映画予告編風MVを作ってみた(AI作曲をもっと楽しむコツ)
前置き
ご無沙汰しております。ちゃんと本業もこなしている(ハズ)の川内です。
「AI」というものが身近になって久しいですね。
私は20年ほど前から、音楽というものはかなりパターン化されているので、BGMのようなものからAIで作られるようになり、やがて演奏者兼作曲家以外の専業作曲家というのは淘汰されるのではないか、と思っておりました。
実際はどうでしょうか?
まず人を超えたのは将棋、チェス、といったものだった気がします。
AIに書かせた文章が文学賞の一次審査を通過して話題になったのももう随分前という印象ですね。
ただ、特に日本語という言語が難しいからなのか、文章の質はまだまだ人には遠く及びません(というのは私が底辺とはいえ小説家だからこその感想かも)。
そして音楽です。
ここ数年で、YouTubeでもAIに作曲させ、MV(PV)もAIに制作させた作品を見つけるのも容易になってきました。
私が最初にカバー作品ではないAI作曲によるMVを観たのは、今年(2026年)年初の衆議院議員選挙後しばらくして、現内閣をモデルにした作品でした。なぜ「おすすめ動画」に出てきたのかは謎ですが。
その時の印象は正直言って「これは酷い」でした。
音楽としての良さがないどころか、違和感だらけでムズムズしました。
映像やテーマが問題ではありません。
原因は「歌詞」にあったようです。
おそらくその作者は音楽的知識がなく、全てAI任せで作ったのでしょう。
それでも「曲が作れる」のは間違いないようですが、簡単なポイントを抑えなければ、不自然な音楽になってしまうのです。
当たり前ですが、問題は歌詞の内容(意味合い)ではありません。
「譜割り」を全く意識せず歌詞を書いている、書かせているためにリズムやメロディーが不安定になっているのです。
※多分ね。
本題1 音楽生成AI musicful を使ってみた
私はハッキリ言ってAIにあまり触れていなかった側の人間です。
そんな私が音楽生成AIを使い始めたきっかけは、現在我が家にいる6匹の猫を動画配信するのに、BGMやテーマソングを作るのに使ってみようと思ったところからでした。
初めは10年ほど使っているGuitar Proというアプリを補助的に使って、自分で作曲していました。
が、とにかく時間がかかる。当たり前ですけれども。
そこで、音楽生成AIを試してみようか、と思い色々なサービスを試してみたのですが、今は使い勝手の良さで musicful というサービスに落ち着いています。
最初に作らせた曲はこれ。
当初の目的通り「猫動画のBGM」でした。
プロンプトと呼ばれる「こういう曲を作りなさい」という指示の部分には
"Soft, Pop, children's song, wind instruments,Bass,Piano,Drums"
というたった一行だけ。
歌詞も
毎日がニャン曜日
Blue Mondayってにゃあに
ニャン ニャな ニャーず
ミャン ミャの ミャンず
島のニャンずのニャン曜日
ニャン ニャな ニャーず
ミャン ミャの ミャンず
って、これだけ。
これだけでも、楽しみを見つけるには充分。
他の方の作品も参考にしつつ、色々試してみました。
コード進行や拍子を詳しく指示してみたり。ただ、これは失敗。ほぼ無視されます。
もう、無視されついでにMV機能を使い、全部AI任せで動画を作りました。
これ、自著の小説を元にした歌詞、キャラクターなので販促になればと。効果は今のところ無いですが。
この時点で「歌詞に重点をおいた方が良い」という結論に至りました。現時点での話ですが。
本題 2 MV機能に手間をかけてみた
まず、もうひとつMVを観て下さい。
私が住む宇久島で野外コンサートがあったら、というコンセプトで作らせた曲です。今回は不自然なシーンを修正しながら、極力自然に見えるように、自動で書かれる動画生成プロンプトに手を加えました。
それでもメンバーの担当楽器が変わっていたり、ツッコミどころ満載です。
部分的には「AIに見えない」という箇所もありますよね。
ここで私は物足りなさを感じます。
それはワンカット5秒でシーンが変わること。
そして、私が作る曲はどうしても6分前後と長めになってしまうため(そういう音楽が好きなのです)、コストがかかるという点も大問題。特に不自然な箇所を手直ししたりすると、余計にコストがかかります。
どうしたものでしょうね。
本題 3 画像生成とAdobeプレミアでlyrics videoを作ってみた
AI作曲とはいえオリジナルの曲を作ってもらうと発表したい、という欲も出てきます。
当初の「猫動画BGM」という目的よりも小説のPR目的が増えてきて、その欲もほんの少しですが大きくなりました。
できるだけ少ない手数で小説の魅力も伝えられるように、lyrics video(歌詞付き動画)をサクッと作ってみようと楽曲、動画を一日で作ったのがこちら。
ちなみに、元ネタの小説「ポストファミリー」はこちらで(PR)
この頃になると、プロンプトも単純かつAIにとって分かりやすいものになってきています。実際のプロンプトはこちら。
"Singer-songwriter piano ballad at 72 BPM in 3/4, only close-miked piano and voice. Sparse left-hand chords, delicate right-hand figures, deep reverb, intimate studio ambience, subtle vibrato, wet vocal tone, conversational phrasing with jazzy inflections. Final chorus shifts up a semitone for tension and release. Use descending slash chords in the accompaniment. The bass line should move downward step by step, creating a smooth and emotional progression. Descending slash chords, smooth voice leading, expressive piano accompaniment, nostalgic atmosphere."
