ここでまたあおーね【2025/3/20】
年が明けて間もない頃、知り合いのニッパーさんから、XのDMにチラシが送られてきた。

3月20日に開催されるイベント「あおー音」。そこに「参加してみないか」というお誘いだった。早速カレンダーを開き、予定を確認。お、ちょうどなんにも予定がない。まっさらなそれにイベント名を書き加えてから、「参加したいです」と返信した。面白そうだと思ったイベントには可能な限り参加をする―。これが僕のポリシーだ。
昨年12月にも「クリスマスリレーコンサート」という音楽系イベントに参加をしている。当日は、SEKAI NO OWARIの「silent」をピアノで演奏した。今、久しぶりにその日に書いたnoteを開いてみたら、あの時の緊張感がくっきりと蘇った。緊張しっぱなしでミスタッチが多かったけど、今となっては良い思い出だ。
正午を回る少し前、会場のある横手市に向かう列車が、秋田駅を発った。それに乗り込んでいた僕は、今日のコンサートのことを考えないようにしていた。考えれば考えるほど、緊張が募って、上手く弾けないような気がしたからだ。気を逸らすため、スマホでできる仕事を淡々とこなした。
1時間ほど電車に揺られ、横手駅で下車する。たぶん、ここに来たのは生まれて初めてだ。幼い頃から定期的に横手へ行くことはあったが、いつも車で、目的地は高速道路を降りてすぐのところにある「ふるさと村」のことが大半だったから、こっちの方には用事が無かった。

駅の東口を出て真正面に見える建物こそ、会場の「Ao-na」(あおーな)である。びっくりするくらい駅から近い。アクセスのしやすさで建物を評する機会があれば、二重丸どころか三重丸をあげたい。もちろん、ここに来るのも初めてだ。


いざ、建物の中へ。


木のぬくもりが感じられる館内には、老若男女問わずたくさんの利用客がいた。それにしてもすごい施設だ。運動ができる「アクティブエリア」や10代限定で利用できる「ティーンズエリア」があって、上の階には「図書館」が併設されている。いろんな人が来たいと思うよなって感じの居心地の良さを感じる。複合型施設の一階を一通り眺めた後、ラウンジの一角に座ってパソコンを開いた。自分の出番まではまだまだ時間がある。ちょっとした作業をして、時間を潰すことにしよう。
演奏予定の14時半を迎える10分ほど前。ようやく席を立ち、会場となる「スタジオ」に足を踏み入れた。すぐに駆け寄ってきたニッパーさんに、次が僕の出番であることを告げられる。いよいよだ。一気に緊張感が高まる。
今、まさに演奏をしている「ponmaru」さんのフルートとピアノの音色に耳を傾けながら、演奏の準備を進める。準備といっても、上着を脱いで、アプリの通知を切って、YouTubeを開くだけ。案の定すぐにタスクは完了したので、空席に着いてその時を待った。
演奏が終わり、会場は大きな拍手に包まれる。いよいよだ。席を離れ、真っ直ぐピアノに向かう。ポロポロと音を出しながら、鍵盤の感触を確認してみた。なるほど。こんな感じか。かなり弾きやすそうでホッとした。一度ピアノを離れて、観客の方に向き直る。ああ、いよいよだ。
ニッパーさん(実は、今日司会を務めてらっしゃいました!)の紹介に続いて、僕の口からも簡単な自己紹介と曲目の紹介をする。マイクを通った僕の声が、会場に反響していつもよりも変に聞こえた。話し終えてお辞儀をする僕に、みなさんから温かい拍手が送られた。それに後押しされるように再びピアノに向かう。またパラパラと音を出し、椅子に座る。右手は鍵盤に置いたまま、左手でYouTubeの再生ボタンを押した。いよいよだ。いよいよ始まる。

今日は「あおー音」というイベント名にちなんで、「青」に関する曲を2曲選んできた。1曲目は、Official髭男dismの「Same Blue」。タイトルに分かりやすくBlue(=青)が入ってる。2曲目は、back numberの「新しい恋人達に」。ドラマ「海のはじまり」の主題歌だ。青といったら海、海といったら「海のはじまり」という脳内マジカルバナナをして、演奏する曲にリストアップした。
演奏は、YouTubeにあがっている楽譜動画を再生しながら、それに合わせて弾くスタイルでおこなう。普段、自宅でピアノを弾く時もそうしている。紙に印刷された楽譜の方が大きくて見やすいのは間違いないんだけど、弾きたい曲が出る度に購入するの大変だし。採譜とか耳コピができるわけでもないから、最近はもっぱら「動画を観ながら演奏」している。
余談になるが、2曲とも「Miz music」さんの動画で演奏した。楽譜動画を投稿している人はごまんといるが、難易度が僕にとって丁度良くて、弾いていて楽しいので、日頃から大変お世話になっている。

さて、肝心の演奏だが、悪くなかったと思います。少なくとも、12月のイベントよりも、自分の納得できる演奏ができた。1曲目の「Same Blue」は、メロディーが走り気味だったのが悔やまれる。トップの音を聴かせようと右手に意識が向くあまり、伴奏のリズムキープが疎かになってしまったのだと思う。細かいミスタッチはあったけど、曲の印象に影響を与えるものではなかったはず。そこそこ良く弾けたのではないか。2曲目の途中から「ゾーン」に入る感覚があって、「新しい恋人たちに」かなり気持ちよく弾けた。1曲目と比べてテンポがゆったりしているので、こちらもこちらでリズムキープが難しい。適度にテンポを揺らしたり、強弱のメリハリを付けたりして、1曲目よりも聴かせる演奏ができた気がする。
全曲弾き終わり、聴衆に向かってお辞儀をする。顔を上げる僕に、拍手が注がれる。嬉しい。素直に嬉しい。演奏前の拍手よりも、心なしか音が大きいように感じられた。
そこから30分くらい、会場に残って他の方の演奏を聴いた。ピアノのソロ。ギターの弾き語り。その人にしか奏でられない音が空間の隅々に広がっていき、その人の色に染まる。空間に色がつく。その色が残ったまま次の人の演奏に移るから、会場は色とりどりに染め上がる。プロとかアマとか、何の楽器を弾くかとか。そこに縛られない「自由」なイベントだったからこそ、会場がとても華やかだったように思う。プロのコンサートとは違った良さが、確かにそこにはあった。
会場を後にして思う。ああ、またここで弾きたいな。こういう場で演奏してみたいなって。
来年も同じイベントが開催されるなら、絶対に参加する。それくらい素敵なイベントだった。今度参加する際は、イベントの頭から終わりまで会場に居られるよう、スケジュールを調整したい。会場の色が変わる様子を徹頭徹尾味いつつ、そこに僕の「色」も重ねてみるんだ。
本日お会いしたみなさん。またどこかでお会いしましょう。
