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バグラヴァの価格交渉が最高に楽しかったわけ

なんだかんだと賛否両論あった万博も閉幕までカウントダウンに入ってきた。

パビリオン制覇、スタンプ制覇、ナショナルデーのイベントマニア、各パビリオンで開催する音楽を楽しむなどなど、それぞれ何を楽しむかは十人十色。

で、わたくしめはというと日本企業の未来の実験場が興味津々だったし、それをみて日本もまだまだすてたもんじゃない!と未来がほんの少し明るいんじゃないかと希望が持てて楽しかったし、今でも行く機会があれば期間限定の日本企業のブースにちょいちょい足を運ぶ。

それ以外の楽しみはビールとバグラヴァ。

最初の頃は、高いな~と思っていたからグルメに手を出さずにいたのだが、だんだん暑くなってきて、我慢できずに飲んだチェコのビールが美味しすぎて、そこから一気にはまってしまった。

もう一つがバグラヴァだ。トルコの伝統的なあま~いお菓子で、バックパッカー時代、イスタンブールで沈没していたときに泊まっていた宿の隣のお店のをいつも食べていた。日によって甘さ度合が違い、たまに胸やけをおこすほど甘くてむせたことがあったが、若かりし頃の甘い思い出。

で、バグラヴァとは何かと簡単にいうとピスタチオやくるみを薄いパイ生地と甘いシロップを染み込ませたスポンジのようなものでサンドしたお菓子。

トルコの伝統菓子で有名だが、中近東でも広く食べられている。そういえばチュニジアでも食べたなと思い出して、
「バグラヴァ 万博」
でさくっと検索してみると・・・

トルコはもちろん食べられる、アゼルバイジャンのカフェにもある、なんだったらお土産用のセットも発見、どれも見たことがあるビジュアルでどこも同じ味なんだろうな~と思っていた矢先にみつけたヨルダンカフェのバグラヴァ。鳥の巣のようなものにナッツがごろっとのっている。
こんなの見たことないぞ!これは、一度実食せねばと張り切って出かけた8月1日。カフェもお土産もすべてソールドアウト。

近くにいたお姉さんに聞いたら、再度入荷はする予定だがいつとはいえないと。食べられない、買えないとなると無性に食べたくなる人間の性。

8月3日。今度は友人が万博のために大阪へ。ということでお付き合いしたのだが、どうしてもヨルダンの鳥の巣バグラヴァが食べたい。

ヨルダンって何?と怪訝な顔の友人をほったらかしにして、行ってみたがこれまたソールドアウト。あ~、もう本物のヨルダンに行かないと食べられないのか。

いや、まて、昔ヨルダンにいったとき食べたバグラヴァは鳥の巣じゃなかったぞ。いつからか進化したのか?

もう頭の中はバグラヴァでいっぱい。どうしても普通じゃないバグラヴァが食べたい。と気もそぞろで友人とぶらぶら歩いていたら

「あ!そういえば、ブルンジのパフェとやらを食べたい」

ああ、カヌレやらザクザククッキーやらがトッピングされて映えてかわいいあのパフェね。もう食べちゃったからな・・・とあまり気乗りしない友人想いでないわたくし。しかも、あれって人気になりすぎて整理券方式になったんじゃないかしら?と思いつつもコモンズAへ。

すると入口広場で大勢の人がおいしそうにブルンジパフェを食べている。

も、もしや本日食べ放題?!と聞きに行くと、バニラはもうないが抹茶とのミックスは今も販売していると。以前一度食べたときに思ったのだが、なぜ抹茶とバニラを選べるようにしたのか。海外に抹茶ソフトってそんなないでしょうよ、チョコとかのほうがいいのでは?
は!チョコが世界中で高騰しているから、抹茶のほうが安いのか?という無駄な考え事をしながら友人と並ぶ。

