4611 大日本塗料(DNT)

4611 大日本塗料(DNT)は、数字面・事業内容ともにかなり特徴的な会社です。
「割安・高配当・高ROE」の三拍子そろったバリュー株タイプです。
優待のクオカードも魅力的


1. 投資指標

  • 株価:1,271円(2025/08/13 11:25)

  • 時価総額:約378億円

  • PER(予):10.7倍 → 割安圏

  • PBR(実):0.57倍 → 純資産割れ水準

  • 配当利回り(予):4.56% → 高配当株

  • ROE(実):15.15% → 高め

  • 自己資本比率:48.8% → 財務安定

  • 予想経常利益:53億円(前年比+1.9%)

この数字だけ見ると、「割安・高配当・高ROE」の三拍子そろったバリュー株タイプです。


2. 事業の特徴

  • 主力:橋梁・プラント・コンクリ構造物向けの重防食塗料(国内最大手)

  • 得意分野

    • 長寿命・環境対応型(VOC削減、高耐久性)

    • 橋や高速道路など社会インフラに必須の塗装システム

  • 他の柱

    • 建築用塗料(抗菌・遮熱・ふっ素樹脂)

    • 自動車補修用塗料

    • 工業用塗料(産業機械・車両)

    • 家庭用塗料(DIY・ホビー)

  • 新規事業

    • 機能性電子材料(光フィルター、封止材)

    • ナノ粒子材料

    • 医療関連(細胞外小胞用イムノクロマトキット)

  • 子会社

    • 照明(DNライティング)

    • 蛍光色材(防災・テーマパーク向け)

    • 2025年に神東塗料(4615)を子会社化 → 規模拡大&シナジー期待


3. 強み

  • インフラ向け塗料の国内首位 → 公共事業需要に強い

  • 製品寿命が長い → 価格競争よりも性能重視市場

  • 海外は自動車部品用が主力 → 為替や景気の影響を受けやすいが分散効果あり

  • PBR0.6倍未満 → MBOや再編ターゲットになりやすい水準


4. リスク要因

  • 原材料(樹脂・顔料)の価格変動

  • 海外景気依存度(特に自動車関連)

  • 公共事業予算の変動

  • 競合は関西ペイント、日本ペイントなど大手


5. 投資視点

  • 割安性:PER・PBRとも低く、財務も安定していて配当も高い

  • 成長性:大きな爆発的成長は期待しにくいが、公共インフラ需要+神東塗料買収でじわじわ拡大可能

  • テーマ性:インフラ更新(老朽化対策)、省エネ・環境対応(VOC削減塗料)

  • 中長期向けバリュー株として注目余地あり



決算概要(2026年3月期 第1四半期:2025年4–6月)

  • 売上高:前年同期比+27.6%、223億円(主に神東塗料グループの連結寄与)
    (Yahoo!ファイナンス)

  • 営業利益:−35.4%、7億500万円
    経常利益:−38.6%、8億4,800万円
    四半期純利益(親会社株主):−67.2%、3億8,100万円
    (Yahoo!ファイナンス)

  • 経常利益進捗(上期予想対比):36.1%(5年平均の52.2%を大きく下回る)
    営業利益率は前年同期の6.2%から3.2%へ大幅悪化
    (株探)

  • 貸借対照表:総資産ほぼ横ばい、負債+3.4%、純資産−2.6%、自己資本比率は48.8% → 47.4%へやや低下
    (Yahoo!ファイナンス)

  • キャッシュ:現金・預金は−7.1%、短期借入金+28%、設備投資も継続的に実施
    (Yahoo!ファイナンス)


現在の株価・指標(2025年8月13日朝時点)

  • 株価:約1,268〜1,271円
    (株探, 株予報Pro)

  • PER(予想):約10.6〜10.7倍

  • PBR(実績):0.57倍

  • 配当利回り(予想):約4.56〜4.58%
    (株探, Yahoo!ファイナンス)

  • 信用倍率:買残が非常に多く、信用倍率は50倍超の水準
    (株探)

  • 短〜中期移動平均線:いずれも上昇トレンドを示唆
    (株探)


短期的なポイントとチャートの読み方

  • チャート傾向:短期的な下降調整のあと、移動平均線を支えに反発し始めた様子があります(画像参照)。

  • 一時要因:JISマーク表示の一時停止処分や人件費増加による利益圧迫が顕著。

  • 成長期待:神東塗料の連結寄与で売上は拡大傾向だが、利益面での回復力は今後の注目点です。


投資判断レポート:総合評価と展望


短期〜中期の見通しとスタンス

  • 短期的には:JIS問題やコスト圧迫などの材料出尽くしによる反発期待あり。

  • 中長期では:インフラ塗料市場の安定性+神東塗料統合によるシナジー+バリュー株としての魅力が継続。

  • 投資判断のポイント

    • 今後の四半期で利益率が改善するか。

    • 配当維持・増配の見通し。

    • チャートで支持線(例:25日移動平均)を割らないか。


では、この第1四半期決算を投資判断に直結する形で整理します。


1. 四半期全体の概要

  • 売上高:223億円(前年比 +27.6%)
    → 神東塗料の連結寄与で大幅増収

  • 営業利益:7.05億円(-35.4%)

