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Z式#11 問題は人ではなく、原因の置き場所を間違えていることがあるー繰り返す問題をほどく『原因分解構文』

Z式構文とは、

【事実・感情・違和感・構造を混線させずに観測し、判断と行動の精度を上げるための思考骨格】です。


【導入】何度注意しても、なぜ同じ問題が起きるのか

何度言っても、また同じことが起きる。
注意しても、似たようなミスが繰り返される。
担当を変えても、結局またどこかで同じような問題が出る。
そういうことは、仕事でも、家庭でも、地域活動でも、かなりあります。

そのたびに私たちは、つい人に原因を置きたくなります。

「あの人の意識が低い」
「あの人がちゃんと見ていない」
「あの人の能力が足りない」
「またあの人か」

そう考えると、原因が見えたような気になります。
気持ちの置き場もできます。
けれど、それで本当に問題が減るかというと、そうでもないことが多い。

なぜなら、繰り返し起きる問題には、たいてい一つではない原因が絡んでいるからです。

本人の確認不足もあるかもしれない。
でも、確認の基準自体が曖昧なのかもしれない。
報告の流れが複雑すぎるのかもしれない。
役割の切れ目が見えにくいのかもしれない。
「誰がどこまでやるのか」が共有されていないのかもしれない。
あるいは、自社の中ではなく、外部環境や市場の変化が静かに影響しているのかもしれない。

つまり問題は、『誰が悪いか』だけではなく、
『何がこの問題を起こしやすくしているのか』
を分けて見ないと、なかなかほどけないのです。

実は、偉そうなことを言っている私自身にも、原因を見誤って痛い失敗をした経験があります。

以前、新規事業をどうしても成功させたくて、自分の理想や考えを強く部下へぶつけすぎてしまったことがありました。
私は「前に進めている」と思っていましたが、実際には部下を追い詰め、逃げ場のない状態を作ってしまっていたのです。
その結果、その部下は限界を迎えて現場から離れてしまいました。

本当にショックでした。
そしてそのとき初めて、私は「周りのことは見ているつもりでも、自分自身が原因になっていることは驚くほど見えていない」と痛感しました。

だから私は、問題が起きたときほど『誰が悪いか』ではなく、『何がどう重なっているのか』を観る必要があると思っています。
そのために今回は、『犯人探し』ではなく、『原因の層を分けて見る』ための『原因分解構文』を書いていきます。

――――――――――

【こんな方に読んでほしい】

商品やサービスに責任を持つ、すべての方へ

この記事は、まず経営者の方に読んでほしい内容です。
問題が起きたときに「誰の責任か」だけで終わらせるのではなく、「どこに原因が重なっているのか」を見抜く視点は、経営そのものに直結するからです。

特に、次のような立場の方にはかなり役に立つと思います。

  • 経営者

  • プロジェクトのリーダー

  • 新商品の開発担当者

  • 商品の品質管理担当者

  • お客様相談窓口やクレーム対応の担当者

  • 営業責任者や現場責任者

  • 工場や生産部門の管理者

  • 物流や受発注、管理部門に関わる方

大企業であっても、中小企業であっても、一つの商品やサービスを、生産から始まり、流通を経て、最終的にお客様へ届ける役割があるのであれば、この『原因分解構文』は必ず役に立つはずです。

自分の部署で起こったことはもちろん、自分の部署の外で起きた問題であっても、この感覚を持っているだけで見え方は変わります。

「何かおかしい」
「少し違和感がある」
「このままだと危ないかもしれない」

そうした小さな感覚を、雑に流さずに扱えるようになるからです。

この視点を持つことで、『危険察知能力』はかなり高まると思っています。

だからこそ、
「お客様に責任を持って商品を届けたい」
「安心して使えるサービスを届けたい」
そう思っているすべての方に、ぜひ読んでほしいと思います。

――――――――――

【こんなことに思い当たる方へ】

一つでも引っかかるなら、読む価値はあると思います

たとえば、こんなことに思い当たる方はいないでしょうか。

  • 同じ問題が、形を変えて何度も起きる

  • 現場では頑張っているのに、なぜか改善しきれない

  • 誰か一人の責任にしたくないが、どこを見ればいいか分からない

  • クレームの初期段階では、小さな違和感としてしか見えないことが多い

  • 自分の部署は見えているが、その外側は十分に見えていない気がする

  • 問題が起きたとき、原因を一つに決めつけてしまいがちだ

  • 品質管理や安全基準はあるが、それで本当に十分なのか少し気になる

  • うちは今まで大きな事故はなかったが、この先も本当に大丈夫か確認したい

もし一つでも引っかかるものがあるなら、この先を読んでみる価値はあると思います。

逆に、
「うちはもう完全にできている」
「今までそういう事故はなかった」
という方にとっても、意味がないわけではありません。

むしろ、そういう方こそ、
「自分の会社に欠けている視点はないか」
「自分たちはどこまでできていて、どこがまだ弱いのか」
を確かめるために、一度読んでみる価値があると思います。

