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人生100年時代:時間泥棒に負けないために


バフェットさんになりたいですか?

「人生100年時代」と言われる一方で、人生は意外と短いかもしれません。

前回の記事でご紹介した最近の研究によると「今世紀中に100歳まで生きる人の割合が女性で15%、男性で5%を超えることはない」とされています。
とはいえ、平均寿命が伸び続けていることも事実なので、相対的には昔に比べると(今に比べると)長くなる傾向にあることは否定できません。

一方で、人生の「価値」が時間の経過とともに日々、毎秒、減少していくことは確実と言えそうです。
あなたはウォーレン・バフェットと身体を交換したいですか?」という思考実験を考えてみましょう。

この問いに対する回答は年齢によっても違ってくるかもしれませんが、多くの方は「NO」と答えるのではないでしょうか。50代の私でも答えは明確に「NO」です。

バフェット氏の個人総資産額は23兆円に達します。一方で、ご年齢は94歳。さすがに、多くの人は、いくらお金を積まれても、今すぐ94歳になりたいとは思えないでしょう。

この思考実験は、自分の残りの人生には単純計算で23兆円を超える価値があることを示唆しています。
かなり乱暴な理屈なので、このことをもって人生の金銭的価値を断定することはできませんが、「時間」とうい資産の持つ価値を考えさせてくれる視点ではないでしょうか。

時間という資本

先日、山口周氏の著書「人生の経営戦略」を読みました。

その著書では、人生を『時間資本を別の資本に変えるゲーム』と定義しています。
そして、時間泥棒(*)に大切な時間を奪われないためには『「自分にとって本当に大事なもの」「自分が本当に実現したいこと」を意識して時間資本の配分をマネージするしかありません』と書かれています。

*ミヒャエル・エンデの小説「モモ」に出てくる時間泥棒。時間泥棒によって人々は「時間を節約しなければ」と思い込まされ、仕事や効率化、生産性向上といった“有益”なことばかりに時間を費やすようになります。その結果、家族や友人との語らいや、趣味、ゆっくりと過ごす時間など、本来大切にすべき心の余裕や幸せを感じる時間を浪費し、失ってしまいます。

果たして自分は時間資本を本当に大事なものにちゃんと使ってきたのだろうか。振り返ってみると、かなずしもそうではなかった期間が少なくありません。

【20代まで】
学生時代は、友人と「何もしない時間」を過ごすことを含めて充実していた感覚があります。社会人になりたての20代は、日々の業務すべてが学びとなって、明確な成長実感を得ることができていました。

【30代】
30代に入ると怪しくなってきます。それなりの成長と充実感は維持しつつも、会社中心の生活を送るうちに、「もっと家族との時間を確保できたのじゃないか」、「もっと外の世界で学ぶ機会を増やすことができたのじゃないか」、という疑問を感じます。

出張で息子の運動会に参加できなかったこともあります。
今振り返ると、本当に大事な機会を失っていたということを痛感します。。。

【40代以降】
40代前半はもっと怪しくなり、成長カーブはかなり平坦化し、その割に忙しさだけが増えていきました。そうした危機感もあって、40代後半から自分なりの目標設定をしたうえで、様々なチャレンジを始め、今は時間資本を適切に配分できている感覚があります。

やはり明確なパーパスを定めることが大事で、そのパーパスに沿って時間を使うことを心がければ、適切な時間資本のマネジメントができるのではないかと思います。

再雇用の罠

時間資本の視点から見ると、特に注意すべきなのが定年後の再雇用制度です。

最近の傾向として、雇用延長の動きが強化され、再雇用制度を利用する方が増えています。
再雇用がベストな場合も当然あり、同制度を否定するつもりはありませんが、いつかは退職することを想定して、この選択肢が「時間資本の投資先」として最適かどうか慎重に判断・行動する必要があると考えています。

再雇用制度の隠れたリスクは主に二つあります;

一つは、時間の質の問題です。
本当にその時間を楽しめるかどうか。再雇用後はこれまでより業務内容がやりがいの少ない内容であったり、大幅に給与が下がったり、という事例が周囲で数多く見られます。
つまり、貴重な「時間資本」を投資する価値がある価値追う観点で検討する必要があります。

もう一つは、将来の選択肢の狭まりです。
現時点で多くの企業の再雇用期限は65歳であり、65歳には会社を卒業することになります。
仮に卒業後も働こうと思ったときに、65歳から雇ってもらえる仕事はかなり限定され、やりがいも収入も希望する水準よりも期待値を下回ることが多いでしょう。
さらに、個人で新しい事業を立ち上げよう、といったときに65歳でゼロからスタートするのは体力的にも精神的にもかなり厳しいという現実があります。

このため、60歳以降の時間資本の使い道として再雇用が本当に最適な選択なのか、「自分が本当に実現したいこと」に繋がるのか、自分のパーパスと一致するのか、或いは単なる時間泥棒に時間を奪われるだけになってしまうのか、冷静に分析する必要があります。

そうでないと、再雇用という一見安全に見える選択が実は「罠」となり、自分らしい人生を実現する機会を失うことになりかねません
更に言うと、本当に60歳まで今の仕事を続けるのがベストなのか、ということも問い続ける必要があると思います。60歳以降の生き方・働き方に関するイメージの解像度を上げて、そのイメージを実現するための準備を始めることが大事だと思います。

時間泥棒に負けないために

結局、人生は長いのか短いのか問題はどうなのか。

平均寿命の伸長により物理的な時間は長くなっている一方で、年齢とともに「今しかできないこと」が確実に減少していきます。つまり、時間の「量」と「質」を同時に考慮する必要があると思います。

この二面性を踏まえたうえで、時間資本の投資先を決めるうえでは、自分自身のパーパスを明確にした上で「意識的な選択」を行うことが大事なのだと思います。

パーパスを探るうえで、以下のような問いかけをしてみるのも良いでしょう。
「10年後に何をしていたいでしょうか?」
「10年後の自分が今の自分を振り返ったら何というでしょうか?」
「お金と時間の制約がないとしたら、何をしたいですか?」

パーパスを定めたうえで、長い期間を見据えながら「今何をするべきか」を判断していく、時間資本という資本をマネージしていく、ということが必要であると考えます。

時間泥棒に負けないよう、しっかりと戦略を立てましょう!

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