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リハビリ、どこまでがんばる?|家族と患者の“温度差”と向き合うために

理学療法士として現場で働いている私が、日々感じていることを今日はお話ししようと思います。

タイトルの通り「リハビリ、どこまでがんばる?」というテーマです。
このテーマは、患者さん本人と、そのご家族で意見が食い違いやすいんです。私も現場で何度も経験しています。


1. 家族と本人の「がんばり温度差」

まず、一番多いパターンはこうです。
患者さんは「もう年だし、無理して歩かなくても…」と考えているのに、家族は「せっかくリハビリしてるんだから、歩けるようになってほしい」と強く願うケース。

たまに、逆のパターンもあります。
患者さんが「まだ歩きたい、外に出たい」と希望しているのに、家族は「もう転んだら危ないし、無理させたくない」とストップをかけるケースです。

この温度差は、想像以上に大きくて、お互いにモヤモヤを抱えやすいんですよね。
私はそういう場面に出会うたび、「誰のためのリハビリなのか?」を一緒に考えることが大事だと思っています。


2. 寿命と生活のバランスをどう考える?

日本人の平均寿命は80歳前後。
70代・80代・90代の患者さんを見ていると、「あと何年元気に過ごせるか」という時間は限られています。

しかし、あと何年生きられるかは誰にもわかりません。

だからこそ、がむしゃらに頑張ることが本当に正解なのか…と考えることもあります。
例えば、残された時間を“リハビリ中心の生活”にするより、“好きなことをして過ごす”ほうが本人にとって幸せな場合もあります。

「歩く距離があと10メートル伸びること」が本当に必要なのか。
場合によっては、「車椅子で楽に移動しながら、生活範囲を広げること」のほうがいいかもしれません。

もちろん、リハビリを頑張ることで生活の幅が広がることもたくさんあります。
ただ、その頑張りが本人の望みと合っているのか、という視点をは常に考える必要があると思います。

「頑張る=正義」の雰囲気に家族さんも引っ張られがちですが、時には立ち止まって考えてほしいのです。

3. 入院期間で変わる「リハビリの目標」

リハビリの進め方は、入院している病期によって大きく変わります。

急性期(発症〜数週間)

脳梗塞や骨折などで入院した直後の時期。
急性期病院は入院期間がとても短いので、ここでは「命を守る」「合併症を防ぐ」「退院できる体の基礎を作る」ことが中心になります。
正直、ここで歩行まで回復できる方は限られます。むしろ、「次の回復期にバトンを渡す」ための準備期間といった方が近いと思います。

回復期(数週間〜数ヶ月)

ここがリハビリの“勝負期間”と言われることもあります。
1日2〜3時間みっちりリハビリを受けられるため、体力や機能の回復が進みやすい時期です。
家族としては「ここでどこまで伸ばせるか」と期待が高まりますが、同時に「頑張らせすぎて疲弊しないか」という心配も出てきます。

生活期(在宅・施設)

退院後の生活が続く長い期間。
ここでは“できることを維持する”ためのリハビリが中心になります。
訪問リハやデイサービスで週1〜2回程度の運動が一般的。
この時期は「現状維持で十分」と考える方もいれば、「もっと歩けるようになりたい」と意欲を持つ方もいます。


4. 「がんばる」の基準は誰が決める?

私が現場で一番大切にしているのは、「がんばる基準」は本人と家族で一緒に作ることです。
どちらか一方の希望だけで進めると、どうしても後から不満や後悔が出やすいです。

例えば…
• 本人が望むゴール(例:家の中で自分でトイレに行きたい)
• 家族が望むゴール(例:外出できるまで回復してほしい)
• 医療スタッフが考える現実的なゴール(例:介助ありきで、何とかトイレに行けるかな?)

この3者の意見を擦り合わせて、何処をゴールとするかを話し合う事で、「納得できるリハビリ計画」になりやすいですが、なかなか難しい場合も多々あります。

もし、3者の意見が合わない場合、私は、患者さんの思いが一番だと思っています。優先順位をつけるなら、患者さん→家族→セラピストの順。

無理と思っていても、患者さんが望むならやらなきゃいけないと思いますし、逆にもっと頑張れるはずと思っていても、患者さんが「やらない」というのであれば、無理にさせる事はしない方がいいと思っています。もちろん、そういった状況を家族さんにも説明しながら進めていくのが大切です。

一番優先べきは、「患者さんの思い」だと私は思っています。


5. 無理せず、でも諦めない

ここまで話してきて、私が思うのは…
リハビリにおいて一番大事なのは、「本人の幸せの形」を見つけることだということです。

“無理せず、でも諦めない”。
そのバランスがとれていると、本人も家族も前向きにリハビリを続けられます。

時には、「もうこれ以上は頑張らなくていいんじゃないかな」という選択肢もあっていいと思います。
それが決して“負け”ではなく、“より良い生き方の選択”になることもあるんです。


6. 家族さんができるサポート

1. 本人の気持ちをよく聞く

やる気がないのではなく、痛みや不安がある場合もあります。

2. 目標を一緒に決める

「旅行に行く」「孫と散歩する」など、生活に結びつく目標が効果的です。

3. 頑張らない選択肢も受け入れる

現状維持も立派な成果です。

7. 最後に

もし今、あなたの家族がリハビリを受けていて、「もっと頑張ってほしい」「もう無理はさせたくない」と迷っているなら、一度立ち止まって考えてみてください。
• 本人が本当にやりたいことは何か?
• そのために必要なリハビリはどこまでか?
• 残された時間をどう使いたいか?

答えは人によって違います。
そして、いつまで生きられるかは誰にもわかりません。だからこそ、家族と本人、医療スタッフの三者で話し合うことが何よりも大切なんです。

私はこれからも、そうした会話のきっかけになるような関わりを続けたいと思っています。
リハビリは“ゴール”ではなく、“よりよく生きるための手段”だと、私はそう思います。

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