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なぜ“部外者”ほど怒るのか?―ヒグマ駆除とSNS批判の心理

はじめに

こんにちは、YuYaです!
普段は登山やドローン映像を中心に、アウトドアの情報を発信しています。

最近、ニュースやSNSで「ヒグマ駆除」が話題になることが増えてきました。山に行く人や地元の人だけでなく、実際にはクマと無縁の生活を送っている人までが、強い口調で登山者や自治体を批判している姿をよく目にします。

正直、「なんで関係ない人が、ここまで怒れるんだろう?」と思ったりもするわけですが、今回はあくまで『客観的に』その背景にある心理学的な観点も含めて掘り下げながら、どうして“部外者ほど強く怒る”のかを考えてみました。


1. ヒグマ駆除をめぐる議論と“部外者の声”

ここ数年、北海道ではヒグマによる被害が相次いでいます。ニュースになるたびに、自治体やハンターが駆除に動くわけですが――そのたびにSNSのコメント欄は大荒れです。

「人間が山に入るから悪い」
「クマを殺すなんて残酷だ」
「登山者は自己責任。助ける必要なんてない」

こうした言葉を一度は目にしたことがある方もい多いのではないでしょうか。

もちろん、自然保護や動物愛護の観点から声を上げるのは大事なことです。
けれども、不思議なのは、発信している人の多くが実際には山に入らない“部外者”であること。
つまり、クマに遭遇するリスクも、駆除現場の苦労も知らない立場の人が多いんです。

そして不思議なことに、そういう“部外者”ほど、言葉が強くなりがちです。実際に山に登っている僕からすると、「なぜそこまで断定的に批判できるんだろう?」と首をかしげたくなることもしばしば。

この「関係のない人ほど怒りを強く示す」現象を理解するうえで、カギになるのが**道徳的憤激(Moral Outrage)**という心理なんです。


2. 道徳的憤激(Moral Outrage)とは?

人って不思議で、自分が直接関わっていない出来事に対しても強く怒ることがありますよね。
これ、心理学では 「道徳的憤激(Moral Outrage)」 と呼ばれています。

例えば、ニュースで「ヒグマを駆除した」という情報を見た人が、即座に「残酷だ!」「人間のエゴだ!」と書き込む。
本人は山に入っているわけでもなく、被害を受けたわけでもないのに。

なぜ、ここまで怒れるのか。

背景にあるのは無意識のうちに「正義を守る人だ」と周囲に示したい気持ちです。
怒りを表明することで、「自分は社会的に正しい立場にいる」とアピールできる。

SNSの世界では、これが特に顕著になります。ボタンひとつで、世界中に自分の“正義”を発信できるわけですから。だからこそ、実際の当事者よりも強く怒って見せる人が出てくるんです。

※というような指摘に対しても「そんなことはない」「誰かが言わなきゃならないんだ」と追撃してくるのもまた同じ事象と言えます。


3. モラル・グランドスタンディングの仕組み

ここで出てくるのが、ちょっと難しい言葉ですが 「モラル・グランドスタンディング(Moral Grandstanding)」 です。
直訳すると「道徳的な見せびらかし」。

要は「自分は正義を大事にしている人間なんだ」と周囲に印象づけるために、わざと道徳的な主張を強調する行動です。

僕がSNSを見ていて感じるのは、この現象が“言葉の競争”を生んでいること。
最初は「クマを殺すのはどうなのかな?」となんとなく思ったことをつぶやいたくらいの問いかけだったものが、気づけばこうなります。

  • 「クマを殺す人は無責任だ」

  • 「駆除に関わる人は残酷で人間失格だ」

  • 「登山者は社会の迷惑だから規制すべきだ」

段階を踏むごとに、言葉がどんどん強くなる。
まるで“誰が一番正義を言い切れるか”を競っているみたいです。

こうした流れに加わる人の多くが、実は現場を知らない“部外者”。だからこそ現実とのズレが大きくなり、当事者からすると「なぜそうなる?」という違和感につながるのだと思います。


4. 日本社会と同調圧力の文脈

日本では昔から「みんなと同じであること」が強く求められる傾向があります。学校でも職場でも、「空気を読む」「周囲に合わせる」ことが重視されるのは誰もが経験しているはずです。

この“同調圧力”が、道徳的憤激やモラル・グランドスタンディングと組み合わさるとどうなるか。
――答えはシンプルで、「怒りの合唱」が生まれるんです。

思い出されるのがコロナ禍の「自粛警察」です。
外出や県外ナンバーの車を見ただけで「けしからん」と攻撃する人が続出しましたよね。
あれも、直接の被害を受けていない人までが「みんなが怒っているから、私も怒るべきだ」と加わっていった結果です。

ヒグマ駆除をめぐる議論も、似たような構図があります。
最初に誰かが「クマを殺すのは残酷だ」と言えば、周囲も同調して「そうだそうだ」と声を重ねる。
気がつけば怒りのボリュームが増していき、冷静な議論がどんどん難しくなってしまうんです。

さらに視聴者数や閲覧数を稼ぎたいメディアが取り上げることで油を注いでいくと、無秩序な議論になってしまい建設的な議論の妨げになってしまったりもします。

5. 登山・アウトドアへの影響

こうした“部外者の怒り”は、実際に山へ足を運ぶ僕ら登山者にも影響を及ぼしています。

例えばSNSで「登山なんてやめろ」「迷惑だから規制しろ」という強い言葉を浴びせられることがあります。
もちろん全員がそうではありませんが、無関係な人の批判が積み重なると、登山文化そのものが萎縮してしまうリスクがあります。

登山は自己責任が大前提ですが、それと同時に地域や社会との関係の上に成り立っています。
もし「迷惑だからやめろ」という声ばかりが大きくなれば、登山道整備や救助活動に理解を示す人が減ってしまうかもしれません。

僕自身、登山道を歩くときに「ここまで整備してくださった方がいるから安全に登れるんだ」と感謝することがあります。

だからこそ、駆除や整備に携わる人たちを一方的に責めるのではなく、冷静になって現場の声に耳を傾けることが大事なのかなと思い、こんな記事を書いてみました。


6. おわりに

今回の記事では、なぜ“部外者”ほど強く怒るのか、その心理を「道徳的憤激」や「モラル・グランドスタンディング」という概念から考えてみました。

実際に山で危険に直面するわけでもなく、現場を知らない人の声が、ときに当事者を追い詰めることがあります。もちろん意見を表明するのは自由ですが、強い言葉で断定する前に「自分は本当にその立場を理解しているのか」と一度立ち止まることが大切だと思います。

登山や自然との関わりは、簡単に白黒つけられるものではありません。だからこそ、一方的に糾弾するのではなく、多様な視点を持ちながら議論していきたいですね。

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