ラマダン中に旅してしまった結果:マンダリンとお供え物事件
イスラム教徒の日常生活で大きく関与する行動といえば
礼拝・巡礼・断食
その中で、旅行者に最も影響するのが断食、すなわちラマダンである。基本的には1年に一度、イスラム歴の9月にあたる月の日の出から日没まで断食が行われる。
というのを知っていたのに、今回、ラマダンのことがすっぽりとぬけ、ちょうどラマダンに突入した時期に旅をスタートさせてしまった。
なぜラマダンの時期に旅をするのが敬遠されるのかといえば
・お店が閉まっていることが多い
・空腹でピリピリしている人が多い(という噂)
以前旅先で出会った人にも
「ラマダン中はみんな殺気立ってるから気をつけて」
と言われたことがある。
ちなみに今回は春節とも重なっていたので最初は中国人観光客がそこそこいた。しかし後半になるとその人たちも帰国。
日本人にお目にかかったのは
ヒヴァ 3人
サマルカンド 3人
タシケント 1人(←在住者だった)
合計7人。
日本人、かなりレアキャラ扱いである。
実際はどうかといえば、確かにお店が閉まっていることが多かった。特にヒヴァのイチャンカラはほぼ全滅。とはいえ、城外に出ればそれなりに見つけられたし、そこまで困ることもなかった。
そして、殺気立っているか?といえば全くそんなことはない。むしろ優しかった。
ウズベキスタンのホテルは基本朝食付き。8時から優雅にブレックファーストといきたいところだが、朝早い出発だと食べられないのだ。そんなとき事情を話すと、だいたい言われる。
「ランチボックス作っておくよ」
優しい。
そして、その日は7時出発。
6時半にはランチボックスを部屋の前のテーブルに置いてくれるということで、6時20分ころドアをあけテーブルをみた。
そこには豪華なフルーツ盛り合わせ。

ランチボックスといっていたからお弁当なのかと思ったら、フルーツを持っていけということか?
いやいや、こんな豪華なランチボックスがあろうか。
なんといっても大好物のマンダリンがある。
ということは袋詰めしないといかんな・・・とジップロックを取りに部屋に戻る。
しかし、ジップロックが小さい。全部入らない。
いや、全部持っていけということではないはず。そんなことはわかっている。が、マンダリンだけはどうしても残せない・・・
ということで、その場で皮をむきむきし、おひとつ。
う、うまい。やっぱりはずれがない。
なんて甘いんだろう。
そして、もう一つ。
あ~うますぎるとどうして人間は目をつぶってしまうんだろう。
そして、もう一つ
これはいわゆる悪魔の食べ物ではないか。
止まらないぞ~と4つめに手を伸ばしたところで、ビニール袋をもった男子がやってきた。両手にマンダリンをもち、口の中にもいっぱいマンダリンをつめた日本人のおばちゃんを見つめて、笑いをこらえている。口の中のマンダリンを飲み込み、なぜ笑うのか聞いた。
「だって、それはお供えものなんだよ」
なに?!
「え?これがランチボックスじゃないの?」
「違うよ、僕が今もってきたこれがランチボックス」
な、なんと!お供えものを食べてしまうとは!
ランチボックスという名のランチの袋にもマンダリンが入っていた。
「ご、ごめんなさい。マンダリンお返しします」
するとさらに大笑いしながら、いいよ、いいよ。持っていきなよ。
ともう彼の笑いのツボに入りまくり。ついでに聞いてみた。
「今、ラマダン中ということはもう朝のご飯は食べたの?」
「いや、僕は普通に食べるんだ。食べないと痩せちゃうから」
ど、どおいうこと?イスラム教徒も多様性の時代なのか?
ちなみにこのお供え物事件の次の日。夕方にのったタクシーの運転手もなかなかだった。だいぶ飛ばすな~と思っていたがこれも海外あるあると思い、ドアの上にある取っ手をつかんで揺れに耐えていた。それをバックミラー越しにみたドライバー。
「俺は腹が減っているとスピードが出てしまうだ。ごめんよ~」
といいながらアクセルを踏み込んだ。いや、わかっているならむしろ減速してほしい。ということで、ウズベキスタンに限っては危険とかそういうのは一切なかった。なんだったらみなおおらかだった。
お店が閉まっていたのも閑散期だったから、繁忙期にむけてリニューアルしているような感じだった。
結果として、
・観光地は空いている
・航空券は安い
・ホテルもリーズナブル
と、むしろ旅はしやすかった。ラマダン中の旅は不便だとよく言われる。
けれど今回の旅で学んだ。
空腹の人たちは怒っているわけではなく、むしろお供え物を食べても笑ってくれるくらい寛大だった。
そして私はきっとこの先、マンダリンを見るたびに思い出すだろう。
あの朝、神様より先に食べてしまったことを。
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