が、自分は食べない。これ並んでて邪魔だよねと思い、きょろってみると目の前に現地の市場のように価格交渉ができると人気のイエメンのショップが目に入った。

「わたし、あそこでぶらついているから買ったらきて」

と言い残し、イエメンへ。なるほど、指輪やらネックレスやら、中東の市場で売ってそうな装飾品がずらり。

「あなたに似合うね、グッドプライスよ」

といわれてまんざらでもなさそうなおばちゃん。早速価格交渉。

「これいくら?」

「8000円、ドルじゃないよ円だよ。安いでしょ」

8000ドルってw 100万円超えるじゃないか。
おもしろい!ちょいぽちゃおじさん!
とはいえみたところ単なるシルバー。しかも、その石はなんですか?って一般人がみてもちょっとしょぼそうな代物なので、8000円はありえないし、どっかの若者の町にいったら3000円くらいで売ってるんじゃないかと思う。最初からふっかけてきてるんだから、こっちもありえないくらいの値段を提示するのがセオリー。

しぶっているおばさんを見て、陽気なおじさんが電卓を差し出して

「ハウマッチ?ハウマッチ?グッドプライスよ」

とたたみかけてくる。腕にまかれてちょっとほしくなってきているおばちゃん。どうしよう・・・と一人悩みながら

「じゃあ、7000円ではどう?」

おじさん、満面の笑みで「OK、OK」と言いながら、おばさんに握手を求める。は!いかんいかん!と思ったのと声が出たのが同時だった。

「ちょっと待った!!!!!!」(←ねるとん紅鯨団風)

と言いながらおじさんの握手の手をはねのけるわたくしめ。

おばちゃんもおじさんもびっくり。あんた誰状態。

「3000円!」

おじさん、頭を抱えて

「ノーノー。」
「じゃ、買わない」(←自分が買うわけじゃないのに)
「ハウマッチ」
「あなたのハウマッチは?」
「7000円」
「ノーノ―、じゃ、3500円!」
指で首を切るようなしぐさをして、俺を殺す気かといった感じで交渉決裂だといわんばかり。負けないぞ。
「じゃあ、いくらなら売るの」
「6500円」
500円単位できたか・・・おそらく8000円の半値は無理だろうから、目標5000円でいくか、と決める。
「ノーノー。グッドプライスちょうだいよ。4000円」
おじさんもニヤリとしてきた。のってきたな。
「6000円」
ファイナルプライスと言わないし、不機嫌にもなってないから、やっぱり5000円くらいまではいける!
「4500円」
首を振りながら、おじさんがいよいよしびれをきらしてきた」
「5500円!これがファイナルプライスだ!これ以下はない!!!」
あと一声いける!
「5000円!」
わかったよといった感じの顔をして、手をだしてきた。

がっちり握手。となるともうちょっといけたかもと思ったがもう握手してしまったしこれ以上はない。

いやいや、待て待て。わたしが買うんじゃなかった。横にいたおばさんだよ。

「5000円でいい?」
「いいもなにも、ありがとう!値引きもできたし、楽しかったわ!」
と喜んで会計にいく。

そんなおばさんを横目にちょいぼちゃおやじがぽつりという。
「ところでお前はあの人の友だちか?」
「ううん、知らないおばさん」
はぁ?といいながら、大笑いするちょいぽちゃおじさんであった。

こうなってくると、なんか買いたくなってきたな・・・しかし、アクセサリーはいらぬ。となるとマグネットか何かか・・と会計と反対側の角のほうへぶらぶら。

そして、見つけてしまったのだ、今絶賛ハマり中のバグラヴァを!

このシールは価格交渉後の値段。読めないw

ああ、そうか、イエメンってそういえば中東。半島の一番下に位置する。バグラヴァがあってもおかしくない。見た目はトルコやアゼルバイジャンと一緒なのだが、何が気になるって
「イエメン コーヒー バグラヴァ」
すなわちコーヒーが使われているところが今までと違う。

もともとアクセサリーを買う気はなかったし、バグラヴァに恋している今、これしかない、価格交渉のターゲットはバグラヴァにした。

早速、暇そうにしているピンク色のシャツを着た若者に声をかけた。

「このバグラヴァいくら?」
電卓を差し出しながら
「ワンサウザンド。ドルじゃないよ円だよ」
このくだり、今、イエメンで流行っているのか?

