「時間がほしい」と言って夫を困らせた誕生日
誕生日前に「何がほしい?」と聞かれて、私は毎年少し困る。
昔なら、すぐに答えられた。
服とか、靴とか、本とか。
成人する前くらいまでは、欲しいものがたくさんあった。
新しい服を着ると気分が上がったし、
欲しかった本を手に入れると世界が広がった気がした。
でも今は、正直すぐに思い浮かばない。
服は穴があくまで着る。
靴も、靴底がすり切れるまで履いていた。
本も好きだけれど、「今あるもので十分だな」と思ってしまう。
物欲がないわけではない。
ただ、本当にほしいものが少し変わったのだと思う。
とっさに出た言葉は「時間」
今年も夫に聞かれた。
「誕生日近いよね?何がほしい?」
しばらく考えて、口から出たのは。
「うーん……時間?」
自分でも曖昧すぎる答えだと思った。
案の定、夫は少し困った顔をした。
そりゃそうだ。
時間って何。どうやって渡すの。
でも、そのとき私は本当にそう思っていた。
バッグでもなく、服でもなく、
時間がほしい。
「どんな時間?」という問い
そこで終わらなかったのが、夫だった。
「どんな時間?」
その一言で、私はもう一度考えた。
頭の中に浮かんだのは、
おしゃれなお店で、おいしいコーヒーをゆっくり飲んでいる自分。
スマホを見ずに。
誰にも呼ばれずに。
ただ、ぼんやり考えている時間。
モノよりも、深く満たしてくれるもの
20代のころ、ある程度は物欲を満たした。
欲しかった服も買ったし、
新しい靴も履いたし、
好きな本もたくさん集めた。
その時間も楽しかった。
でも、モノよりも、体験のほうが深く残る。
モノよりも、時間のほうが心を満たされた。
旅行に行ったときの空気。
カフェでひとり、静かに過ごした午後。
子どもと笑い合った一瞬。
そういうもののほうが、私の中に積み重なっていく。
スタバ1万円分と、もうひとつのプレゼント
その話をしたら、夫はスタバのギフト券をくれた。
しかも1万円分。
普段そんなことを言わない私が、
「時間がほしい」と言ったからだと思う。
でも、もっと嬉しかったのはそのあと。
「月に1~2回くらい、ゆっくり行っておいで。
その間、子ども見るから」
その一言だった。
プレゼントはギフト券だけじゃなかった。
時間を使っていいよ、と言ってくれること。
遠慮しなくていいよ、と背中を押してくれること。
それが、何よりありがたかった。
今の私にとっての贅沢
私はきっと、そのギフト券を一気には使わない。
ちょっとずつ味わうと思う。
月に1回か、2回。
計画通りにいかないこともあるだろうけれど。
欲しいものが思い浮かばないのは、
何もいらないからではない。
本当にほしいものが、
モノから時間へと変わっただけなのだ。
そしてその時間を、
大切にしていいと言ってくれる人がいる。
それが、いちばんの贈りものだった。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
あなたの1日がすばらしい物でありますように。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはブックサンタへの本寄贈に使用させて頂きます。