分数コードの下降はやってくれたものの、残念ながら「3/4」という拍子の指示は無視されました。もしかしたら"waltz"としたらいうこと聞いてくれたかも。今度やってみよう。
そして歌詞はこちら。
[Verse]
菜の花の海に 動かない列車
古いポストの赤は
夕焼けを借りて
だれにも届かないはずのことばが
水曜日にやってくる
[Pre-Chorus]
宛名を書かない手紙は
名前より尊い相手を呼ぶ
いなくなった人の背中を
追いかけるように 季節が変わる
[Chorus]
手紙はまだ飛んでいる
ツバメより低く 雲より近く
返事のない空へ向かって
繰り返し 繰り返し
生きているって そういうことかな
あなたがいなくても
ことばは歩いてゆく
明日へ 明日へ
[Verse2]
焼き芋の湯気と 湖の青と
眠れない夜の 悲しいことは
消えないままでいい
消えないまま
誰かをあたためるなら
[Pre-Chorus2]
家族じゃなくても
家族みたいな灯りがある
遠回りした帰り道でも
人を救えるんだね
[Final Chorus]
手紙はまだ飛んでいる
翼なんかなくても高く
空の広さ 水の深さ
命はきっと その間
親猫の夢を見ながら
終わりじゃない物語が
ゆっくり ゆっくり
次の子猫へ続いてゆく
音節(音の数)によってリズムを変える意識で歌詞を書くと、やはり「ちゃんとした曲」にしてくれます。
さて、ここで気づきます。曲の一部分だけでも動画作成できるmusicfulのMV機能と、動画編集ソフト、生成画像・動画、自分で撮影した映像を使えば、もっと自由度と完成度が高いMVが作れるのでは無いか、と。
本題 4 時間と労力をかけて動画を作ってみた
これも完成品から。
こちらの元ネタは書籍未収録の「橋」という短編です。
長く音楽に触れているギタリストの友人が観て「音楽のどの部分がAI? ボーカルはプロの人?」なんて訊いてきたくらいの物に仕上がりました。
もうここまでくると「ちょっと楽しい遊び」の域からはみ出しそうですね。
でも、これができちゃうのが今の時代。
これもプロンプトと歌詞を載せておきます。
dramatic rock ballad inspired by melancholic city pop. Emotional male vocals with fragile vibrato, deep reverb, warm analog tape texture, wide stereo guitars, fretless bass, expressive tom fills, shimmering chorus effect. The arrangement should feel both beautiful and unsettling, gradually revealing emotional fractures beneath elegance. Tempo: 72–78 BPM. Key atmosphere: B minor shifting ambiguously toward D major and F# minor. Use suspended chords and unresolved endings frequently. Intro:Clean electric guitar with chorus and distant thunder ambience. Sparse piano notes. Bass enters late. Verse:Minimal drums. Intimate vocals almost whispering. Harmony should feel restrained and emotionally distant. Pre-Chorus:Introduce rising tom fills. Increase harmonic tension with diminished passing chords. Chorus:Large cinematic expansion with emotional vocal peak. Guitars widen dramatically. Bridge: Sudden instrumental reduction. Nearly silent section with only echoing guitar harmonics.
[Verse1]
埃の匂いが
名前を記してる
折り曲げた 紙
消したはずの 色
夕焼けに 濡れた無線塔
鳥より低く 流れる雲
橋の向こうで
誰かが泣いてる
それが君
それとも僕
[Pre-Chorus1]
川という境界線は
夢より浅く
罪より深い
[Chorus]
ピーコックブルーの海に
投げ捨てた夏が還る
渡ってはいけない橋を
心は彷徨っている
名前のない祈りは
美しく嘘になる
あの日 僕は
何になりたかったのだろう?
[Verse2]
崩れてく 住処
軽すぎた 思い出
柱に刻んだ 背丈ごと
瓦礫の海へ 沈んでゆく
骨を抱えた 帰り道
潮の引いた 橋の下
無数の楔が夕暮れを
無慈悲に招いていた
[Pre-Chorus2]
忘れることは
罪ではなく
自分を殺す埋葬
[Chorus]
ピーコックブルーの風に
遠ざかる町が揺れる
帰れなくなった過去さえ
無様な胸を刺してくる
誰にも見えない傷ほど
真実を物語る
あの日 僕は
何を殺したのだろう?
[Bridge]
君の虚像に
噛みついた僕を
孔雀の羽が
睨んでいる
「大丈夫。噛みついたのは、世界の方だった」
[Final Chorus]
ピーコックブルーの海へ
流れゆく骨の影
真実を知る頃には
人は誰も老いすぎて
叫べない消えた名前
掠れた記憶が振り返る
僕は今も
橋をさまよっている
ピーコックブルーに染まる
崩れゆく 僕の過去
汚した手に気づいた日に
君の涙の意味を知る
壊せない檻の中で
紙に色を重ねている
君は僕の
夢をさまよっている
雨の匂いは
嘘を信じている
まとめ
どうでしたか?
「AIって毛嫌いしていたけど、ちょっと試してみようかな」って思われました?
まだまだ伸びしろだらけのAI作曲の世界ですが、足を踏み入れてみようかな、と思われた方はまずは無料で試してみてはいかがでしょうか?
私が使っているmusicfulの日本語サイトはこちらです。
musicful日本語版公式noteはこちら。
詳しい使い方はこちらを参考にしてみて下さい。
次回予告
musicfulでもうひとつ個人的に楽しんでいる機能があります。
それが「カバー」という機能。
どう楽しいのか。近々書きたいと思います。
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