「ウォーシュFRB議長の開幕戦」と「声明文の改革」
ケビン・ウォーシュFRB議長の "開幕戦" を振り返ろう !!!
FOMC声明文の改革
ウォーシュ新体制のなかで最も衝撃的だったのはこれだ。声明文が、まるっきり別物になっている。"赤ペン先生" どころの騒ぎではない。ワード数は300超から130程度にまで圧縮された。

ウォーシュ議長はこう発言している。
"It’s a bit shorter, a bit simpler and it dispenses with some older language"
a bit???????? 違和感を感じるが重要なのは中身なので、今から変更点を指摘しながら「重要な論点」をお伝えする。
論点①︰対インフレ
新しい声明文では、インフレについて下記のように言及している。
"Inflation remains elevated relative to the Committee's 2 percent goal, in part reflecting supply shocks that have driven price increases in certain sectors, including energy. The Committee will deliver price stability."
直訳するとこうだ。
「インフレ率は委員会が目標とする2%に対し依然として高い水準にある。これは、エネルギーを含む一部のセクターにおける価格上昇を引き起こした供給ショックを部分的に反映したものである。委員会は物価安定を実現する。」
注目すべきはインフレに対する姿勢だ。"will deliver" と「結果の約束」をしている。パウエル前議長の下では "strongly committed to returning" つまり「努力目標」のような言い回しだった。
そして何より、この「インフレ安定の約束」は最後の文章なのだ。強い意思表示である。

パウエル議長下では下記のように、「インフレ目標達成」と合わせて、「雇用の最大化」にもコミットすると並べていた。
"The Committee is strongly committed to supporting maximum employment and returning inflation to its 2 percent objective."
しかしウォーシュ議長は、最後の文で「雇用の最大化」というもう一つの責務については言及しなかった。二大責務のうちインフレ安定を重視しているのだ。(重視しているどころか、一大責務のような言い回しである !!!)
これはヘリテージ財団の「プロジェクト2025」を思い出させる。
論点②︰対労働市場
労働市場に対しては、非常に的確な文言に変更されている。
"Job gains have kept pace with the workforce, and the unemployment rate has changed little."
直訳するとこうだ。
「雇用者数の増加は労働力人口の伸びに歩調を合わせており、失業率はほとんど変化していない」
「労働力人口の伸びに歩調を合わせている」という文言は非常に重要だ。トランプ政権の移民政策によって労働力人口が伸び悩んでいるのは周知の事実だが、それに合わせて、労働市場の安定化に必要な追加の雇用者数も大きく減少している。(具体的には、毎月10~15万人雇用増加が必要だったのが、毎月数万人、下手したら雇用が増えなくても失業率は安定すると見られている !!!)
労働市場が過去と比べて強いのか、弱いのか、停滞しているのかは関係なく、「労働力人口に対して必要な雇用があり、失業率が安定していればそれでいい」という考えである。
論点③︰バランスシート政策
FRB大改革における最大の注目点であるバランスシート政策に関しては、わざわざこんな文言が書かれていた。
"The Committee reaffirmed its policy of maintaining ample reserves in the banking system."
バランスシートの縮小は、すぐには取り組まず時間をかけて議論していくということだろう。わざわざ言及しているくらいだ。金融市場でも、これから多くの論争を生むことになるのは間違いない。

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