上野原に映画館ができた日
3月15日、山梨県上野原市に小さな映画館がオープンした。
名前は CineYama。
場所は、かつて幼稚園だった建物。
オーナーのマシューさんが
初めてこの建物を見に来たとき、
状態は決して良いとは言えなかったそうだ。
カビが生え、雨漏りもしていた。
それでも、建物の中に立った瞬間、
「ここは映画館になる」
と直感したという。
その直感から始まったプロジェクトは、
地元の人たちの協力を得ながら少しずつ形になり、
ついに映画館としてオープンした。

外観はどこか懐かしい。
でも中に入ると、新しく整えられた空間が広がる。
そのギャップがとてもいい。

壁には映画のポスター。
カウンターにはポップコーンマシン。
細かな小物の一つ一つに映画への愛情とセンスを感じる。
そして何より印象的だったのは、音。
スピーカーから流れる音がとても良かった。

この日上映されていたのは
『ロボット・ドリームズ』。
この映画にはセリフが一切ない。
アニメーションの繊細な動き、音楽、効果音。
それだけで物語と感情が伝わってくる。
音楽の使い方も印象的で、
Earth, Wind & FireのSeptemberという曲が
重要なモチーフとして登場する。
言葉がないからこそ、映像と音がより豊かに感じられる。
観ているうちに、自然と登場人物の気持ちに寄り添ってしまう。
そんな映画だった。
ADDress上野原A邸、三十日珈琲から
CineYamaまでは徒歩10分ほど。
山道を下り、小さなトンネルをくぐる。
ほんの10分だけど、冒険のような感覚になる。
映画館に行くまでにすでに体験が始まっている。
都会で映画を観に行くのとはまったく違う映画体験だと思う。

映画を観終わったあと、帰り道を歩きながら余韻に浸る時間もいい。
山の静けさの中で映画のシーンや音楽をゆっくり思い出す。
そんな時間も含めて
映画体験なのだと思う。

上野原に、豊かな時間の過ごし方がまた一つ増えた。
地域の人も、外から来る人も、
この新しくて、どこか懐かしい映画館をぜひ楽しんでほしい。
