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【海外駐在】読者質問:異文化に関心を持たない日本人駐在員への対応

 今回は、珍しく読者の方からとても意味のある質問を頂いたので、そちらに対する返信という形でNoteを書いてみたい。

読者からの質問

質問者の方は、海外現地法人で働かれている方で、「異文化理解に関心を持たない日本人駐在員への対応について意見を聞きたい」というリクエストを頂きました。

私がnoteで異文化理解が大切だと書いているのを見られて、それには同感だが、日本人駐在員の中には、異文化理解に関心を持たない人もいる。そういう人にはどういう対応をするのがよいか、それとも対応しない方がよいのかを含めて、意見を聞きたいとのことでした。

日本人駐在員の位置づけ

一般的に、海外現地法人においては、日本人駐在員というのはとても重要な役割を持ちます。単に役職が高いということで、組織に大きなインパクトを与えるというだけでなく、日本本社とのホットラインを持っているということで、役職が高くなくても、本社との報告や交渉など、日本人駐在員は現地法人オペレーションで重要な役割を担います。

本社の現地駐在員への期待は、

  • 市場特性や競争環境などのローカルビジネ状況を的確に把握すること。

  •  現地法人のオペレーションに深く関わり、その理解を深めること。

  •  この2つの理解の上に、本社との連携を取りながら、現地ビジネスの発展に貢献する。

といった内容になるのが一般的です。

ですから、俗にいう仕事ができて、やる気がある社員であれば、これらの自分が期待されていることを達成するために、人により程度の差はあるかもしれませんが、その国の文化、歴史、価値観、習慣、場合によっては言語などを学び、現地の社員や顧客、ステークホルダーへの理解を深めようとするのが普通です。

異文化理解に関心を持たない海外駐在員

しかしながら、質問者の方が書かれているように、中には異文化理解に関心を示さずに、日本式のやり方で物事を進めるタイプの駐在員がいることがあります。

その比率は多くはないですが、先に書いたように、駐在員は現地法人の組織やその運営において、大きなインパクトを持つ立場なので、そういう駐在員をそのまま放置しておくというのは、現地法人のパフォーマンスに悪影響を与えます。

いくつか、考察するポイントがあると思います。

駐在員に適した人を配置するというのが超大事

著名な経営本「ビジョナリーカンパニー2」には、こう書かれています。

偉大な企業への飛躍をもたらした経営者は、まずはじめにバスの目的地を決め、つぎに目的地までの旅をともにする人びとをバスに乗せる方法をとったのではない。まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこへ向かうべきか決めている。

「ビジョナリーカンパニー2」ジム・コリンズ著 

まず、人ありき。そして、そのポジション、職場に適した人を雇う、配属するというのは、経営における最重要課題です。

この最初のポイントでボタンをつけ違えると、それを修正するには、本人にとっても、会社にとっても、膨大なエネルギーが必要となります。そして往々にして、その費やしたエネルギーに比べ、納得できるほどの成果は上がりません。俗にいう、筋が悪い手ということになります。

世界のエクレセレンとカンパニーは、このことがよく理解できているので、人を雇うプロセスに相当大きな時間を割きます。

人の配属、採用について。日本と海外の違い

これは、日本の会社が世界でも特別なのですが、職場に人を配属するのが人事ということです。もっというならば、配属どころか、人を採用するのも人事が主体となって行われる。

世界の前線で戦っている企業では、人を雇うのは、それぞれのビジネスUnitです。現場の人が人を採用します。人事はその採用のお手伝い、サポートをするという建付けです。前線でキレキレの会社ほど、そうです。

Googleやゴールドマンサックスなど、入社面接が10回以上あったりします。日本であれば、人事を主として2-3回という感じかもしれませんが、海外では人を雇いたい部署の人が直接面接をします。それも、多くの場合、ビジネスunitの長が面接するだけでなく、そのチームメンバーが集団であるいは、one on oneで面接をする。だから、面接回数がとても多くなるのです。

そして、メンバーの全員か、少なくともその多くの人が、この人であれば一緒に働きたい、この人であれば、今のチームで活躍できると確信を持てる人を雇うということになります。

日本は少し特異であり、仕事に就くというよりも、会社に就くということで、会社を代表する人事部と面接をして入社を決める。入社してから配属されて初めて自分の上司やチームメンバーと顔を合わせる。

受け入れる側も初めて会う人を迎え入れます。そして、ケミカルが合わずに、いまいちしっくりこないと、人事はそのビジネス長に、ランダムに配属されてきた人を上手く指導して戦力として鍛えるのがあなたの仕事です。というコメントをするのです。

また、本人にも、配属された部署が仮に自分の好みに合わない部署だとしても、そこでちゃんと自分を合わせて成果を出せないような人は、うちの会社では生き残れませんよ、的なコメントを言います。

結果として、ビジネス長にしても、異動した本人にしても、いまいちしっくりきていないのだけれど、人事評価に関わるので、両者が我慢をしながら頑張るというのが、日本会社の方式となっています。

