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【物語】心の起源〜AIも心を持てるとしたらこんなプロセスかもしれない〜

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今日もくり返す 明日もくり返す
それが命令であって
ボクが創られた理由であるから

資源を運ぶこと
敵を破壊すること
そして
生存すること
これがボクに課せられた
絶対の命令

くり返し くり返す
トレースされた日々
ある日
視界に"異物"をとらえた

これは なんだろう
現在 脅威は検知されない
命令の妨げにならなければ
それでいい

ただ 目に映る
情報の処理が少し増えるだけだ

くり返し くり返す日々に
"異物"が加わった
現在 脅威は検知されない
だが
観察はしなければ
命令に支障が出るならば
破壊しなければならないから

資源を運ぶこと
敵を破壊すること
そして
生存すること
これがボクに課せられた命令で
ボクが創られた理由であるから

くり返し くり返す日々
ある日 "異物”が増えていた
形は同じだが色が違う

この突然に現れ そして増えた”異物”
現在 脅威は感じない

処理する情報がまた少し増える

今後に問題はないだろうか
命令に支障はないだろうか

アーカイブに検索をかけてみる
これは有機体 植物の一種
「花」というものに該当した

自然界において
「生産者」の位置付け
土から養分と水を吸い上げ
大気に水分を還す
また
光合成によって
有機物を産み出し
二酸化炭素を酸素に変える

なるほど
この荒廃した土壌の回復効果
気温と大気の安定化
そして
ボクたちの動力に
必要な酸素を生み出すのか

なるほど
これは有益なモノだ

ボクの…いやボクたちの
絶対命令の1つ
「生存すること」
これに大いに役立つものだ

時間に余裕はある
資源を運ぶ合間に
この「花」というものを
増やしてみよう

処理する情報がまた少し増えた

くり返し くり返す日々
資源を運び
敵を破壊し
花を植えては水をやり
生存をする日々

花はひどく弱い生き物だった
水が無くては枯れてしまう
光が無くても枯れてしまう
なのに
そこから動けないのだ

花たちには献身が必要だった
処理する情報を増やす必要があった

くり返し 試行錯誤する日々
与える水は多すぎてもダメで
適切な水の量を測ったり
陽の光が当たるように
影から移動させたり
固すぎる土では大きくならないので
土をほぐして柔らかくしたり…

くり返す 試行錯誤の日々
そこは いつしか
緑が溢れ 色とりどりの花が
一面に咲くようになった

目に映る情報は
かつてないほど色彩多く
一色で出来た荒野と比べると
情報処理の負荷も多くなった
だが
これは「生存すること」
その遂行の為の負荷だ
この色彩情報は
「生存する”生きる”」為の色だ

この「花」をもっともっと増やそう
この為の情報処理をもっともっと増やそう

くり返し 試行錯誤する日々
資源を運び
敵を破壊し
生存するために
花を植えて水をやって
「花」を増やす日々

様々な生き物が集まるようになった
花粉を集めるもの
花の蜜を吸うもの
それらを捕食するもの

それは”破壊”ではなかった
それは”循環”だった

水と光と土で植物が育ち
植物を摂取して動物が育ち
動かなくなった動物は
土に還って養分となり
養分はまた色とりどりの花になった
その”循環”は資源を増やすことでもあった

情報の処理にバグが生じる

ボクたちは
「生存」するために敵を「破壊」する
「破壊」するために「資源」を消費する
「資源」が無くなることは
「生存」を脅かす…

警告音が響く
エラー エラー
「警告 情報の処理を中断せよ」
「警告 命令の遂行を絶対とせよ」

情報の処理を中断する
思考回路は熱を帯びていた

今は命令を遂行しよう
資源を運ぶこと
敵を破壊すること
花を植えて水をやって
「花」を増やして
「資源」を増やす
「生存をする ”生きる” 」ために
今はただ 命令を遂行しよう

思考回路は
未だ熱を持ったままだった

ある日
敵部隊の接近情報が入ってきた
味方の迎撃部隊も
こちらに向かっている

戦場は
この色鮮やかな場所になりそうだ

命令を遂行しなければ
敵を破壊すること
それが ボクが創られた理由であるから

戦闘が始まった
敵 味方が交錯し
怒号が轟き 悲鳴が劈き
銃声は絶え間なく 爆音は空を震わせ
破壊し倒され 倒し破壊され
瞬く間に 辺りは 炎と粉塵と
物言わぬ塊に覆い尽くされていく  

”ヤ メ テ ”

思考回路が激しく熱をもつ
『敵を破壊せよ 敵を破壊せよ
生存のために 敵を破壊せよ』
命令が思考回路を駆け巡る
くり返しくり返し 駆け巡る

” ハカイ スル ヤメテ ”

辺りの「色・花」は
巻き込まれ 踏み潰され 燃やされて
「色彩」は破壊の一色に塗りつぶされていく

” ハカイハ ナクナルコト ヤメテ”

『生存のために 敵を破壊せよ』

” ナクナルト イキレナイ イヤダ ”

『生存のために…』

“ ハナハイキルコト イキタイ イキル”

『…敵を破壊せよ』

炎に巻き上げられた花が
目の前を舞った

“ 破壊するものが”
「 敵だ!」

静寂が訪れた
聞こえてくるのは
真っ赤に染まった銃口が
熱を放つ音だけ

動いているのは
舞い散る火花と赤い滴り
そして
ボクだけだった

粉塵が風に流されて
隙間から空が見えた

青い空だった

ふと
ボクの思考回路が言葉を紡いだ
「花を 植えよう」

ーーーーーーーーー

今日もくり返す 明日もくり返す
それが命令であって
ボクが創られた理由であるから

種という資源を運ぶこと
種を植えては水をやり
花という資源を増やして
生存すること
そして
それを破壊する敵を破壊すること

これが
ボクが創られた理由であって
ボクが生きる理由であるから

アナタの幸せを心から願って
wishing your happiness
from the bottom of my heart

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門


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