20010521 温度の単位(1)
温度というのは解り難い。たとえば水の温度100℃とか0℃というのは想像すればどんな温度か解るが、水60℃と70℃との違いを想像するのは殆ど不可能であろう。体温から0℃までの温度なら細かく想像できそうだが、それ以外はやはり熱いか冷たいのどちらかしかない。重さも似たような感じだが、温度は更につかみ所がないような気がする。
大体、温度に「単位」があるというのが解りづらい。温度に基本となりうる「一塊り」があるのだろうか。長さならば「親指から人差し指の先まで$${^{*1}}$$」の長さの何倍とか、重さなら「水1リットル$${^{*2}}$$」の何倍とか、時間なら「日の出から次の日の出まで$${^{*3}}$$」の何分の一とか言えるが、温度は言えない。100℃の半分は50℃といっても、一体何が半分なのか判らない。
だから温度には「度合い」を示す「°」がついている。基礎となる「単位量」があってそれの何倍かではなく、何かを示す尺度に対して目盛りを付けて、その目盛りに数を添えただけである。セ氏温度$${^{*4}}$$の場合、水の融点で温度計が指し示す場所を「0」、沸点で温度計が示す場所を「100」とし、それを当分割して目盛りを付けている。このように度合いというのは目盛りを何等分するかが定義であって、1目盛り分を「単位」として先に定義したわけではない。
これは角度も同じで、一周を360等分に目盛り$${^{*5}}$$を付けた時に、どの目盛りに相当するかが問題であって、1目盛り分の「1°」には特に意味はない。
水の融点から沸点までの温度計の長さが「単位」ではないのか、円周一周が「単位」ではないのか、と思う人がいるかもしれない。だが考えてみると温度の場合ならば、温度計は大きいものから小さいものがある。水銀温度計やアルコール温度計$${^{*6}}$$など色々種類がある。どれでも同等にしかも同時に定義が可能になるので、単位の大きさが一定しないことになる。円周も同じだ。しかし長さなどはそうはいかない。メートル原器$${^{*7}}$$と曲尺$${^{*8}}$$とが同時に長さの単位になり得ない。
*1 講座技術の社会史:計量標準
*2 質量標準-計量研究所
*3 20000817 一日の始まり
*4 温度計の歴史
*5 円の中心角はなぜ360度なのか?
*6 佐藤計量器製作所 温度計の歴史について
*7 LENGTH Evolution from Measurement Standard to a Fundamental Constant
*8 曲尺の使い方
