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小さなシイタケからよみがえる、母の味。

先日、買い物に出かけた先で手に入れた岩手県産のシイタケ。ひと盛200円とお買い得だったので、小ぶりのものを選んで、ただいま天日干し中。
年末は、これで筑前煮を作ろうと思っている。

シイタケも日向ぼっこ~。

母の手料理は何でも美味しかったが、大人になってから一番のお気に入りは「筑前煮」だった。

大きな鍋でたっぷり仕込むから、一度作ると数日は食卓に上る。しかも子どもだった私たちは、里芋や鶏肉、レンコンなど“好きなもの”から先に食べてしまうので、最後に残るのはいつもタケノコと人参とシイタケばかり。それでよく怒られたっけ。

そうそう、最後に溶けた里芋の、あの“とこっと”したところ、好きだったなぁ。



2017年春の一時帰国のとき。大阪の長女宅に、母と私たち夫婦、そして同じ関西に暮らす2番目の姉が集まり、いっしょに昼食をとった。

母と三姉妹が一堂に会したのは、父の葬儀以来、実に14年ぶり。父が亡くなった翌年にオットが海外赴任になったため、私はみんなが集まる法事というタイミングをいつも逃していた。

父亡きあと、母は家じまいをして福岡に引っ越し。父方代々の菩提寺のそばに暮らしていた義母(私の祖母)と同居し、彼女のお世話をしながら穏やかに暮らしていた。法事には参加できなかったけれど、それでも一時帰国のたびに福岡に寄り、母を連れて九州旅行に出かけるのが私たちのお決まりだった。

ただ、そんなことを何回か続けているうちに、九州で行きたい場所はひと通り訪ね終えてしまった。予算や日数を考えると新しい旅先も難しい。それでこの年は趣向を変え、「大阪の長女宅に集合」という話になったのだ。

「久しぶりの日本やし、ももんが食べたいもの作るわ。何がいい?」

母からのメールに、私は迷わず「筑前煮!ほかはなんでもいい!」と返信した。

母は私たち夫婦が大阪に到着する前日に来阪し、筑前煮を仕込んでくれたらしい。母の想いに胸がぎゅっと熱くなる。

前日、姉から調理途中の写真が送られてきた。菜箸やお玉を使わず、鍋ごと大きく揺すって具材を混ぜる母の筑前煮。里芋が煮崩れることなく、具材ひとつひとつが美しい。

お姉ちゃん、途中経過じゃなく完成品を送ってほしかったよ~。

母とはZoomもしていたし、姉たちともメールでやり取りしていた。でも、やっぱり「会って話す」時間はぜんぜん違う。

楽しくて、温かくて、優しい時間。
まさかこれが、母の最後の手料理になるなんて——誰が想像できただろう。

その日、2番目の姉は帰宅し、母と私たち夫婦は長女の家に泊めてもらった。夜もずっとおしゃべりしていたはずなのに、何を話したのか思い出せない。自分の記憶力のなさが恨めしい。

翌日は、私たち夫婦と母の3人で京都旅行へ。
そのときの話は、またいずれ。

というわけで、筑前煮。
母の味にはまだまだ及ばないけれど、少しずつ近づきたいと思っている。


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