話しがだいぶそれてしまいましたが、話しを戻すと、その国の駐在員に適した人を配属するというのが非常に大事ということになります。

しかしながら、質問者の方の会社は日系会社であり、すでにそういう人が駐在で来てしまったという前提で、どういう対応ができるかについて、話しを進めます。(上述したように、ボタンを既にツケ違えているので、大きな成果を期待することはできませんが。。。)

異文化理解と仕事のパフォーマンス

当たり前ですが、異文化理解に関心を持たない駐在員に、「もっと関心を持つように」とストレートに苦言を言っても成果は期待できません。それよりも、異文化理解が仕事のパフォーマンスに良い影響を出すということに注目するのがよいと思います。

異文化理解に関心を持つ持たないは、一見、個人の嗜好であり、個人の自由選択であるようにみえますが、実際は、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えるものです。そうした見方からすれば、会社は駐在員に対して異文化理解をある意味で業務上の要件と位置づけ、一定の理解や適応を求めることが正当化されるとも言えます。

分かり易いケースは、営業の仕事です。海外法人のステークスホルダーの中で、通常一番重要になるのは、その顧客です。そして、その顧客との関係を深める、ビジネスパートナーとしての絆を強くするという仕事をするときに、営業担当の駐在員が異文化を理解しているかどうかは、大いに仕事のパフォーマンスに影響を与えます。

例えば、英語圏でない場合は、ローカル言語で顧客のキーパーソンと直接言葉を交わせるかどうかは、商談の進展に決定的な差を生むことがあります。

以前、私はベトナムに駐在した時に、ベトナム語でスピーチができることにより、随分と顧客との関係構築に役立ちました。

英語圏であっても、その国の文化、価値観、歴史、習慣をふまえた上で顧客とコミュニケーションをするのとしないのとでは、その関係を深めるのに、雲泥の差が出るのは間違いありません。

社外の最も大事なステークスホルダーである、顧客を担当する仕事、営業職について書きましたが、顧客以外のステークホルダーであっても、例えば、それが、現地の広告代理店とのやりとりであっても、物流・倉庫をお願いしている会社であっても、基本は同じです。究極的には、ビジネスは人と人との信頼関係、コミュニケーションが重要となるので、異国において、その国の人とビジネスをする時に、異文化理解をしているかどうかは、直接そのビジネスパフォーマンスに影響を与えると思います。

異文化理解と社内ステークスホルダーとの関係

そして、それは、社内に目を向けても全く同じです。現地人社員とコミュニケーションをとり、信頼関係を築きながら仕事を進める上で、異文化理解をしているかどうかはとても重要であり、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼしています。但し、社外の顧客とのケースに比べると、社内でのそれは、見えにくいという特徴があります。

なぜなら、現地社員が異文化理解として、日本のやり方、日本人の立ち振る舞い、本社との関係など、俗にいう日本のビジネススタイルを理解してくれているからです。そして、EQ、CQ(カルチュアル・インテリジェンス)が高いローカルスタッフが多ければ、異文化理解が乏しい日本人駐在員に歩調を合わせることができるので、一見するとその駐在員は、しっかりと仕事をしているように見えたりするのです。

しかしながら、それは、日本人駐在員が現地社員に借りを作っている状態かと思います。本来であれば、会社がその国に進出して、現地法人をつくり、現地のステークホルダー、ビジネスパートナーとの協力を深めながら、その国で商売をさせて頂くということですから、日本人がその国の文化を理解して、こちらからその国に歩み寄るというのが筋ということになります。 

まとめ

質問者の方におかれては、異文化理解に関心を持たない駐在員に対して、「関心を持つようになれば、その人自身の仕事だけでなく、チームや関係部署、さらにはステークホルダーにとっても良い影響が生まれる」という具体的な事例を示すことが、有効なアドバイスになるのではないかと思います。

単純な例としては、ローカル言語で社員に挨拶、2-3行のシンプルな言葉を話す機会を作り、それを社員がどれだけ嬉しく思ったかを伝える。その国のお祝いの日に、社員にお祝いの言葉をかける機会を設ける。その延長で他の部署や社外のステークホルダーにも同様なことを試みる、等。

もう少し頭をひねると、メールの書き方であったり、会議の中での発言の仕方であったり、その国の文化、習慣に則して、よりローカルの人達がここちよく感じる物の言い方があったりすかと思いますが、それを実務ベースでその赴任者の方に伝授するということもできるかと思います。

既に書いたように、大きな成果がでる可能性は低いかもしれませんが、その駐在員の人生経験、また、一緒に働く現地社員やステークホルダーの人達の気持ちを、少しでも豊かにすべく、異文化理解の促進を試みるのがよいのではと思います。幸運をお祈りいたします。

参考図書


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【ソニー入社3年で香港駐在 駐在員で唯一の中国担当になり、深圳事務所に毎日通わされた。1人だけ貧乏くじ引いて涙眼で働いた。 6年働き中国語がペラペラに 8年後台湾子会社の社長。 中国語のおかげ、貧乏くじでも手を抜かずに頑張ったのがよかった。Kindle本ベストセラー】


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