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文学フリマへの道 1


2025.5.11 東京ビックサイト

「自分で本を作りたい」

ふと、そう思った。
2006年に小説『結婚写真』(NHK出版→小学館文庫)を出して以来、数年ごとにポツポツと書籍を出していただいている。小説、エッセイ、テキスト、翻訳などいろんな形で本を作ってきた。(最新刊は9月5日に出た『水の月』(潮文庫))

冒頭の言葉は、出版社からの商業出版という意味でない。
自分の本を作ってみたい。
世で言う「自費出版」のこと。それも出版社も通さずやってみたい。
当然出版社から原稿料や印税が支払われない。
どれだけ売れるかもわからない。
リスクを背負って本を作りたい、と思ったのにはわけがある。
それはまた折々記したい。



ある日、Xのトレンドに「文学フリマ40」というタグがあった。
気になって検索してみた。5月に東京ビックサイトでやるらしい。
たまたま別件で会っていたアンソロジストのハマダさんにふと「文学フリマ、知っていますか?」と聞いてみた。
するとハマダさんのお知り合い(ハマダさんが主宰するてりとりぃの同人)のヤマシタさんが昨年文学フリマに出店したという。
「ヤマシタさんに話を聞いてみたらどうですか?連絡とりますよ」
「ぜひお願いします!」
 
4月某日、神楽坂の和風喫茶でヤマシタさんにお話を伺った。
ヤマシタさんは映画ソフト/番組制作者。
文学フリマで出品したのは、映画ソフトに関する冊子だった。
100冊ほど作って、開場後1時間で売り切れた。SNSで宣伝したら、地方在住の友人に頼まれて代わりに購入しに訪れたお客さんもいたという。
「文フリ、楽しいですよ」と優しい口調のヤマシタさんは、わたしのつたない質問に答えてくださる。
実物の冊子をお持ちになり、文学フリマのブースの写真も見せてくれた。
折り畳みの長テーブルの半分が1ブース。なんだか高校の文化祭みたいだ。
「もし出店されるなら、ブースをお隣同士にしましょう。助けあえます」
ヤマシタさんのお言葉、めちゃ心強い!
いろいろ話を伺ったけど、実際の文学フリマに行ってみた方が早いだろう。

5月11日、ゆりかもめに乗って東京ビックサイトへ向かった。「文学フリマ東京40」の会場だ。
開場は12時。15分ほど遅れて現地到着。
入り口には行列ができている!
チケット売り場で入場料千円を支払い(現金のみ、事前にネットでも購入できる。18歳以下は無料)列の最後に並ぶ。
列の脇を、反対方向へ歩く人たちがいて、手には各々本が入った袋を持っている。「え、もう帰るの?」

ヤマシタさんも言っていたが、目的の本を買うために、開場前から並び、買ったらすぐに帰る人がいる。つまり熱心な人たちだ。

長い行列から解放され、ようやく会場入り口。下りのエスカレーターから見えるだだっ広いエリア。かなりの数のブースが並び、無数の人々が行き交う光景に圧倒された。
「お金を払って、本を買いに来る人がこんなにいるの?」
スタッフさんから手渡された文学フリマのブース案内の冊子を開く。
文字が小さくて読めない。老眼鏡を持ってくればよかった。
表紙には大きく出店数2,750と書いている。

文学フリマと記しているが、ブース案内の冊子にはこうある。

「文学作品展示即売会 文学フリマ東京40」


HPには「作り手が「自らが〈文学〉と信じるもの」を自らの手で作品を販売する、文学作品展示即売会」とある。
スタートは12時 クローズ17時。5時間の即売会。
40という数字は、これまでの開催された回数。東京では40回目のフリマ。
今年は6月に岩手、8月に札幌、9月に大阪、そして11月には文学フリマ東京41が開催予定だという。

もし、わたしが出店するなら11月だな。 

なんだかワクワクしてきた。
計画しているときって一番楽しい。
しかし開催は11月23日。
26年ぶりの主演映画「道草キッチン」公開日(11月22日)の翌日だった!
当日の舞台挨拶はもちろん、その前後は宣伝で多忙になることが予想される。
更年期の体力と気力は大丈夫か? 不安が心をよぎる。

だけどやってみたい。
チャレンジすることが少なくなった今だから、何か新しいことをやりたい。
自分で本を作る、という夢が叶う

心が動いたら、従ってみよう。



本を作って、自分で売ってみよう。









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