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私が女性プロスポーツトレーナーを辞めた理由

こんにちは。
女性プロスポーツトレーナーとして働いていた過去を持ち、現在はIT企業でエンジニアとして働いている ゆん と申します。

30代の今でこそ、リモートワークで家族との時間を大切にしながら働いていますが、20代の頃私は全く違う世界にいました。
スポーツトレーナーとして、プロ野球選手やオリンピック代表選手を何人も輩出するようなセミプロチームに帯同し、選手たちのパフォーマンス向上に全力で取り組んでいたのです。

でも30代を迎えてしばらくした時、私は大きな決断をしました。

「この仕事を辞めて、全く違う業界に転職しよう」

今回は、なぜ華やかに見えるスポーツ業界を去ったのか、特に女性として感じた困難も含めて正直にお話しします。同じような環境で悩んでいる方、キャリアチェンジを考えている女性の参考になれば幸いです。

女性スポーツトレーナーとしての20代

まず、私がどんな環境で働いていたかを簡単にお話しさせてください。

私が所属していたのは、プロ野球選手を何人も輩出している社会人硬式野球チーム。そして、そのチームを移籍してからは、複数のオリンピック選手を輩出している強豪ソフトボールチーム。関わる選手たちは皆、全日本・世界レベルで戦っているトップアスリート達でした。

主な業務内容

  • 選手の身体能力測定、分析

  • トレーニングプログラム作成

  • 怪我の予防、リハビリ指導

  • 選手の身体のケア、コンディショニング

  • 選手への鍼灸施術(私は鍼灸師の国家資格を持っています)

  • 試合・合宿への帯同

  • 栄養指導・生活習慣のアドバイス

やりがいと充実感

正直に言うと、この仕事には大きなやりがいがありました。自分にとって天職だとも思っていました。

自分が関わった選手が全国大会や世界大会で活躍する姿を見るのは何物にも代えがたい感動でしたし、選手たちから「ゆんさんのおかげでパフォーマンスが上がった」と言われた時の喜びは、今でも忘れられません。

スポーツ科学の最先端に触れ、人間の可能性を最大限引き出す仕事は、私の知的好奇心も満たしてくれました。

でも、女性として働く現実は厳しかった

しかし、華やかに見えるスポーツの世界の裏側には、特に女性にとって多くの問題がありました。

1. 極端な長時間労働と体力的な限界

朝6時から夜10時まで、週6日勤務が当たり前

  • 早朝練習の準備

  • 午前中の個別指導

  • 午後の全体練習

  • 夕方の補強トレーニング

  • 夜のケア、コンディショニング

  • 反省会、明日の準備

合宿や試合の期間中は24時間体制。選手が怪我をしたり、体調不良を訴えれば深夜でも対応が必要でした。
また、合宿や試合帯同の場合は県外に遠征することがほとんどのため、1〜2週間自宅に帰れなかったり、帰れたとしてもすぐにまた次の遠征、と自宅でゆっくりできることはほとんどありませんでした。
遠征の合間やオフシーズンなどでホームグラウンドに帰ってきても、日々の練習帯同と、休日は選手の病院帯同(ドクターとの連携)などで自分の時間は全くと言っていいほどありません。

20代は体力と気力、何よりトレーナーという仕事に対しての熱い気持ちで乗り切れましたが、30代に近づくにつれ、「このままずっと同じ状況で働き続けることは難しい」と、身体的・精神的な疲労を感じるようになりました。

2. 将来への不安:出産・育児との両立の困難さ

これが最も大きな問題でした。

現実的な問題:

