バルセロナ編🇪🇸④
地下から這い出るようにして地上へ出ると、見上げるのも難しいほどにそびえ立つ巨塔が姿を現す。青い空に模られた輪郭が空に悠然と浮かんでいる。これこそが夢見たサグラダファミリアだ。心が震えるのが分かる。

拍動が速まるのは、目の前のそれが如何に本物であるかを表しているようだった。憧れが現実のものになるのは、とても不思議な感じがする。当たり前のようにそびえる巨塔の威圧感たるや、凄まじいものがある。
そんな巨塔を観光だなんて。到底、腹ごしらえしないと乗り越えられるものではない。晩年のガウディは弟子に「食べるために生きるのではなく、生きるために食べるのだ」と言った。ガウディに教えたい。「生きるために食べるのではなく、僕は食べるために生きているのだ」と。
スペインにはパエリアだけでなく、めちゃくちゃ美味いコロッケ(クロケッタ)があるらしい。とりあえず「クロケッタ、プリファボール」と注文してみる。数分経った後に届いたサングリアとクロケッタ。

見ただけで分かる。火傷してもいい。今が食べ時だ。思い切って口へと運ぶ。サクッ。爽やかな脂にのった海鮮の旨味が口中に広がり、そこに生ハムの塩味が押し寄せる。美味すぎる!!飲み込むのも勿体無いほどだ。人生の食べ物ランキングが簡単に塗り替えられてしまった。驚きと感動が収まらない。もう一つ頼んでいたメイン料理がテーブルへと運ばれた。

イカ墨のパエリア。レビューを見るとほとんどのお客さんが頼んでいたので真似をした。イカ墨で炒められた黒色の米に、イカのフリットとスペイン発祥のマヨネーズが彩る。
口に入れた瞬間の衝撃。口の周りが黒くなろうが気にできないほどに、濃厚なイカ墨がマヨネーズと絡まり、イカのフリットの香ばしい風味が追いかける。見事なまでに求めていた食欲を満たしてくれる。これほどまでに人生の食べ物ランキングが乱高下していいものだろうか。
よっぽど美味そうに食べていたんだろう。その様子を見た店員のおっちゃんが僕に親指を突き出す。同じポーズで返すと自然と笑顔になった。思わず伝えたくなって言った。
「グラシアス!!」

