ちょうどいい

最近、食間にエネルギー不足を感じることがあった。仕事中に頭がぼんやりしたり、集中力が落ちたりすることが続いたので、仕事前に少し間食を取ってみることにした。

どうせ食べるなら、手軽で罪悪感の少ないものがいい。お菓子を食べること自体に抵抗はないけれど、「なんとなく口寂しいから食べる」のではなく、ちゃんとエネルギー補給として納得できるものを選びたい。そんなことを考えながら売場を見ていたら、無印良品の新商品である栄養バウムが目に入った。

無印のバウムといえば、不揃いバウムが有名だと思う。自分も何度か食べたことがあるけれど、あれはなかなかのボリュームだ。おやつというより軽食に近い。味も濃くて満足感があり、商品によっては400kcalを超えるものもある。可愛いお菓子の顔をしているけれど、実態はかなりしっかりした菓子パン級の存在だと思う。もちろん美味しいのだけど、食事と食事の間に何気なく食べるには少し重たい。仕事前の補給として考えると、さすがに毎回は気が引ける。

そこで見つけたのが栄養バウムだった。味は5種類あり、それぞれに特徴がある。たんぱく質が強化されていたり、食物繊維が入っていたり、鉄分が補えるものもある。健康食品のような堅苦しさはなく、普段のお菓子の延長線上にありながら少しだけ栄養面を意識している。その距離感が無印らしいなと思った。

さらに良かったのがカロリーだ。不揃いバウムと比べると半分程度に抑えられている。食事を置き換えるほどではないけれど、小腹を満たすには十分な量がある。仕事前の補給として考えると、このぐらいがちょうどいい。実際に食べてみると、感覚としてはプロテインバーに近かった。栄養補給を目的に食べるおやつという立ち位置である。

味については、正直に言うと少しモサモサしている。口の中の水分を持っていかれるので、自然と飲み物が欲しくなる。しっとりしたケーキのような食感を期待すると少し違うかもしれない。ただ、自分はむしろこのくらいが好きだった。パンに近い素朴な食べ応えがあるし、変にリッチな味わいにしていないところに好感が持てる。

考えてみれば、しっとり感を出そうと思えばバターやマーガリンを増やすことになる。そうなれば当然カロリーも上がる。美味しさと引き換えに、補給食としての気軽さは失われてしまう。その点、この栄養バウムは必要以上に欲張っていない。少しモサモサしているけれど、その代わりにカロリーは控えめ。美味しさもあるけれど、食べ過ぎたくなるほどではない。その絶妙なバランスが成立している。

最近はダイエットや健康管理を意識していることもあって、「食べないこと」が正解だと思い込んでいた部分もある。でも実際には、足りない状態で無理をするよりも、必要なタイミングで適切に補給した方が調子がいいこともある。特に仕事中に集中力が落ちたり、頭痛のような症状が出たりするなら、我慢することが正義とは限らない。

そう考えると、この栄養バウムはかなり無印らしい商品だと思う。高たんぱくを前面に押し出しているわけでもない。ダイエット食品を名乗っているわけでもない。健康食品売場にあるようなストイックさもない。ただ、「ちょっと栄養を足したい」「少し小腹を満たしたい」という需要に対して、ちょうどいい答えを用意している。

無印の商品を見ていると、「最高」を目指しているというより、「これでいい」を丁寧につくっているように感じることがある。圧倒的な性能でもない。驚くような機能でもない。でも日常生活の中で使うと妙にしっくりくる。その感覚があるから、つい手に取ってしまう。

今回の栄養バウムもまさにそんな商品だった。プロテインバーほどストイックではなく、お菓子ほど気軽すぎない。食事ほど重くなく、補助食品ほど味気なくない。その中間の立ち位置をきれいに埋めている。

また無印の「これでいい」がひとつ増えた。

そして、その「これでいい」を見つけるのが本当にうまいなと感心する。多くの人がなんとなく感じている小さな不満や不便を見つけて、「これぐらいで十分だよね」という答えを商品にしてしまう。派手ではないけれど、だからこそ長く残る。

今回も、いいところを突いてくるなと思った。無印らしい一品だった。

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