  • 経常利益:8.48億円(-38.6%)

  • 純利益:3.81億円(-67.2%)

ポイント
売上は神東塗料効果で伸びたが、JISマーク停止の影響や人件費増加で利益率が大きく悪化。純利益は前期の特別利益剥落も響き大幅減益。


2. セグメント別動向


ポイント

  • 国内塗料事業が主力だが利益急減

  • 海外事業はメキシコが牽引して利益増

  • 照明は利益率が高いが減益幅が大きい


3. 財務状態

  • 総資産:1,332.7億円(前期末比 -0.7億円)

  • 自己資本比率:47.4%(前期末 48.8%から低下)

  • 現預金減少・短期借入増加

  • 有形固定資産は増加(設備投資継続)

ポイント
負債増(特に短期借入)と純資産減少でやや財務健全性に陰り。ただしまだ安全圏。


4. 投資判断視点

ポジティブ

  • 売上は子会社化効果で拡大

  • PBR 0.57倍、配当利回り4.56%の高配当・割安株

  • 海外事業(特にメキシコ)で収益改善

ネガティブ

  • 主力の国内塗料で利益急減

  • 人件費・減価償却費など固定費増

  • 自己資本比率低下・短期借入増加

  • JISマーク停止の影響が続く可能性


5. 今後の注目点

  1. JISマーク停止の解除時期
    → 国内需要回復と利益改善のカギ

  2. 神東塗料とのシナジー効果
    → 販路拡大・コスト削減がいつ本格化するか

  3. 利益率回復
    → 価格是正の成果が下期以降に出るか

  4. 配当維持
    → 高配当株としての魅力を保てるか


まとめ

現状は「売上拡大と利益減少が同居」しており、バリュー株としての割安性は高いが、短期的な利益圧迫が株価の重し。
中長期投資なら配当+再評価狙い、短期はJIS影響解消などの材料待ちが妥当です。


大日本塗料(DNT)が経験した「JISマーク表示の一時停止」について


何が起きたのか?

背景と発覚の経緯

  • 2023年10月、連結子会社である岡山化工において、社内検査のデータ改ざんや検査外品の出荷などの 不適切行為が発覚し、これを受けて 日本塗料検査協会(JIS認証機関)による審査が行われました (JSFA Web, ツギノジダイ)。

処分内容

  • 2024年11月29日、DNT本体として以下の認証区分について JISマーク表示の一時停止処分を正式に受領しました (DNT, 日本政策投資銀行)。

    • JIS K 5551:構造物用さび止めペイント

    • JIS K 5659:鋼構造物用耐候性塗料

  • 対象製品に関しては、JISマーク非表示の状態で順次出荷されました。ただし、品質や組成には問題がないとされています (DNT)。

原因と内容

  • 事案A:当社の社内ルールでは一部硬化剤にJISマークを表示してはいけないにもかかわらず、誤って表示して出荷した事例が確認されました。

  • 事案B:JIS認証の申請をしていない外注先に製造を委託し、さらにJISマークを表示して出荷した例もありました (DNT)。

  • なお、どちらのケースも 製品性能や品質には問題なしとの評価を受けています (DNT, JSFA Web)。


停止解除とその後の対応

  • 2024年3月7日、臨時審査を経て JISマーク表示の一時停止は解除され、同日以降は 再びJISマークを表示した製品として製造・出荷が開始されました (DNT, JSFA Web)。

  • 業績への影響も「現時点では軽微」と会社側は見込んでいます (DNT)。


まとめ:ポイントを整理

項目 内容 発覚時期 2023年10月(連結子会社でのデータ改ざんなど) 処分通知 2024年11月29日(JISマーク表示一時停止) 停止対象 JIS K 5551、JIS K 5659の各種塗料 品質への影響 組成・性能に問題なしと判断 解除時期 2024年3月7日(JISマーク表示再開) 影響 業績には軽微(当時の発表)


投資判断への影響について

  • 一時的な信用リスク:品質自体に問題はなかったとはいえ、データ改ざんや管理体制の不備が表面化したことで、企業ガバナンスや内部統制への懸念が一部株価に影響した可能性があります。

  • 対応力の評価:停止から解除まで5ヶ月弱。原因究明・是正が比較的迅速に行われた点は、一定の評価材料といえます。

  • 今後重視すべき点:再発防止策やガバナンス強化の体制整備状況を中長期的に注視することが重要です。

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