20100227 スキーは何故滑るのか(5)
少しでも速く滑るためにスキー板の滑走面$${^{*1}}$$にわざと細かな傷を付ける。これは「ストラクチャー$${^{*2}}$$」と呼ばれている。
このストラクチャーの効果は、雪とスキーの滑走面との摩擦熱で融けた水を逃がす$${^{*3}}$$と説明されているが、これは全く違うのではないか。自動車のタイヤなどのように溝が接地面から脇の開放部につながっていれば水を逃がすことができるが、ストラクチャーの場合はスキー板の縁の開放部分につながる溝になっていない。水はエッジ方向にも逃げられないし、スキー板の長手方向にも逃げられない。それに溝の幅が小さ過ぎて、ストラクチャーに入り込んだ水は殆ど動けないのではないか。極端に細いストローでは殆ど清涼飲料水を吸い上げることができない$${^{*4}}$$のと同じである。しかもストラクチャーは溝になっている必要はない様だ。溝状になってなさそうなストラクチャー$${^{*5}}$$もある。これでは水を逃がすと言う機能が全くない。
恐らくスキー板が滑り出すとストラクチャーには摩擦熱で融けた水が入り込むのだろう。入り込んだ部分は他の滑走面の部分と同じ様にスキー板を支える役目をしているのではないか。つまりストラクチャーに入り込んで動けなくなった水と雪とが接触してスキーを支えているのである。滑走面と接触している部分では雪の結晶が削れるか滑走面のワックスが削れることによって摩擦力が発生しているが、ストラクチャーに溜まった水と接触している雪面部分では水が変形するだけで摩擦力は殆ど発生しない。水が潤滑剤の役割目を果たしているのである。これによってスキーの滑走性がよくなるのだろう。ストラクチャーが深過ぎれば溝に雪が食い込んで抵抗が増えるだろう。浅過ぎれば水が溜らず水による潤滑作用が得られない。ちょうど良い塩梅と言うのがあるに違いない。
こう考えると「スキー板が滑るのは、雪と滑走面との摩擦熱で雪が融けてその水が潤滑剤となっているから$${^{*6}}$$」と言う説は、やはりスキー板が滑る本質的な理由になっていないと言える。
*1 20100226 スキーは何故滑るのか(4)
*2 Ski Base Structure Theory
*3 チューンナップファクトリーSKID ソールの知識
*4 理科年表オフィシャルサイト/物理/化学部:粘度(粘性係数)
*5 OGASAKA SKI :開発技術/構造の解説 ■ 滑走面のストラクチャー
*6 AI NET SHOP - スキーはなぜ滑るのか?
