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SaaSプレイドのコンサル成長戦略!CS高付加価値化は解約率を下げ止める!?

この記事はPodcast「四季報読みまくって脳ムキムキRADIO」の文字起こしをベースに編集を加えたものです!

ぜひ、Podcastでも聞いてみてくださいね!

新年を迎えての四季報写経。今回着目したのは、顧客体験(CX)プラットフォームを展開するプレイドという企業です。

利益率の低さという課題を抱えながらも、その弱点を逆手に取った事業戦略で成長基盤を築きつつある—そんな非常に興味深いフェーズにあると感じました。

SaaS企業としての「成長痛」と「成熟の兆し」?

年末年始、なんとか写経を継続することができました。習慣として日々の四季報をまとめ、Xでも更新を続けています。

その中で主に見ていた範囲は、業務特化SaaS(Software as a Service)や業界特化SaaSです。インターネット経由でソフトウェアを利用可能にするサービスのこと。

2年ぐらい前はSaaSバブルが弾けて、バリュエーション(企業評価)が適正化されたイメージだったのですが、ここ最近を見ていると、どの企業も躍進を夢見て協業や新製品開発などに乗り出しているんだなということが分かってきました。

そうした中で今回取り上げたいのが「プレイド」です。
同社はSaaS企業としての「成長痛」と、ビジネスモデルの転換点ともいえる「成熟の兆し」が混在する、本当に興味深いフェーズにあると感じています。

プレイドってどんな会社?

会社名はプレイド、証券コードは4165。
情報・通信業セクターに属するCX(顧客体験)プラットフォームの注目企業です。

創業は2011年。
スマホの普及とともに成長し、上場は2020年。
まだまだ若くて勢いのある、デジタルネイティブ世代の成長株ですね。

収録日ベースでの時価総額は約333億円。
中小型のグロース株として、これからの伸び代を感じさせるサイズ感です。

事業を一言でいうと、「Webサイトやアプリに来たお客さんの『動き』や『気持ち』をリアルタイムで解析する『KARTE(カルテ)』を展開し、Googleとも戦略提携しているテック企業」という感じです。

サービスの中身

ECサイトにお客さんが来たとき、実際にどういった動きをして商品ページにたどり着いたのか、あるいは商品ページにたどり着いたけれども買わなかったのか—そうしたデータを取るのは、従来は非常に難しかったんです。

それをリアルタイムで解析可能にしたのが、プレイドの「KARTE」というサービス。
中間の経路がどうなっているのか、見えづらかったものを可視化する。

つまり、顧客が「Webサイトという見えない店舗内でどうやって動いているのか知りたい」という需要に応えるビジネスなんです。

KARTEサービスサイトより
KARTEサービスサイトより

事業構成と数字

連結事業の構成はだいたい以下の通り。

  • プロダクト(KARTEの利用料):売上の約8割強

  • サービス(導入支援やコンサル):売上の約2割弱

「ツール」がメイン、「人的支援」がサブという構図になっています。

ちなみにKARTEは固定費+ユニークユーザーの従量課金がメインの料金体系。

つまり、顧客側からすると、小さな事業者でユニークユーザーが来ていない場合は、そこまで大きな金額は払う必要がない。
一方、プレイド側からすると、お客さんの成長を手伝うとたくさん収入が得られる。

料金体系としてはwin-winに設計されているのかなと思います。

売上と利益の実際

連結売上高は約206億円(予)、営業利益は22億円(予)、営業利益率は10.7%ほど。ようやく2桁に乗せてきた感じですね。
ただし、これは15ヶ月変則決算の予想なので、12ヶ月換算すると:

  • 連結売上高:約165億円(予)

  • 営業利益:17.6億円(予)

  • 売上高成長率・営業利益成長率ともに123%程度

会社四季報2026年1集より(26/12期は変則決算)(単位:百万円)

業種全体の利益率(約22.7%)やSaaSの理想水準(20-30%)と比べるとまだ低い水準です。

PBR(株価純資産倍率)は約7倍と、セクター平均(PBR3.5倍)と比べても「将来の成長をかなり織り込んだ、プレミアムな評価」になっています。

ビジネス構造から導ける利益率とコンサル進出戦略?仮説を立ててみた

仮説1:人が重たいビジネスだ

営業利益率10.7%という数字を見たとき、私は思いました。
これ、もしかして重たいCS(カスタマーサクセス)や営業コストがあるのではないか、と。

なぜなら、KARTEはサービスが複雑で、顧客への定着(オンボーディング)に時間がかかる商材だと考えられるからです。
つまり、売上に直結しづらいCS領域や、データ解析部隊に多くの人員を割く必要があり、これが利益率を圧迫しているのではないか。

広告宣伝費も増加していますが、これはプロダクトの難解さをカバーするためのコスト増を示唆しているのかもしれません。

仮説2:弱点を強みに変えるコンサル高付加価値化戦略

コンサル等の高付加価値路線は、プロダクトの難しさを逆手に取った「生存戦略」ではないかと考えています。

「使いこなすのに時間がかかる」という弱点を、「伴走支援」という高単価な商品に変えて売上を作る戦略に出ているのではないか、と見ています。

つまり、ターゲットをプロダクト販売から顧客の売上成長にずらす(拡大解釈する)ことで、カスタマーサクセスをコンサルという、より付加価値の高い商品に変えて販売できるのではないでしょうか。

さらに、顧客を掴んで離さない、解約率低下施策の一環になっているのかもしれません。

仮説3:配当は無理に出さなくてもいいのではないか

配当開始の噂がありますが、BSが軽く現預金も潤沢なSaaS企業なら、本来は成長投資(ベースアップや新規事業)に回すべきフェーズではないかという疑問も残ります。

ただ、資本効率の改善のために40億円の借入をしているので、バランスを取りたいのは分かります。

検証結果:仮説は概ね当たり!サービスの特徴を考えて数値を補強!