するとさっきのちょいぽちゃおじさんが気づいて、若者ににやりとしながら何やらごにょごにょ。
「この姉ちゃん、しつこいよ」
とかなんとかアドバイスしたのだろう。

さっきのセオリーでいくと半値は難しそうだから600円くらいが妥当か。

「下げて~」

普通にお願いしてみた。するとあっけなく800円まで下がる。
200円ずつ下がるわけないよな・・・しかもこの兄ちゃん、もう交渉したくなさそう。ファイナルプライスか?ここはまとめ買い作戦でいくか。

「2個買ったらいくら?」
すると、電卓に数字を打ち込む

1500円、すなわち1個750円。

てことはあとちょっといけるな。

「もうちょっとダメ?」

すると、さっきのちょいぽちゃおじさんのように頭を抱えるしぐさをしつつ、腕を平行にゆらして、ファイナルプライスだといったしぐさ。

目標値の600円からするとまだ150円も高い。正直、万博価格からいくと2個で1500円なら安い方かもしれない。が、どうしても自分の設定した金額にもう少しでも近づけたい。

ブルンジパフェに並んでいる友人はまだこない。ということで、そこでいったん交渉をストップして迷っているふりをする。

すると別のお客さんがブレスレッドを購入したそうで、価格交渉。その横にいた女性がバグラヴァに気づき、これも買う!といい始める。
ピンク兄ちゃんとブレスレッドの交渉をしていた男性はブレスレッド値段3000円で落札したものの、さらにバグラヴァはいくら?と聞く。

「1000円!」
やはりスタートは1000円なのだな。

「もうちょっとまけてよ、ブレスレッド買うんだから」

ふーんと考える振りをしながら電卓に打ち込む
「3700円」

ちょっと待て待て。ブレスレッドが3000円ならバグラヴァは、1個700円になってるじゃないか。ブレスレッドを買ったからといってそんなに下げるのかよ。
ということで、にいちゃんたちの交渉が終わった途端、ピンク兄ちゃんつかまえる。

「あの人は1個しか買ってないのに700円っておかしい。わたしは2個買うのに計算があわない」

と無茶苦茶な理屈をこねてブーブー文句。ほんと無茶苦茶。ブレスレッドというちょっとお高めのものを買っているんだから、そのくらいの割引は十分ありうる。個数の問題ではない。わかってはいるが、価格交渉というのは無茶苦茶だからいいのだ。

ピンク兄ちゃんの腕をつかんで、ゆらゆらゆすり、もう一声おねが~いとちょっとゆさぶってみたら、もう負けたよと電卓で提示された金額は目標金額ではなかったものの、まあ納得。

何より楽しませていただいた。それが一番の収穫。
ちょうどいいタイミングで、ブルンジパフェを持った友人がやってきた。

「これ1個お土産」

ブルンジパフェをほおばっていた友人に差し上げた。

さてさて、早速家に帰り実食。

中にピスタチオがごろっと入っていて食べ応え抜群。しかもコーヒー味ということで、コーヒーの苦みが甘味をうまく抑えていて、かなりクオリティーが高い。

これどこで作ってるんだろうと裏面を見てみる。

株式会社BEYZADE
愛知県愛西市
販売者:モハンメド オスラ

うん?なんかトルコ人っぽい名前だな。

ということで、HPがないか調べるとインスタ発見。

愛知県にあるバクラヴァ専門店。なんかひっかかるな・・・とさらに調べる。

トルコパン、トルコ菓子ってトルコじゃん!!!

まあ、原材料のところにモカコーヒー(イエメン産)とあったからイエメンバクラヴァということにしておこう。

トルコで食べたバクラヴァは甘ったるくて胸やけをおこすものが多かったが、質の良いバクラヴァは甘くても胃にもたれないだなと知った万博バクラヴァ。

それにしてもこの愛知県のお店気になる。

と話がちょっとずれたが、価格交渉が楽しい!と思えるのは万博だから。万博に来ている人=選ばれしものたちは基本フレンドリー。フレンドリーじゃなかったらきっと選ばれしものにもなっていない。しかも、バクラヴァやアクセサリーを売らなければ、生活が成り立たないという必死さもない。

実際に海外で値引き交渉をするときはあからさまにいやな顔をする人もいる。あまりに値切りすぎると、あっちいけみたいなしぐさもされる。逆にしつこく追いかけてくる人もいる。価格交渉がいちいちめんどくさくて、もういや!と思ったことも何度もあった。

けれど、万博のイエメンの人はしっちゃかめっちゃかなことをいっても怒らない。帰れ、どっかいけもいわない。何をいっても、しょうがないな~と笑顔。なんだったら恋しちゃいそうなくらいやさしい。

だから楽しかったのかもな。

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