若手が電話を取る空気|20代渉外の日常③
支店には、独特の空気がある。
その中でも、
一番最初に覚えたのは、
“若手が電話を取る”
という空気だった。
別にルールとして書いてあるわけじゃない。
朝礼で言われるわけでもない。
でも電話が鳴ると、
自然と若い職員が反応する。
一瞬でも遅れると、
「あ、やば」
ってなる。
たぶん、どこの会社にもある文化なんだと思う。
でも最初は結構緊張した。
JAの支店って、
想像以上に電話が多い。
しかも内容が本当にバラバラだ。
「お米頼みたいんやけど」
「灯油お願いしたい」
「旅行の申し込みってまだできる?」
「通帳のこと聞きたい」
「共済の担当さんいる?」
最初は、
“何の会社なんだここ”
って何回も思った。
でも地域の人からすると、
JAって、
銀行でもあり、
保険でもあり、
生活の窓口みたいな存在なんだと思う。
だから、とりあえずJAに電話する。
それが自然なんだろうなって、
働いてるうちに分かってきた。
電話を取るのって、
単純な仕事に見える。
でも実際は、
地味に気を使う。
相手は年配の人も多い。
聞き取れない時もある。
担当が誰か分からない時もある。
しかも後ろではまた別の電話が鳴ってる。
支店の中って、
ずっと少し慌ただしい。
でも不思議と、
その空気に慣れていく。
電話が鳴る。
誰かが出る。
後ろで伝票の音がする。
コピー機が動いてる。
窓口では世間話してる。
その感じが、
今思うと“JAの空気”だった気がする。
正直、
昭和っぽいなと思うこともある。
若手が先に動く空気とか、
なんとなくの上下関係とか。
でも、
完全に嫌いだったかと言われると、
それも違う。
たぶん、
人との距離が近かったからだと思う。
合理的ではない。
でも、人間臭い。
JAって、
最後までそんな場所だった。
次は、
「営業」というより、
“地域を回る仕事”だった話を書こうと思う。
