202601 食べるアート
去年で、10年以上続いた『相馬田んぼアートプロジェクト』が一旦終了した。
「終わり」の文字を自分で打つのがなんだか寂しくて、なかなか振り返ることができなかった。
けど先日、ずっと一緒にやってきた仲間と盛大に打ち上げをして、それがあまりに楽しくて、幸せで、みんなずっと笑ってて、だからこそ「あー終わったんだ」と納得することができたのかもしれない。
福島県相馬市岩子地区。
相馬野馬追が有名で、穏やかな海と田んぼがある、よくある田舎の風景。
人生でこんなに何度も行く場所になるなんて思ってもみなかった。
2011年の震災で、田んぼに海水が入ってしまったため塩害によって3年ほど稲作ができなくなり、2014年に田んぼの作付けが再開するときに復興を盛り上げるため?に田んぼアートをやることになったのがこのプロジェクトの始まり。
わたしは、演劇関係のお友だちから「ゆらこちゃん、畑とかやってるから好きそうだと思って」と誘われて軽い気持ちで参加した。
そして気づけば10年が経っていた。
あの場所でいろんな人と出会った。
演劇なんて見たことない漁師が、わたしの舞台を観に東京まで来てくれた。
どれだけ一瞬だろうがテレビに出たらみんな「ゆらこが映ってる!!!」と喜んでくれた。
旬の美味しいものを山ほど食べさせてくれた。
鮭のおなかからいくらが出てくる瞬間を初めて見たのもあの場所だ。
収穫したお米でクラフトビールも作ったし、それがまあ美味しいこと!
お酒好きが多いのも、メンバーの特徴だったかもしれない。
”食べるアート・呑めるアート”
『アート』って言葉、なーんかいけすかない感じするよなあ、と感じてたわたしには、最後お腹の中に入れておしまい!ていう田んぼアートの潔さも好きだった。
夜の田んぼでプロジェクションマッピングもやったし。めちゃくちゃ『アート』してた。




とはいえ自然相手のイベントでは大変なこともたくさあった。さんざん雨にも降られたし、絵はなかなかうまくできないし。
意見はぜんぜんまとまらないし、人の話は聞かないし、すぐ揉めるし。
トラブルに関しても、思い出したらキリがない。でも、いい思い出。
田んぼの作業で、わたしが一番好きなのは『田植え』だ。
まだ貧弱な頼りない苗を何本かまとめて植えるとき、「これがお米に変わるのか…!?」と毎回ドキドキする。だって不思議すぎる。水と、太陽によって成長して、米ができるって。でも苗は太い束で植えるのは禁物。
逆に成長が悪くなって良いお米が育たない。だから心を鬼にして(?)2、3本だけ掴んで泥の中にグッと押し込む。
で、次が『脱穀』。
脱穀して精米機にかけると、真っ白のお米が精米機から飛び出してくる。
あの瞬間がまた感動で。
主食が米の国に住んでてあれを知らないで生きるのは勿体なさすぎると思う。



あの日、地震が起こらなかったら出会わなかった人たちと、出会わなかった風景と、知らなかった体験の数々。
ただ、そんな「もしも」は考えても仕方ないんだろう。
わたしたちはなんの因果か、出会った。それだけ。
考えるなら未来のことがいい。
「実はまたみんなで集まれるプロジェクトを考えているんだけど…」
キラキラした眼でそう言ってくれる相馬の仲間がいるおかげで、わたしと相馬の縁はまだまだ続きそうだ。

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【高野ゆらこ今後の予定】
◆大阪演劇祭2026
ノーミーツ『オルタナティヴ・スケロク〜東京歌舞伎町輪舞曲〜』
2026年2月 18日(水)18:30
20日(金)18:30
22日(日)11:00

◆『スマート葬儀ジョブ』CM出演しました!
映画「ほどなく、お別れです」公開に合わせて2026年2月6日(金)~2月19日(木)限定でローソン・ユナイテッドシネマ系列 全国38劇場(ユナイテッド・シネマ豊洲、キャナルシティ13ほか)の映画館にてこちらのCMが流れます。
よろしければ映画館でご覧ください。
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