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ニュースは「1%」しか伝えない。遭難者叩きが横行する今、僕たちが持つべき想像力とは

はじめに

こんにちは、YuYaです! 普段は登山やドローン映像などを中心に、アウトドア情報を発信しています。

雪山や登山のシーズンになると、どうしても避けて通れないのが遭難のニュース。
そして、そのニュースと同じくらい目に入ってくるのが、SNSやネットニュースのコメント欄に溢れる、遭難した方への激しいバッシングです。

「自業自得だ」「迷惑をかけるな」「準備不足だ」

画面越しに次々と投げつけられる、鋭い言葉の数々。
アウトドアを愛し、その魅力を発信している僕にとって、それらの言葉はまるで自分自身に投げられているような、言いようのない息苦しさを感じることがあります。

もちろん、無理な計画や無謀な行動を肯定するつもりはありません。でも、今のSNSの「叩き」の過熱ぶりには、山そのものとは別の、ある種の「怖さ」を感じているんです。


1. 画面越しに飛んでくる「石」の正体

最近のSNSを見ていると、誰かが失敗したときに一斉に「石」を投げるような光景が日常茶飯事になっていますよね。特に登山の遭難は、叩きやすいターゲットになりがちです。

なぜこれほどまでにバッシングが加速するのか。 それは、安全な部屋にいる人たちにとって、山の過酷さは想像しにくいからかもしれません。

僕自身、ドローンを飛ばしたり登山をしたりする中で、自然の「豹変」を何度も目の当たりにしてきました。さっきまで晴れていたのに、一瞬でガスに包まれて視界が消える。予報にない突風が吹き荒れる。山では、どんなに準備をしていても「想定外」が起きる場所です。

でも、画面の向こう側にいる人には、その「一瞬の判断の難しさ」は伝わりません。結果だけを見て、後出しジャンケンで「なぜこうしなかったんだ」と正論をぶつける。

確かに正論かもしれない。でも、その正義感に満ちた言葉の刃が、実は山岳界全体を、より危険な方向へ追い込んでいる気がしてならないんです。


2. 恐ろしい「二次被害」:バッシングが救助要請を遅らせる

僕が今、一番危機感を抱いているのは、**「世間のバッシングを恐れて、救助要請が遅れること」**です。これこそが、現代特有の恐ろしい「二次被害」だと思っています。

道に迷ったかもしれない。怪我をして動けない。 そんな極限状態に陥ったとき、頭をよぎるのが家族の顔ではなく、**「今ここで助けを呼んだら、ネットで何を言われるだろう」「名前が晒されて叩かれるんじゃないか」**という恐怖だとしたら……。

それはもう、本当に悲劇でしかありません。

「あと少しだけ自分で頑張ってみよう」「明るくなるまで待とう」 そんな数分、数時間の「迷い」が、山では致命傷になります。体温が奪われ、体力が尽き、本来助かるはずだった命が失われてしまう。

僕は発信者として、声を大にして言いたいんです。 「世間の目」よりも、あなたの「命」の方が一億倍大切だということ。

どんなに叩かれようが、生きて帰ってくれば、またやり直せるし、反省もできます。でも、バッシングを恐れて命を落としてしまったら、そこですべてが終わってしまう。

ネットの匿名コメントに、あなたの命を左右させる権利なんて、これっぽっちもありません。


3. 「自由」と「無謀」の境界線。僕が発信で気をつけていること

僕自身、こうしてSNSやYouTubeで情報発信をしている身として、責任の重さを日々痛感しています。

ドローンで撮影した絶景や、新雪を気持ちよさそうに歩く姿。 そういう「山のキラキラした部分」を発信することで、「楽しそう!私も行ってみたい!」と思ってもらえるのは、すごく嬉しいことです。それが僕の活動の原動力でもあります。

でも、その一方で、「キラキラした部分だけ」が切り取られて伝わってしまう怖さも常に感じています。

あの一枚の絶景写真の裏には、何日も前からの天気図の確認、綿密なルート計画、そして装備の点検という「泥臭い準備」があります。現場でも、常に雪の状態や風向き、自分の体力を計算し続けています。

僕が思うに、「自由」と「無謀」の境界線は、ここにあります。

自由:リスクを理解し、それをコントロールできる技術と知識を持った上で、自分の責任で楽しむこと。
無謀:リスクが見えていない、あるいは見ないフリをして、準備不足のまま突っ込むこと。

情報を受け取る人が、この境界線を見誤らないようにすること。それが発信者である僕の責任だと思っています。

だから僕は、かっこいい映像だけでなく、「今日は天気が怪しいから撤退しました」という、一見すると「かっこ悪い姿」も積極的に発信するようにしています。撤退は恥ずかしいことじゃなく、**「生きて帰るための最高の判断」**なんだと伝えたいからです。


4. 叩く側ではなく「想像」する側でありたい

ニュースで流れる遭難の報道は、その事象のほんの「1%」しか伝えていません。 「道に迷って救助要請」という短いテロップの裏側に、どれだけの想定外の事態があったのか。現場にいた本人にしか分からない恐怖や焦りが、必ずあったはずです。

突然のホワイトアウトで方向感覚を失ったのかもしれない。 信頼していたGPS機器が寒さで故障したのかもしれない。 仲間が怪我をして、動転してしまったのかもしれない。

安全な場所にいて、結果だけを見て石を投げるのは簡単です。 でも、僕もアウトドアスキの一人として、石を投げる側ではなく、「想像」する側でありたいと強く思います。

「なぜ、その判断に至ったんだろう?」
「自分だったら、同じ状況で冷静でいられただろうか?」

そうやって想像力を働かせることのほうが、感情的に叩くよりも何倍も、自分自身の安全につながる学びがあるはずです。

山に入れば、プロも初心者も関係なく、全員が「自然の前では無力な人間」です。 「明日は我が身かもしれない」という謙虚さを持つこと。それこそが、SNS時代の今、僕たちアウトドア愛好家に最も必要なマインドセットではないでしょうか。


おわりに

僕たちが負うべき本当の責任は、SNSの誰かに向かって果たすものではありません。

それは、どんなに泥臭くても、どんなにかっこ悪くても、「生きて、大切な人が待つ家に帰り続けること」。それ以外にないと思うんです。

ネットの匿名コメントは風のように過ぎ去っていきますが、失われた命は二度と戻りません。僕ら発信する側も、それを見る側も、もう少しだけ山に対して、そして山で失敗してしまった人に対して、想像力と優しさを持てる世界であってほしい。

「自分は大丈夫」と過信するのではなく、「もしもの時は、迷わず助けを呼ぼう」という勇気を。僕も一人のアウトドアクリエイターとして、これからも安全の重要性と山の素晴らしさの両方を、僕なりの言葉で伝え続けていこうと思います。

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