  • 妊娠すればトレーナーとしては働けない

  • 産休・育休制度はほとんどのケースで使えない

  • 復職しても、子供ができる前と全く同じ環境で働き続けることは非常に困難

妊娠すれば、身体的にいろいろな制限がかかります。また、どうしても妊婦ということで周りにも気を遣わせてしまいます。トレーナーは体力仕事で、時には自分のことよりも選手のコンディションを優先して業務に当たらなければならず、ひとたび出勤すればしんどいとかお腹が張ったとかは言っていられません。また、間接的にではありますがチームにいれば多くの人の目に触れる仕事でもあるので、少なくともお腹の大きさが目立ってくる頃にはトレーナーとして働き続けることはかなり難しいのではないかと思います。
また、特にチーム帯同のトレーナーはポストの空きが非常に少なく、志望者はいくらでもいるので、産休や育休は基本的に有って無いようなものになります。母体となる会社と社員契約を結んでいれば、他の社員同様「制度上は」産休・育休も存在しますが、酷ではありますがチームとしては産休・育休に入ったトレーナーを待ち続けるよりも新しく別のトレーナーに来てもらったほうがメリットが大きいため、産休・育休は取らずにそのまま退職するケースがほとんどだと思います。(少なくとも私の周りでチーム帯同の女性トレーナーが産休・育休を取った話は聞いたことがありません)
また、運よく産休・育休が取れ、かなり運よく復職できたとして、子供ができる前とまったく同じ環境(労働時間や遠征帯同で自宅を空ける等)で働くことはもう不可能レベルで困難だと思います。

3. 不安定な雇用形態

チーム帯同でスポーツトレーナーをやっている人のほとんどはフリーランスか契約社員です。
これは、スポーツ界が年度ごとに選手の入れ替えやチームの再編を行っていることにも関係します。選手だけでなく、監督やコーチ、トレーナーも、毎年契約更新の時期には次年度の進退を気にしてソワソワします。

  • 年度ごとの契約更新(妊娠・出産など業務遂行上ハンデが発生する要因がある場合は更新されない可能性大)

  • 退職金なし

  • 一般的に企業が提供している福利厚生や保障がほとんど受けられない(制度上はあるが使えないケースがほとんど)

4. 限られたキャリアパス

女性のスポーツトレーナーとしてのキャリアアップは、さらに限定的でした。

  • より強豪なチームへの移籍(子供ができたら現実的に困難)

  • フリーランストレーナーとして大学生など複数のチームをかけもち(労働時間・環境としては変わらないケースが多く、結局のところ育児との両立が難しくなったり、多くの場合プロ・セミプロチームよりも単価が下がることで収入が不安定になる)

  • 専門学校等での講師(トレーナーとしてスポーツ現場に出ることはできない)

少なくとも私の周りには、子供がいる女性でトレーナーとして長期的に働き続けられるロールモデルがいませんでした。

転機:結婚と将来設計への現実的な不安

30代に入ってすぐに結婚したことが、私の価値観を大きく変えました。

子どもを持つことへの不安

結婚後、夫との将来設計を話し合う中で、現実的な問題が見えてきました。

「この仕事を続けながら子どもを育てられるだろうか?」

  • 妊娠中の長時間労働・遠征帯同

  • 出産後の職場復帰の難しさ

  • 子育てと仕事の両立不可能性

  • 勤務時間的に保育園に預けるのは無理(絶対に迎えに間に合わない)

私も夫も実家が遠く、自分達以外に子供を任せられる人はいません。
また、夫も激務でとても二人だけで子供を育てていける状況ではありませんでした。
子供を望むなら、いつかは辞めなければならない仕事であることは明白でした。

考えれば考えるほど、私自身の将来像が描けませんでした。

それでもやっぱり子供は欲しい

いよいよどうするか?年齢的にも高齢出産が近づいてきており、ゆっくり考える時間もなくなってきました。
苦労して掴んだ、夢だったトレーナーという仕事。だけど、その夢を優先することで子供が産めない歳になってしまったら、後悔しないか?
まして、欲しいと思ってすぐにできるとも限らない。
悩みに悩みましたが、私の場合は、トレーナーとしてのキャリアを諦めてでも家庭を築くこと・子供を持つことを選択しました。

