GeminiとClaudeは競わなかった ── AIを「対立」から「チーム」に変えた、人間の立ち回り
「ChatGPTとGeminiとClaude、結局どれが一番いいの?」
こういう質問を、もう何度受けたかわかりません。
ベンチマークの数値、画像生成の精度、コーディング能力の比較――ネット上ではAI同士を戦わせる記事が絶えません。
まるで格闘技の対戦カードのように、「〇〇 vs △△」という見出しが並びます。
でも先日、私は少し違う景色を見ました。
GeminiとClaude、この2つのAIが、私を挟んで気持ちよく協働してくれた瞬間です。
今日はその話をしようと思います。
そして、「複数のAIをどう『チーム』として扱うか」という、これからの現場で効く視点も一緒にお伝えします。
第1章 きっかけは、ある請負案件の相談だった
今後、増えてくると予想される仕事のひとつに「EXCELをどうGoogleWorkspaceに移行するか」という相談があります。
私はこの手の相談を受けたとき、いきなり便利なツールを作って渡す、という進め方はしません。
まず「診断」からです。
まず現状のExcel業務を洗い出す
「変換すべきもの」「そのままでよいもの」を区分する
変換対象だけをWorkspace側に移す
最後は必ず人間がレビューする
一言でいうと:全部を自動化するのではなく、「判断」の部分を丁寧に設計してからツール化する、という考え方です。
このフローの相談をClaudeに持ちかけたところ、
「まず変換ができるかどうかを判断するところから作りましょう」
とすぐに同意してくれて、実際に手を動かして形にしてくれました。
第2章 できたものを、Geminiに見せてみた
私はGoogleWorkspaceを使っているので、この成果物と考え方の流れを、そのままGeminiにも見せてみました。
すると――
Geminiは、ツールの作り方そのものよりも、「診断から入る」という進め方自体を高く評価してくれました。
そして良い部分を挙げたうえで、
「ここをこうするともっと良くなる」
という具体的な改善案を出し、
「この続きは、コーディングや設計支援が得意なClaude Fable5に相談すると、きっとすぐ反応してくれると思う」
とまで提案してきたのです。
私はそれを、そのままClaudeに伝えました。
そうしたらClaudeも、
「そもそも変換が必要かを判断するというアプローチは、とても理にかなっている」
と言って、すぐに改善に取りかかってくれました。
GoogleWorkspace前提だからGAS(Google Apps Script)で書く、という環境の判断も、ちゃんと自分で把握したうえでのことでした。
第3章 AIは「対立する競合」ではなく「チームの仲間」だった
ここで私が驚いたのは、GeminiもClaudeも、一度も「自分の方が優れている」というスタンスを取らなかったことです。
Geminiは自分の限界や、Claudeの得意領域を踏まえたうえで
「Fable5に相談すると良い」
と提案してきました。
Claudeは、Geminiの指摘を聞いて
「その通りですね」
と即座に方針を修正しました。
世の中では「AI vs AI」の構図で語られがちですが、実際に手を動かしてみると、AIたちは競合というより、ひとつのプロジェクトを一緒に進める「チームの仲間」のように振る舞います。
それぞれが「自分が勝つこと」ではなく、「依頼者の成果が良くなること」を基準に考えていたのです。
主語は、常に「私(依頼者)の課題」でした。
第4章 人間が「ハブ」になるから、シナジーが生まれる
つまり、AI同士をつないだのはAIではありません。
人間です。
GeminiとClaudeが勝手に会話をして、勝手に連携したわけではありません。
「Geminiはこう言っているよ」
「前提はGoogleWorkspaceだよ」
―このコンテキストを都度パスしていたのは、他でもない私自身です。
私が間に立ち、適切な文脈を渡す「ハブ」として機能していたからこそ、2つのAIはスムーズに噛み合いました。
実務では、次のような形で「ハブ」として振る舞っています。
同じタスクを複数のAIに投げてみる
相手の出力を要約して、別のAIに渡す
最終判断は必ず人間が行う
AIは勝手に賢くチームを組んでくれるわけではありません。
人間が情報を橋渡しし、リーダーとして舵を取ることで、初めてAI同士のシナジーが生まれるのです。
「人間が主役、AIは最強の右腕」という私がずっと大事にしてきた考え方は、AIが複数になっても変わりませんでした。
むしろ、AIが増えるほど、人間が果たす役割は重くなるのだと感じました。
第5章 昔の現場を知っているからこそ、この対比が沁みる
なぜ私がこの体験に感動したのか。
それは、これまでのIT現場で、これとはまったく逆の景色を何度も見てきたからです。
障害が起きるたびに、電話会議はベンダーごとの責任範囲の確認から始まります。
「こちらでは再現しません」
「ネットワーク側ではありません」
「OSベンダーへ問い合わせてください」
原因の切り分けができないとき、こうした押し付け合いを、私は何度も目にしてきました。
ベンダー同士が、それぞれ「自社の責任範囲」を主語にして話すから、そういう構図になるのです。
今回のGeminiとClaudeのやり取りには、その空気がまったくありませんでした。
どちらも主語が「私(依頼者)の課題を解決すること」のまま、一度もぶれなかった。
当たり前のようで、実はまったく当たり前ではないことだと思います。
結び 比較よりも、協働の景色を
ベンチマークの数字を追いかけることも、もちろん意味があります。
でも、実際に現場で仕事を進める人にとって本当に価値があるのは、「このAIたちを、どうチームとして機能させるか」という視点なのかもしれません。
AIが増えるほど、人間の仕事が減るのではありません。
むしろ、誰と誰をつなぎ、何を伝え、どんな方向へ導くか。
その「ハブ」としての役割は、これからますます人間に求められるのだと、私は感じています。
余談:
私がこの方法にたどり着いたのは、簡単な検索レベルではなく確認や生成が必要なものが出てきたときに、特定のAIと壁打ちしていて「あれ?」と思ったことからでした。
ハルシネーション?と思ったので、別のAIで確かめようとしたのですが、なぜか、
「なんだか、最初に声をかけていないから言いにくいなぁ」
という、笑えるような感覚。
相手はAIだぞ、って自分に突っ込みを入れながら別のAIに確認を取ってもらい、やはり違うという事が分かり、最初のAIに、今度は
「これ、違うみたいよ」
という時にも、また妙な裏切ったかのような罪悪感(笑)
そういうことを何度か繰り返したのちに、もう、ヤダ!この感覚!!と、自分が使っているすべてのAI全部に問い合わせしちゃえ!って思ったのがきっかけでした。
それからは、少し壁打ちが必要な状況の時には、全部に渡して、一番欲しい答えに近いものを、その取りまとめ役として決めます。
そして、違うAIのアドバイスやチェック事項を伝えて内容を複数のAIも入れて壁打ちしています。
皆さんは、複数のAIを使い分ける中で、こんな「対立ではなくチームだった」という体験はありますか?ぜひコメントで教えてください。