検証1:利益率が低いのはやはり「人が重い」から

利益率が低い背景には、本当にこうしたコスト構造があるのか。

予想営業利益率は約10.7%。情報・通信業の平均(22.7%)やSaaSの理想(20-30%)と比較するとまだ低い水準です。

四季報コメントには「人件費や広告費増吸収」とありますが、これは裏を返せば、それらのコストが依然として重いことを意味します。
一人当たり営業利益を単純計算すると331万円(12ヶ月換算)。
高付加価値SaaSとしては、まだ改善の余地がありそうです!

直近の四半期では販管費に占める人件費の割合は52%
それまでは58%前後だったので、改善が始まっているのが分かります。

プレイド 2025年9月期第4四半期決算説明資料より(単位:百万円)
プレイド 2025年9月期第4四半期決算説明資料より筆者作成

その他経費が増えていることを差し引いても、多少ですが人件費の割合が下がっていき、調整がうまく行き始めているのではないでしょうか。

仮説は合っていたようです。重たいカスタマーサポートと営業コストが存在し、その調整が今、始まっているんですね。

検証2:弱点を強みに変える戦略は機能している

売上の約17%(2割程度)を「サービス(コンサル等)」が占めており、四季報にも「コンサル需要拡大」と明記されています。

つまり、仮説は正解と言っていいでしょう。
SaaSプロダクト単体での自走が難しい顧客に対し、人的リソースを投下して解決する「プロフェッショナルサービス」の比重を高めています。

これは弱点のカバーであると同時に、解約率を下げるための合理的な「逆転戦略」として機能しているんです。

なぜこの戦略が必要だったのか。
ここで「サービス財」の特性理論を使って考えると、話が見えてきます。

サービス財には、製品と違って5つの特徴があります:

  • 無形性(形がない):触れない、試せない

  • 不可分性(生産と消費の同時性):提供と利用が同時に起きる

  • 変動性(品質のばらつき):提供者や状況で品質が変わる

  • 非貯蔵性(在庫できない):使わなければ消える

  • 需要変動性(需要の波):時期やタイミングで需要が揺れる

このうち、プレイドのKARTEが直面した課題は特に「無形性」と「変動性」にあると思います。

無形性:データ分析ツールという目に見えないサービスは、導入前に価値を理解してもらいにくく、導入後も「使いこなせている実感」が得にくい。EC サイトの成果を見て初めて「あ、効いてたんだ」と気づく。その中間の経路がどうなっているのかは、非常に見えづらいんです。

変動性:顧客企業の体制やリテラシーによって「成果が出るかどうか」が大きく変わるため、品質(顧客満足)にばらつきが出やすい構造になっています。

この2つの弱点をカバーするために、プレイドは「STUDIO ZERO」のような事業開発組織を立ち上げ、単なるツール提供ではなく、人的リソースを投下して「実行」まで支援するプロフェッショナルサービスに乗り出したわけです。

結果として、この戦略はかなり機能しているようです!
プロフェッショナルサービスを利用した顧客は解約率(チャーンレート)が低く、アップセルもしやすいのではないか。

連結ARR(毎年決まって得られる収益。これが大きくチャーンが低ければ、恒常的に収益を生み出せる)が前年同期比120.6%で成長し、121億円を突破しています。

プレイド 2025年9月期第4四半期決算説明資料より

これって、本当にすごいことです!
同じサービスを提供しているだけなのに、どんどん積み上がりの収益が増えていっている。

つまり、顧客の中に「もっとやってくる人が増えている」から従量課金も増えるし、それだけじゃなく「プラスアルファで伴走支援してもらって、新しい領域についても支援してほしい」という顧客が現れている

だからARRがどんどん成長していっているわけです。

コンサルによって顧客を掴んで一緒に成長していき、最終的にお互いが儲かるという構造が出来上がってきているんです。

検証?3:配当という選択肢の背景にあるもの

正直なところ、ここは判断のしようがないなというのが所見です。

一方で、資本効率を改善することで、株式市場からの評価が上昇し、それによって時価総額も上がります。
そうなってくると、もう一回資本市場から調達をしたいとなったときに、大きい金額が少ない株式で調達できるメリットがあります。

また、従業員の持ち株会をやっている方が多ければ、それに対して報いることもできます。

総合的な資本戦略として、現預金をしっかりと株主に還元していくこと—それは、成長が継続して訪れ、ARRがしっかり積み上がっている状態にある会社にとっては、一個の選択肢として必要なことなのかもしれません。

おわりに

今回は、SaaS企業のプレイドについてお話ししました。
利益率がちょっと物足りないよね、というお話も失礼ながら申し上げたのですが、実際に見てみると、コンサルに乗り出して顧客の粘着性を高め、ARRを高めているということが分かります。

しっかりとした成長の基盤というのが、出来つつあるんじゃないかというのが理解できました。

こうしたところで、今後もこちらの会社の業績だったり時価総額みたいなところは、引き続きウォッチしていきたいなと思っています。

四季報を読み込みながら、仮説を立てて検証していく。

その過程で見えてくるのは、単なる数字ではなく、企業の生き残り戦略そのもの。
プレイドの場合、それが「弱点を強みに変える」という非常に興味深い取り組みでした。

この過程を、これからも追い続けていきたいと思います。

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