しずか、しずか|きり、はじめて、はなを、むすぶ
見上げると、桐(きり)の木の、高い枝の上で、
ちいさな実が、しずかに結ばれています。
だれも見ていない高さで、桐は、ちゃんと、仕事をしています。
■ 桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)について
きょうから、二十四節気の大暑(たいしょ)が始まります。
大暑のいちばんはじめの候は、桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)。
七月二十三日ごろからの、およそ五日間の物語です。
「桐、はじめて、花を結ぶ」。桐の木が、はじめて実を結ぶ候。
桐は、五月から六月にかけて、紫色のうつくしい花を咲かせます。
そして、花が終わったあと、夏のさかりに、目立たない実を結びます。
花のときは、桐は、よく見られる木です。
でも、実のときは、だれにも気づかれません。
それでも、桐は、毎年、ちゃんと、実を結びます。
■ 曲「桐始結花(きり はじめて はなを むすぶ)」
きょうの一曲を、ここに置いておきます。
歌詞のなかから、すこしだけ。
「ブログを書く人も
料理をつくる人も
子どもを育てる人も
みんな 見えない実を結んでいる
目立つことだけが
価値じゃない
しずかに実るものに
時間はちゃんと
ありがとうを払ってくれる」
桐の木は、花の咲く時期だけが「桐」の時期じゃありません。
花が終わったあとの、地味な実の時期も、ちゃんと「桐の仕事」をしています。
わたしたちも、おなじです。
だれかに見られている時間だけが、人生じゃありません。
だれにも見られていない時間も、ちゃんと、わたしの仕事をしている時間です。
■ だれにも見られない時間
毎日、だれかが見ている前で、人はそんなにたくさんのことを、していません。
部屋でひとりで本を読んでいる時間。
台所で、自分のための一杯のお茶を入れている時間。
夜中に、なんとなく考えごとをしている時間。
そういう、「だれも見ていない時間」のなかで、わたしたちはじつは、いちばん大事なものを育てているのかもしれません。
桐の実は、空の近くで、しずかに、しずかに、結ばれていきます。
だれにも見せるためじゃない、自分のいのちのために。
あなたの今日のだれも見ていない時間も、きっと、おなじです。
■ 見えない実りに、ありがとう
最後にひとつ、桐に教えてもらった大切なことがあります。
それは、「見える成果」だけが、成果じゃない、ということ。
家事をする人。
人を看護する人。
だれかの話をだまって聞いてあげる人。
泣いている子どもを、抱きしめて見ている人。
ぜんぶ、桐の実みたいなお仕事です。
表彰されなくても、報酬がなくても、だれかに気づかれなくても、
ちゃんと、いのちを支えている。
ありがとう、と、桐の枝を見上げながら、わたしは言いたくなります。
■ 次の候は、土潤溽暑(つち うるおうて むしあつし)
桐始結花のあとは、土が湿って蒸し暑くなる候へと移ります。
大暑の3つの候、ゆっくり一つずつ、お届けしていきますね。
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今日も、ぼちぼちいきます。
ゆるら|透析の看護を20年すこし
リウマチとうつと共に暮らしながら、
やさしい言葉とアプリと歌を作っています。
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