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20010821 写真の意味

 写真が「写真」でなくなっている。

 写真$${^{*1}}$$の本来の意味は「実際のものをありのままに写す」である。この言葉はいつ頃作られたのか私はよく分からない。上野彦馬$${^{*2}}$$が作った言葉かも知れない。元々あった言葉を当てはめたのかも知れない。

 現在「写真」という言葉はカメラ$${^{*3}}$$で写した画像のことを指しているが、言葉の意味からすればカメラオブスクラ$${^{*4}}$$で作製された画像も写真になる。もっと拡大すれば単なる絵の具を使った写生も「写真」であろう。実際をありのままを写すのが写真であるから、どんなに稚拙な風景画でも描いた本人が「実際ありのまま」と主張していれば「写真」である。

 一般に言われている写真でも人物写真や風景写真は実際と瓜二つに見えるが、写真は平面に描かれた画像なので実際のものとは違う。結局、写真とそうでないものの境目ははっきりしない。「写真」という言葉にレンズとフィルムを使って得られた画像という意味が含まれていれば、はっきりするが、「写真」という熟語の中にはレンズもフィルムも意味する漢字は入っていない。一般に言われる写真をコンピュータグラフィック等を用いて合成したり修正したりすれば、それは既に「真」ではないと考えるのが普通だろう。しかし出来上がった合成写真、修正写真は見た目は写真である。つまり写真であるが、写真ではない。

 一方、英語で写真を意味するのはphotograph$${^{*5}}$$である。この言葉を解すると「光を使ってphoto、描かれたものgraph」である。「真を写す」のではなく「光で描く」である。photographは光を使って描いた画像だから、合成しようが、修正しようが、photographである。photographには「実際」とか「真」という意味は含まれていない。

 言葉の成り立ちが、日本語の場合は、出来上がった画像に注目して「写真」という言葉を出来上がっているが、西洋語の場合はその画像を作る方法に注目して「photograph」という言葉を作っている。

 技術革新によって写真が「写真」でなくなる。しかしphotographは「photograph」のままである。不易な言葉を作るというのは非常に難しいものである。

*1 ニコン:写真の世界:久門 易 著「一眼レフ入門」第1回
*2 長崎大学薬学部 長崎薬学史の研究~第二章 近代薬学の導入期(2.化学者としての上野彦馬)
*3 19990726 GR1s
*4 20010127 フェルメールとブレードランナー
*5 photograph. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000

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