東京街歩き
今回はソウルではなく東京で街歩きをした昨日の話だ。
姫路駅から新幹線で東京に向かったのは旅目的ではない。
東京を歩いてみたいという願望は昔から持っているが、兵庫の田舎から街歩きを目的に行くには予算的にもなかなか思いきれないところだ。
東京で選んだシニアに相応しい観光地
東京行きを思いきれたのは、東京に住んでいる息子が家族行事に呼んでくれたからだ。
サラリーマンのころ何度か行ったことはあるが、最後に行ったのはもう10年以上も前のことだ。
もちろん新幹線に乗ったのもその時以来で、田舎暮らしのシニア夫婦にとってはその新幹線も非日常だった。
街歩きに選んだ心に残る旅のふるさと東京
さすがに日帰りは難しいのでホテルを取ったが、二日目は午後の新幹線のチケットを買っていたので街歩きに使える時間は午前中だけだった。
朝は息子夫婦が誘ってくれてホテル近くの朝食ラウンジへ行き、そこで街歩きの相談をした。
街選びの条件は新幹線の時間に間に合い、インバウンドなどの観光客が少なく街歩きに相応しい東京らしい街だ。
そもそも旅目的ではないから街歩きのリサーチもしていなかったが、私には東京の土地勘は全くと言っていいほどないため東京に住んでいる息子たちの意見を聞く以外なかった。
もちろん浅草やスカイツリーはどうかといった意見も出たが、おそらく観光客が多いだろうということはいくら東京に疎い私でも察しは付く。
「浅草以外で私のような昭和男にお似合いの街と言えばどこだ」と聞けば、皆が口をそろえたように「亀有か柴又だろう」と言った。
「そういえばもうすぐキムタク主演のTOKYOタクシーって映画が公開されるらしいよ」と女性陣が興奮気味に声を出した。
そんなこんなで東京選りすぐりの街歩きは柴又と決まった。
憧れのトランクが見れる街
柴又には田舎から出てきた両親のためにと息子家族が付き合ってくれた。
迷うことなく電車を乗り継いで柴又まで行くことができたのもそのお陰だ。
実はその前日も電車の乗り継ぎで迷いかけたが、私にとっては土地勘のあるソウルの地下鉄の方が明らかに単純に感じる。
観光客が少なめだったのは土曜日でも午前中だったからだろうが、柴又の駅を降りると昭和フィール満載の通りに直結していた。
観光客を見てもほとんどがシニアの昭和人だ。

比較するのもおかしいが、この前行ったソウルのソンス(聖水)とは比べ物にならないほどの落ち着き加減だ。
駅前のトランクを持った寅さんと、それを見送るさくらの像を見ただけで涙が出るほどの懐かしき昔が蘇る。
そういえば昔、あの大きさのトランクに憧れたのは寅さんの影響だったんだと思い出した。

初めて海外旅行をした時もあれと同じ形のトランクを持って行った記憶が蘇ってきたほどだ。
寅さんのあのトランクは昭和人にとって自由な旅への憧れの象徴と言えるだろう。
あのトランクを持てば自由な放浪旅ができそうだと錯覚したほどだ。
知らず知らずのうちに私が旅好きになったのは、ひょっとして寅さんの影響だったのかと思うのは、寅さんを通しての放浪旅への憧れがそのくらい大くなったのではと感じるからだ。
旅のふるさとを歩く
映画男はつらいよでは寅さんが旅立つシーンを見ていつも羨ましく思ったものだ。
映画なのだから当然だがドラマチックな旅の始まりに自分を重ね合わせて非日常を味わっていたのだ。
そんな心の中の思い出がこの柴又にある。
ファインダーを覗くとその心の思い出が蘇りシャッターを切りたくなるが、そんなこともあり柴又はカメラと街歩きをコンセプトにするのに全く不自然さがない。
特に田舎暮らしのシニア夫婦には懐かしさ溢れ、さらに東京の思い出にも相応しい。

駅から柴又帝釈天までの参道は、これまで以上に写真を撮りたいと心が動く通りだ。
東京、街歩き、カメラ、昭和とこれらのワードが人生の後半を生きる私の心にピッタリと嵌る。
しかも男はつらいよのストーリーの中にいる感覚や、まだ見てもいないTOKYOタクシーの想像まで正に私たちが生きてきた人生をファインダーを通して覗いているようでもある。

広い東京の中で限られた時間を歩く街に選んだのが柴又だったが、おそらく私たちには大正解だったはずだ。
「感動的な出会いこそが旅の価値」と教えてくれた寅さんのこの街は、旅のふるさとと言ってもいいだろう。
今日の思い出も家族と過ごした人生の物語の一枚としてシャッターを切った。
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