「子どもを持っても長く働き続けられる環境に身を置きたい」

そうと決まれば、子供を迎え入れられる環境を整えるしかない。

なぜソフトウェアエンジニアを選んだのか

実は、小学生時代からコーディングを身近なものとして遊んでいました。学生時代は趣味で小さなWebサイトを作ったり、トレーナーになってからはトレーニング測定結果の分析スクリプトを書いたり、自分自身の業務効率化を図るために少しずつ開発もしていました。

副業としてホームページ制作依頼を受け、お小遣い稼ぎなんかもやっていました。

ソフトウェアエンジニアの魅力(特に女性にとって)

  1. 柔軟な働き方

    • リモートワーク制度

    • フレックスタイム制度

    • 育児との両立がしやすい

  2. 妊娠・出産後も続けられる

    • 体力的な負担が少ない

    • 産休・育休制度が整っている企業が多い

    • スキルがあればブランクがあっても復職・転職しやすい

  3. 成長業界での安定性

    • 市場拡大が続いている

    • 人材不足で求人が豊富

    • スキルアップによる収入増加が期待できる

  4. 論理的思考の活用

    • スポーツ科学で培った分析力が活かせる

    • データドリブンなアプローチは共通

転職への第一歩

業界未経験の30代をいきなり雇ってくれるところはないだろうと踏み、まずは自分の立ち位置の把握と、基礎をしっかり固めることからはじめました。

具体的に何をしたかというと:

  • プログラミングの学習時間確保

  • ポートフォリオの制作

  • 実務経験となる事例の積み上げ

  • 転職エージェントへの登録

  • 情報収集のアンテナを広げる

詳しい内容については、別の記事で詳しくお話しする予定です。

現在の状況

転職を経て今、私は以下のような働き方を実現できています:

  • 労働時間: 週40時間(残業は月10時間未満)

  • 働き方: フルリモート正社員

  • 休日: 土日祝休み、有休消化率100%

  • 福利厚生: 産休・育休制度充実、社保完備

年収は少しだけ下がりましたが、福利厚生や働き方を考慮すると、トータルでの満足度は大幅に向上しました。

何より、子どもを持っても長く働き続けられる環境を手に入れることができました。

女性として伝えたいこと

1. キャリアの選択は早めに

女性には出産という人生の重要なイベントがあります。「いつか考えよう」では遅いかもしれません。20代後半には、いまの仕事との両立が可能か?その先の長期的なキャリア設計を真剣に考えることをおすすめします。

2. 「好きな仕事」と「続けられる仕事」は違う

スポーツトレーナーの仕事は大好きでした。でも、人生全体を考えた時に「長く続けられる仕事」かどうかは別の問題でした。

3. 転職は「逃げ」ではない

「せっかく積んだキャリアを捨てるのは勿体ない」と言われることもありました。でも、自分の人生に責任を持てるのは自分だけです。

スポーツ業界を否定しているわけではありません

ここまで読んでいただいて、「スポーツ業界を批判している」と感じる方もいるかもしれません。

でも、そうではありません。

スポーツトレーナーとして過ごした時間は、私にとって本当に貴重な経験でした。トップアスリートたちと向き合い、彼らの成長をサポートする仕事は、間違いなく社会的意義のある素晴らしい職業です。

ただ、特に女性にとって働き続けるのが困難な環境があるということです。

これは、スポーツという業界が持つ性質上どうしても仕方のないことだと思っています。
ただ、自分の人生をどう生きるかは自分で選択できますから、そういった困難も踏まえてどの道を選んだとしてもそれはその人にとって正解なのだと思っています。

最後に:同じような悩みを持つ女性へ

もし今、スポーツ業界や体力勝負の職場で働いていて、将来に不安を感じている女性がいらっしゃるなら、一度立ち止まって考えてみてください。

  • 10年後、20年後も今の仕事を同じ労働環境で続けられるか?また、今と同じモチベーションを保ち続けられるか?

  • 子どもを持った時、仕事との両立は可能か?

  • 自分が理想とする生き方に合った働き方か?

このブログでは、私の転職体験やキャリア設計を通じて、同じような状況にある女性の方々に少しでも役立つ情報をお届けしていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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