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旅先の書店で、巡り合わせを求めて|春の札幌駅

旅先で見つけた書店を、つい確認したくなる。

日本国内であれば、どこの書店も見慣れた本の数々が陳列されている。なのに、不思議なことがある。

場所が変わるだけで、
まるで別の本のように見えることがある
のだ。

だからこそどこの書店でその本と巡り会ったのかが、とても重要なのである。


4月の上旬、札幌でのこと。イベントで仲良くなった知人たちとワイワイ食事をして、心も体も満たされた夜。札幌の大通でお別れをして、ホテルへと向かった。

ふぅっと一息。ベッドに倒れ込んだ。

1日中アクティブに活動したので、体は疲れていた。多分、今コーヒーを飲んでもぐっすり眠れる。でも今すぐに眠るにはまだ早い。時刻は18:20。夜の札幌を、もう少し楽しもうと、ふらりと街に出ることにした。

ベッドに沈み込みそうな体をむくっと起き上がらせて、部屋を出た。ホテルの玄関口に辿り着き、自動ドアが開く。と同時に、スーッと冷たい空気が流れ込んできた。身がキリッと引き締まる。

北海道には何度も訪れているけれど、何回来ても気温が読めない。同じ10℃でも、本州よりは肌寒く感じる。北海道は、風が強い。ビル街に挟まれた大通りを、ぴゅーんっと力強く吹き抜ける風。それは、札幌ならではのことだと密に思っている。

様々思案した結果、今回は分厚いコートを持っていくには季節感にフィットしない感じがして、ジージャンをセレクトしてきた。それにマフラーを持ち合わせて。多少ミスマッチでも、まぁいいかと思った。

中心街から少し外れると、北海道の夜道は暗い。マフラーで温まりながら、信号と、遠くに見える商業施設の灯を頼りに歩く。 


さっき食べたいくら、美味しかったなぁ。


てくてくと歩いた先には、札幌駅があった。けれど私の目的地は、札幌駅ではなく、その周辺にある飲み屋でもなく、
すぐ側にある紀伊国屋書店札幌本店だ。


書店の二重扉を抜けて、中に入る。
1階には話題の新書や小説、女性誌やアウトドアなど様々な雑誌やレシピ本が充実。2階は医学書や絵本がいくつもの棚に分かれて陳列されている。初めて見る本も、地元の書店でよく目にする本も、たくさん並んでいた。


旅行雑誌コーナーには、東京や鎌倉、京都の本が目立つように置いてあった。「北海道でも、本州の雑誌が売れるんだ。」ちょっとした驚きだった。

道内には魅力的なスポットがたくさんある。けれど、移動が難点。例えば札幌・函館間は、電車での移動時間が5~6時間かかると聞く。それを想像すると、札幌から本州へ飛んでしまったほうが、遥かに早く、気軽に行けそうだ。

なるほど、と一人で納得しながら別のコーナーのほうへと歩く。こちらはお弁当の時短本がたくさん。新学期だもんなぁ。

こうして各コーナーを確認しながらぶらぶら歩いていると、何度も見たことのある小説やエッセイ本が目に留まる。地元の書店では購入を見送った本が、なぜか今は気になる。

これが、”書店マジック”

書店の雰囲気とか、本の並び(これを『本の文脈』と表現した人がいたなぁ)、そして書店を訪れている時の心情によって、あっという間にマジックにかかるのだ。

本を買うまでのエピソードって、自分のトキメキそのもので、自分だけの世界。「いいな」という憧れと、敬意と、きゅんと来る気持ちと、本を手に取って1ページ目を開けた瞬間に「ぐワッ」と引き込まれる没頭感と…。

本そのものの魅力と
書店の魅力と
旅の道中の心情とがいい感じに絡み合い、

「今、"買い"だな。」
という瞬間が訪れるのだ。

旅先で書店を確認するのは、一瞬をとらえるような、本との巡りあわせの時を求めているからかもしれない。


二階建て帆立を思い出す。
ぷりぷりでした。


無目的に店内を歩いていくうちに、いくらをつつき合っていた時のワイワイしたテンションがクールダウンしていった。

書店に入ると、ほっとするのだ。

”いつもの顔”が並んでいるなぁって。

世界中にあるスタバやマクドナルドの存在と似ているのかもしれない。海外にいる時ほど、「この国のスタバはどんなものなんだろう」と覗きたくなるし、同時に知っている空間にホッとする。

だから私にとって書店は、旅先での休憩所のようなものでもある。


こんな感じで、少し遠出した時に、いつも通り書店にいく。「ちょっとカフェで休憩しよう」みたいな感覚で、ふらりと立ち寄る。そこで「今、この言葉が響くんだなぁ」って、自分の気持ちを捉える。そして、旅行カバンの中には、お土産ではなく、本が増えていく。(その時のテンションだからこそ買える本だから、これもお土産なのだ。)


あてもなくぶらぶらしていたら、店内放送で「ホタルノヒカリ」が流れ始めた。帰路につくことにした。



翌朝。遠くに雪化粧した山々が見えた。

翌日、札幌から関西行きの飛行機に乗る。私のカバンの中には、お土産として、山の雑誌が詰め込まれていた。


空弁。翌日まで、お寿司を引きずりました。
札幌の「食べるお土産」におすすめです。

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侑子 ︴わたしの山と旅時間✎𓂃 いつも楽しく読んでくださり、ありがとうございます! 書籍の購入や山道具の新調に使わせていただきます。