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【毎週ショートショートnote】曼殊沙華は恋をする(449字)

「ここ権現堂だ」
 すぐに気づいた。先日、埼玉県幸手市にある行幸湖の清々しい景色に心を打たれたばかりだったからだ。
「人間? 珍しい」
 どうしてここに?と思案していると、突然、声が聞こえた。振り返ると誰もいない。
 冷たい風が吹き、その通り道には赤い曼殊沙華があった。まるで赤い絨毯のようだ。

──彼女できた
 数日前、同じクラスの男子からメッセージがきた。私はスマホを持ったまま放心していた。これは彼への恋が終わったことを意味した。メッセージには返信できていない。
「気持ちを曼殊沙華一輪に託して、もうお帰りなさい」
 ぼんやりとしていた私に、それは語りかけてきた。
 私は心に手を当て気持ちを込める。すると、一輪の曼殊沙華が手元に現れた。それをそのまま赤い絨毯の上へ……。

 目覚めると自室のベットの上にいた。スマホ片手に寝落ちしてしまったらしい。
 時刻は0時を過ぎ、今日から新学期を迎える。夏の夜風はほんのり秋の気配を帯びていた。
 夢の内容は忘れたが、晴れやかで心地よかった。
──おめでとう! 明日、学校でね!
(了)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。

また、『PJ』作詞作曲/プロデューサー様の企画にも併せて参加いたします。


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