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ジュエリーボックスにふさわしい私を迎えにいく

小学生の頃、祖母の家で見つけた、
少し重たいアンティーク調のジュエリーボックス。

キャラクターのついたプラスチックの小箱とは違って、
それはどこか、大人の匂いがした。

ガラス越しにネックレスを飾れる場所。
お気に入りだけを見せるための引き出し。
中には、ふかふかのクッション。

宝石を守るための、
小さなお城みたいだった。


目を輝かせて見惚れていると

「ゆのちゃん、それ持って帰りんか」

祖母のその一言で、
私は宝物を手に入れた気がした。




でも、家に帰って
自分のアクセサリーを並べてみると……

ビーズで作った指輪も、
おもちゃのパールも、
雑貨屋さんのネックレスも。

どれも、このジュエリーボックスには
似合わなかった。


そのとき、子ども心に思った。

ああ、
これはまだ、私のものじゃないんだなって。



それから長い間、
このジュエリーボックスは
アクセサリーを入れる場所じゃなくて、

「いつか大人になる私」を待つ
置物になった。


棚の上で、静かに。
大人になるのを、
ずっと待ってくれていた。



けれど大人になった今、
私は美容部員として9年働いて、
副業もして、
もう自分にジュエリーを贈れる年齢のはずなのに。

気づけば、
自分を満たすことを他人に委ねて、
300万円の借金を抱えていた。



あのジュエリーボックスは、
もうどこにあるのか分からない。



でも、
あのときと同じように。

私の中の「ジュエリーボックス」は、
今もまだ空っぽのまま。




どんなに美しい箱を持っていても、
中身が伴っていなければ、
結局は輝かない。



だから私は今、
この美しいジュエリーボックスに似合うジュエリーに
自分自身がなりたくて、もがいている。




このエッセイは、天野エリカさんのフォトギャラリーにあった一枚の写真から、ふと蘇った子どもの頃の記憶をもとに書きました。

美しくてロマンチックな世界観の写真たちは、あの頃のジュエリーボックスのように、静かな輝きを秘めていて、思わず見入ってしまいます。

素敵なインスピレーションをありがとうございました。


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