。

人の力を引き出し、経営と現場をつなぎ、事業を成長させる。

そのための手段の一つが、人事制度なのだということを改めて考えさせられる時間でした。

まだ本は読み始めたばかりです。

これから読み進めながら、大学院で学んでいる理論と、自分自身の実務経験を重ね合わせ、「経営に資する人事」とは何かを、もう少し深く考えていきたいと思います。

ちなみに、この本は最初の200ページ(序章と第1章)が肝だと思います!
ぜひ、みなさんお手にとって読んでみてください。
▼もう一度Amazonのリンクを(笑)▼

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