「青天」読後雑感
青が好きだ。
綺麗な青のものを見ると集めてしまうし、青にまつわる本も読んでしまう。
そして、この本は今まで読んだ中で一番青い本だった。
青空、青いユニフォーム、青春、読後感、全てが青!!
やっぱり若林くんの文章は、好きだなぁと改めて思う。
ポルトガル語の「サウダージ」という単語は、一語で「失われた人や場所、過去の思い出に対し、胸が締め付けられるような深い郷愁や憧憬、切なさを伴う思い」という深くて複雑な感情を表すらしい(Wikipedia参照)。
若林くんの文章が引っ張り出してくる、若さに伴うムカつきや焦り、イライラ、イキがり、恵まれてるのに、だからこそ息が詰まるような感情にも、一語で名前をつけられたらいいのに、と思う。
この、若さへの懐かしさとネガティブのミックスみたいな感情表現の、第一人者は彼なのでは。
そんな感情世界が「若林ブルー」みたいな呼ばれ方をする日が来るかもしれないな、と思う。
半自伝小説なのかなと思うほど、主人公は若林くんの高校時代を想像させるのだけど、自分とは性別も違う、年代も違う、集団スポーツもせず、不良との接点もなく、私立中高一貫校でもなかった私とは共通点などひとつもないのに、なんでこの主人公が自分の分身のような、パラレルワールドでの自分のような気持ちになってしまうのか、とても不思議。
使われているアメフト用語はほぼわからないのに、読んでいる間だけアメフト経験者のような気分になり、電車で読んでいて乗り換える時に小脇にこの本を挟むと、本がアメフトのボールになったような錯覚を起こした。
とても楽しい読書体験だった。
直木賞ノミネートがきっかけで買った本だけど、こう良いと他の作品も読みたくなってしまう。
しばらくは電車移動のお供に困ることが無さそうな予感。
