【読書記録】ブレイクショットの軌跡
読み終えて、逢坂冬馬さんが大学の数個上の先輩だったことが発覚。。
驚いたよ。こんな作品を書けるのが先輩だなんて。
『同志少女を敵を撃て』をウクライナ戦争が始まる少し前に読んで、
本当に面白くて色んな人におすすめした。
戦争の話が面白い、なんてあまり大きな声では言いにくいことなんだけど、
本当に面白くてあっという間に読み終えてしまった。
この作品もきっと面白いだろうとは思っていたんだけど、なぜか本屋で手に取っては戻してしまう。
”底が抜けた社会の地獄であなたの夢はなんですか?”という帯の言葉がピンとこなくて、レジまで行けず。
そこで私の背中を押したのが、文芸評論家の三宅香帆先生でした。
最近、ブックレビュー番組『PageTurners(ページターナーズ)』というTBS制作の番組が好きでよく観ているんだけど、そこで三宅さんが紹介していた。
三宅さんと一緒に出ている竹下さんも、一緒におすすめしていた気がする。
竹下隆一郎さんについては存じ上げていなかったのだか、二人の本の話がとにかく面白い。どんだけ本を読んでいるんだ…と思わされる。
そして読みたい本がどんどん増えて困る(笑)
そこで二人が絶賛していたので、「もうこれは買うしかない!」と腹を決めた。
よかったです…ほんと読んでよかった。ありがとうございます、お二人に感謝します。
面白すぎました。付箋を貼る時間も惜しくて、読み進めてしまった。
印象に残って好きなのが、板金工の友彦がようやく手に入れたブレイクショットで、「首都高ドライブ」をしているときのくだり。
(この後のシーンを考えると色々切なすぎて…)
愛車…不意に思い浮かんだ単語が、新鮮に感じられた。思えば、所有物に「愛」とつく単語は、あまりないような気がした。愛妻や愛犬などは所有物ではなく、生命のあるものだから、愛の対象になるだろう。だが、愛着を持つとしても、家のことを「愛家」と呼んだり、ギターのことを「愛ギター」と呼ぶ習慣は、友彦の知る限りない。
愛車という言葉が広く一般的に使われていること自体に、車に対する人間の、独特の感情が表れているように思えた。
命はなくとも愛の対象。それを修理する。だからこそ、自分の仕事は誇らしいと思えたのだ。
私は車を運転は出来るけど、愛車もない。でも車に愛を注いでいる人は、結構いる。それが不思議だった。この文を読んで、なるほどと思った。
そしてその「愛」のつく車を修理する板金工の仕事に、誇りをもつ友彦。
いいな、と思った。自分の中にあれば、いい。みんなにわかってもらえなくても自分だけの『善良』。

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