大きな問題というのは、何もないときには見えにくいものです。
だからこそ、平時にどこまで見えているかを確かめておく意味があります。

冒頭を読んで、
「この視点は大事かもしれない」
「この考え方は少し気になる」
「自分の現場にも当てはまりそうだ」
そう思うところがあれば、中を読んでみて損はないはずです。

――――――――――

【この記事を読むとどうなるか】

問題の見方が浅い状態から抜けやすくなる

この記事を読むと、次のことが見えやすくなります。

  • なぜ同じ問題が繰り返されるのか

  • 人の問題と、仕組みや流れの問題をどう分けるか

  • 原因を一つに決めつけることの危うさ

  • どこを直せば、全体が動きやすくなるのか

  • 注意や気合いではなく、どの層に手を入れるべきか

つまりこの回は、すぐに結論へ飛ぶための回ではありません。
問題をより深く、より実務的に扱うための回です。

「またあの人か」で終わるのか。
「この問題は、どの層で起きているのか」と見るのか。
その違いだけで、改善の質はかなり変わります。

私は、問題が繰り返されるときほど、『誰が悪いか』を急ぐより、『何がどう重なっているのか』を丁寧に見ることが大事だと思っています。
そのために、ここから先では『原因分解構文』という見方を整理していきます。

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【はじめに】問題は「人のせい」だけでは片づかない

私は、現場で起きる問題には、大きく分けていくつかの層があると思っています。

本人の注意不足。
経験不足。
確認不足。
これはたしかにある。

けれど、それだけで全部を説明しようとすると、かなり浅くなります。

そもそも確認の基準が曖昧なのかもしれない。
報告の流れが分かりにくいのかもしれない。
誰がどこまで責任を持つのかが曖昧なのかもしれない。
忙しさの中で抜けやすい構造になっているのかもしれない。
営業の約束が無理筋なのかもしれない。
市場そのものが変わっているのかもしれない。
外部環境が今までと違う圧力をかけているのかもしれない。

ここを見誤ると、問題が起きるたびに人を責めます。
けれど、人を責めるだけでは、基準も流れも役割も市場も変わりません。
だから、また起きる。

この繰り返しが、組織や人間関係をかなり消耗させると思っています。

だから必要なのは、
「これは本当に人だけの問題なのか」
「それとも、別の層にも原因があるのか」
を分けて見る視点です。

――――――――――

【よくある誤解】原因は一つだと思い込みやすい

ここでよくある誤解があります。
それは、『原因は一つだ』と思い込みやすいことです。

たとえば問題が起きると、すぐに
「原因はこれだ」
と一つに決めたくなります。

でも、実際にはそう単純でないことが多い。

本人の認識不足。
基準の曖昧さ。
情報共有不足。
確認工程の欠落。
役割の重なり。
忙しさによる判断の粗さ。
市場の変化。
取引先の事情。
気候や制度の影響。

こうしたものが重なって、ようやく一つの問題として表に出ている場合があります。

つまり、目の前の現象は一つでも、原因は『複数層』になっていることが多いのです。

だから大事なのは、
『原因を早く決めること』ではなく、
『原因を雑にまとめないこと』です。

――――――――――

【今回の構文】『原因分解構文』とは何か

今回の中心になる問いは、次のものです。

「いま起きている問題は何か」
「その問題は、誰の問題に見えているか」
「その見え方は本当に正しいか」
「原因は一つか、それとも複数の層にまたがっているか」
「どの部門、どの流れ、どの外部要因が関わっているか」
「この問題を生みやすくしている要素は何か」
「まず一つ直すなら、どこに手を入れるのが最も効くか」

これが『原因分解構文』です。

――――――――――

【なぜこの構文が必要か】原因の置き場所を間違えると、改善が空回りするから

原因分解が必要な理由はとてもシンプルです。
それは、『原因の置き場所』を間違えると、改善が空回りするからです。

人に原因があると思って注意する。
でも、本当は基準が曖昧だった。
その場合、注意を重ねても同じことが起きます。

逆に、仕組みのせいだと思ってルールを増やす。
でも、本当は本人の理解不足が大きかった。
その場合、仕組みだけ増えて現場はさらに重くなります。

あるいは、自社の内部ばかり見ていたが、実は市場や外部環境が変わっていた。
その場合、内側だけをいじっても、改善は鈍い。

つまり、改善が効かないときは、『努力不足』ではなく『原因の見誤り』が起きていることがあります。

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